広島電鉄が広島市佐伯区石内東に造成した複合団地「グリーンフォートそらの」に、
2018年4月27日、イオンモールの商業施設、
THE OUTLETS HIROSHIMA | ジ・アウトレット広島
がグランドオープンしました。
中四国最大規模となる127店舗のアウトレットモールに加え、アイススケートリンクやボウリング、シネマコンプレックスといったエンターテインメントを融合させた、イオンモール新業態の全国1号店です。
ちょうどゴールデンウィークの始まりに合わせてグランドオープンとなりました。
SNS等を通じても、かなりの混雑になっているようです。
私も先日行ってきたので、感想など書いてみたいと思います。
道中の動画。午前11時ごろ、草津沼田道路からアクセスしました。まあまあスムーズでした。
今回は会話が入っているのでBGMオンリーです。
東側駐車場から、店舗へ入ります。
アルパークやアストラムライン広域公園前駅へのシャトルバスなどがここから発着します。長い…。立派なバスターミナルです。
東側中央のエントランス。
大きな上屋で覆われています。案内所もここにあります。
こちら側から入ると、すぐにアウトレットエリアです。
早速入ってみました。
なんという開放的な空間でしょうか。
よくある大型SCのたとえで、「一つの街のようだ」というフレーズがありますが、それが最も当てはまるのがこの施設ではないかと思います。
アウトレットモールらしい、屋根のないオープンな通路に面して、数々のショップが軒を連ねます。
当然ながらこの「THE OUTLETS HIROSHIMA」のために統一されたコンセプトで造られた建物のため、景観的にはとても優れており、適所に休憩できるイスが設けられているため、商業施設という感覚がありません。
これは歩いていて楽しい。
この施設全体の構造も、面白いと思わせる要素の一つ。
実際に来場して始めて気が付きましたが、
このアウトレットモールはフードコートやエンターテインメント施設など、いわゆる通常の「イオンモール」の2階屋上部分に広がっていること。
イメージはこのような感じ。
上の画像は西側駐車場から施設を見上げています。
元々段差のある造成地を活かし、このような特徴的な施設が誕生しました。
普通に考えると真っ平らな土地の方が使いやすいです。広電による造成地ですが、これはイオンの要望であえてこのように造成したのか、このような段差のある造成にせざるを得なかったのか、気になります。
1階、つまりアウトレットモールの下は、全く違う空間が広がっています。
最も南側の吹き抜けの広場。上まで貫く柱にLEDビジョンが設置されています。
この時は広島にまつわる小物や降ってきていたり、花火が打ち上がっていたり。
この付近は「ほしかげシティ」と名付けられたエリア、いわゆるエンターテインメント施設がこの広場を中心に広がっており、
スケートリンクやボウリング、VR施設にシネコンなど、これまでの大型SCには無かったような体験型アミューズメントエリアになっています。
こちらは最も北側、「なみのわガレージ」と名付けられたエリアの、「ステーションコート」。
ドイツのドルトムントから寄贈された、「ドルトムント市電」(広電70形電車)です。
少し前まで中区千田町の広電本社前に併設された「マダムジョイ」の前に展示されていましたが、
このアウトレットが新たな活躍の場となりました。
プロジェクションマッピングにより、走っていた当時の塗装が再現されたり、
「ワープする路面電車」として空や宇宙を進む路面電車の様子が定期的に映し出される仕掛けになっています。
1階のほぼ中央にある、「瀬戸内TRIP」。
広島を始め、中国・四国地方の名産品やおみやげなどを扱う、「道の駅」のような店舗です。
3つのコンセプトの内の一つ、「地域との出会い」を最も体現する店舗ですね。
観光客を意識し、広島県のおみやげはもちろん、岡山県や香川県といった近隣都道府県が特産品や観光情報を提供するブースを出店しています。
凄い施設ができた・・・
これが率直な感想です。
アウトレットモール、エンターテインメント施設、地元の地域発信という導入機能を明確に定め、それらを上手く融合させている、これまでになかった施設になっていると思います。
2階アウトレットエリアと、1階グルメ・エンタメ他複合エリアで全く違う印象になっており、歩いていても飽きません。
家族でここを訪れた場合、アウトレットの洒落た”街並み”を歩き買い物を楽しんだり、
子どもとスケートやボウリングで遊ばせたりして過ごす光景が容易に浮かびます。ワープする電車も喜ぶでしょう。
昨年春、地場のイズミが従来の「ゆめタウン」とは異なる”滞在型”を売りにした新業態の大型SC「LECT」を開業させました。
「広島T-SITE」を併設する他、館内には従来より多くのイスを用意しゆったりと時間を過ごしてほしいというのがコンセプトです。
大型SCと少し種類は違いますが、昨年春は広島駅南口Cブロック再開発「エキシティ広島」にも、
ただ買い物をする空間ではなく、コーヒーを飲みながらゆっくり買い物をしてもらう事を狙った「エディオン蔦屋家電」がオープンしています。
ネット通販市場が拡大し、郊外型大型SCがあふれる中、一つの付加価値として広島では昨年から”滞在型”の商業施設が一つのトレンドになりました。
そんな中、業界では最大手のイオンが全国展開の先駆けとして力を注いだ、”滞在型”の新業態の商業施設。
悔しいですが、さすがだなと思いますね。
この施設の開業で最も影響を受けるのは、紛れもなく商工センターの2施設、「アルパーク」と「LECT」であると考えられます。
JR駅から濡れずに行くことができるアルパークですが、増築を重ね西館、東館、南館の回遊がイマイチ、
レクトは広島T-SITEを内包し蔦屋書店のような話題性のある店舗や巨大フードコートはありますが、それ以外は通常のゆめタウンとあまり大きくは変わらない印象。このままでは本当にヤバイと感じました。。
都心部の紙屋町・八丁堀地区への影響も不可避です。
郊外型大型SCが乱立し、商業地としてのシェアは減少傾向となっています。
逆にこれだけ乱立しながらなんとか「都心部」、「繁華街」を維持できているので、すぐさま壊滅的な状況になるとは思いませんが、このままではその都心も緩やかに客離れが進み衰退するのは間違いありません。
それを防ぐためには、一にも二にも公共交通でのアクセスの改善ですね。
路面電車の速達化は急務ですが、広島市から駅前大橋線以外の具体的な施策が打ち出せていないのは大問題です。
都心部でも”滞在型”は一つの再生のテーマになると思います。
砂利の広場を暫定的に使っている旧広島市民球場跡地の活用策決定を急がなければなりません。
また、相次ぐ映画館の閉館で、すっかり広島市民にとって映画は郊外の大型SCで観るもの、となってしまいました。八丁座やサロンシネマがありますが、話題の映画や最新作を観るのとはちょっと違う施設です。
滞在時間を伸ばし、より多くのモノ・サービスを消費してもらうためには、市内へのシネコン誘致は必要だと思います。
さて、感想は以上になります。
この他撮影した画像をまとめて紹介します。
2階のアウトレットと1階を結ぶエスカレーター。
このようなエスカレーターは施設全体で5箇所程度。広さの割には少ない印象ですが、あえてそうしているのかもしれません。
アウトレットエリアの、中央付近。
中央の入口付近の店舗は2階建てのように見えますが、横から見るとこのようになっています。
悪く言うとハリボテです。だからダメだとは全く思いませんが。
中央入口の奥は、大屋根の広場になっており、開放感のもと休憩できるようになっています。
各所にこのようなイスとテーブルが。
非常に開放的です。
その他、アウトレットエリアを。
とても”○○映え”しそうなモールです。
気になる点としては、他都市のアウトレットモールに習い屋外通路になっているがため、真夏になるとかなり暑そうです。
(そもそも、アウトレットモールは何故屋外型ばかりなのでしょう。吹きさらしになるのでかえってメンテナンスコストが多く掛かりそう…)
また、休憩できるイスやテーブルが多く設置されている割には、アウトレットエリアの2階に飲食店やテイクアウトできるお店がほとんどありません。これも狙ってあえてそうしているのかもしれません。
まだじっくり見ることができていないお店も多々あります。
また行きたいです。
最後に。帰り際に団地の上の市道から見下ろしてみました。
背後に、西風新都A-Cityやビッグアーチエディオンスタジアム(■2018/05/06訂正)が見えています。
モールの北側は、敷地いっぱいまで店舗にはなっておらず、駐車場になっています。
イオンは昨年10月の時点で、アウトレットの増床計画があることが中国新聞に報じられています。
増床するとすればここになるんですかね。
延伸されるアストラムライン西風新都線が、この石内東団地(グリーンフォートそらの)も経由することが明らかになっています。
広島市は、平成40年代初頭にも西広島駅までの開通を目指しますが、
平成30年代後半に広域公園前から石内東団地(グリーンフォートそらの)までの3駅区間を先行開業させる方針を明らかにしています。
アストラム西風新都線の必要性には疑問はありますが、選挙という正当な手続きを経て事業は進みだしていること、
周辺の大渋滞を考慮しても、もう認めなければなりませんね…(^_^;)