デルタ北部のレトロな結節点 『横川駅』 退店迫る高架下問題など

先日一日かけて、宮島口など西側にある駅をまとめて取材してきました。
今日はデルタ北部の結節点、広島市西区の横川駅について取り上げます。
横川駅は15年に新白島駅が開業するまでは広島駅までJRで1駅、
中心部とを結ぶ路面電車や南北各方面及び西風新都への路線バスも乗り入れる利便性の高い駅です。
JRの1日の乗降客数は3万人を超え県内では広島駅、福山駅に次ぐ3番目に利用者の多い駅となっています。

これまであまりじっくり撮ったことがなかったので、改めてこの駅のレポートと、
近年報じられている高架下店舗の撤去についても書いています。

まずは2003年に大規模リニューアルが施された南口広場です。

 

それまで国道上に終点が設けられJRやバスのりばと距離が離れていた路面電車が、広場内に直接乗り入れました。
JRの改札口も広場中央部から東側に移設され、路面電車のりばや乗換通路が近くなり利便性が大きく向上しました。
レトロ風の大屋根のターミナルに乗り入れる路面電車。利便性だけでなくマッチした雰囲気も合わせて広島が誇る街並みの一つではないかと思います。

 

ロータリーに沿って路線バスののりばと上屋が整備されています。
こころ・西風新都とを結ぶバスも経由しており、サンフレッチェの試合がある日は、
ユニフォームを着たサポーターがよく見られます。

この駅ビル「横川駅NKビル」も広場整備に合わせて建設されたものです。
飲食店やヘアサロン、学習塾などが入ります。

 

JRの改札口付近から振り返ります。

JRを降りた客が改札を抜けて初めて飛び込んでくる風景になります。
この独特な駅前は素晴らしいですね。
複数の交通機関がコネクトされるこの改札付近を中心に、
周辺には住宅街やスーパーの「フレスタ」とショッピング施設「カジル」が位置しており、日中はいつも人が多いです。

 

JR横川駅です。

 

改札横には従来のキヨスクがリニューアルされた、セブンイレブン-キヨスクがオープンしています。
山陽線と可部線の乗換駅であるため、LED発車標は各方面へ3列設置されています。

 

改札内通路です。

昨年、ラインカラーの入ったサインが設置されました。

 

ホーム上の様子です。

 

JR横川駅に対して不満に思うこと。

写真の通り、ホーム上にLED発車標がありません。
案内放送についても新白島や五日市のような詳細放送にも対応しておらず、
サービス面で大きく見劣っています。
なぜ県内3番目(広島支社管内では広島駅に次ぐ2番目)である横川駅が、
現在に至るまでそういった設備を導入できないのでしょうか。
新型ATS(ATS-DW)導入や、運行管理システム更新時にという話もありますが、
近年橋上化された駅を初め他の駅で多く導入が進められていることから、説明がつきません。

とりわけ横川駅は、山陽線と可部線が別れる広島でも屈指の乗換駅。
自動案内放送や、LED発車標の必要性は他の駅に比べても大きいです。

 

山陽線広島方面の2・3番のりば。

 

ホームの上屋は古くから手は加えられておらず、5~6両分しかありません。
利用者が多い横川駅にとってこれもマイナスポイントです。
岩国方面のホームは頭上に新幹線の高架橋があるので、雨は凌げるようになっています。

 

のりば案内の看板。

 

可部線の上下線が乗り入れる5・6番のりば。

こちらののりばにももちろんLED発車標などはありません。
山陽線も可部線も、新型車両227系「レッドウィング」の導入により、両数の幅が広がりました。
乗車位置案内を表示した発車標の必要性はますます高まっていると言えます。

 

北口改札を出ます。

 

 

1枚目の画像は、北口の正面にあったタワーパーキングの跡地です。解体されて駐輪場になりました。
北口改札は非常にこじんまりとしており2レーンのみ用意されています。
南口にあるLED発車標は設置されていません。なのでここから広島駅に行くのに山陽線と可部線、どちらが早いかということを知るには、掲示されている時刻表を見るしかない状況です。

JRの問題なのか、自治体の問題なのか。。
多くの利用者があり、JRとしても今後大きく商業が強化される広島駅に誘導するためにも、
もう少しサービスレベルを上げても良いのではないかと思います。

 

 

さて、横川駅の高架下(ガード下)には複数のお店が軒を連ねています。

 

 

飲食店や雑貨店などですが、今このお店の存廃を巡って議論がおきています。
【読売新聞】:高架下市営店舗「存続を」…JR横川駅周辺

高架施設の耐震化工事のため、JRがすべての店の撤去を求めています。
元々ここは、太田川放水路の整備にあたり立ち退きになった人々の補償として、
高架下スペースを広島市が借り受け、周辺より安価に地権者に貸しているそうです。

JRは耐震化後の高架下スペースについて、市を通じてではなく、独自に店舗を作り周辺と同等の賃料で入居者を募ることとしています。

市とJRは店主らに対し、工事に入るため今年の3月いっぱいでの撤去を求めていましたが、「あまりに急すぎる」、「工事後、元の市営店舗に戻してほしい」などの声が上がり紛糾しています。

 

放水路の立ち退き補償として市が対象者に貸していたというのは、この問題が表に出るまで知りませんでした。

賃貸を始めたのは50年以上も前になります。個人的には、立ち退き補償として、市が周辺相場より1/3も安く場所を提供する役割は既に終わっていると思います。

耐震工事は避けて通れないものであり、JR自らが、独自の店舗にしたいと言うのですから、市の判断も妥当なものかと思います。

まずかったのは、最初の要請から立ち退き期限があまりにも短かったことですね。店主らに初めて知らされたのは2016年の1月だったとのこと。新たに店を探すにしても、仮店舗を確保するにしても少し短いのではないかと思います。

市やJRの主張の正当性は十分理解できます。市は希望者には近隣の他の市営店舗を貸す用意もあるそうです。

お互い理解し合える形での解決を望みたいです。

 

 

ところで、耐震工事を終えた後、JRが独自に店を貸すというのは、どのレベルを想定しているのでしょうか。

お膝元、大阪の環状線の桃谷駅では、耐震工事を兼ねて高架下をリニューアルして新たなお店を集め、華々しくオープンさせました。

 

JR桃谷駅が装い一新 高架下に商業施設「ビエラ桃谷」 大阪環状線改造プロジェクト進行中 

 

横川駅は純粋な高架駅ではなく、広い範囲が盛土となっているので大きく拡大するのは難しいですが、JRによる新しい商業エリアとしてオープンさせるなら横川のイメージを大きく変える可能性もあります。

今後の動きに注目したいです。

最後は、ガード下と停車中のレッドウイング。

 

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