広島都市圏でバスロケーションシステムが開始 『基幹バス』導入計画など

広島県バス協会は3月21日から、広島県の西部を中心としたバスロケーションシステムを開始しました。
 
【公式】:ひろしま公共交通ナビくるけん
【産経ニュース】:バスにGPS…停留所で待ち時間表示 来年3月から広島などでも導入
 
(コメントでも教えていただいておりました。ありがとうございます。)
 
 
ロケーションサービスが始まるのは広島市や呉市などで、バスを運行する広島電鉄、広島バス、広島交通、芸陽バスなど7社。
主な路線を走る、合わせて1140台のバスにGPSを取り付けて、利用者に運行情報をリアルタイムで提供します。
 
運行情報を知る方法は2通りあります。
一つはバス停へ設置される液晶モニターです。
21日から開始されているので実際に目にした方もいらっしゃると思います。
八丁堀へ確認に行ってきました。
 
201503bus_location-2.jpg
 
 
201503bus_location-3.jpg
 
 
【YouTube】:バスロケーションシステム開始。 広島市「八丁堀」バス停にて

 
上の画像は「八丁堀・三越前」停留所、下の画像は「八丁堀・東京スター銀行前」停留所です。(昨年から副呼称が導入されています。)
大型広告付きの立派なシェルターですが、モニタ自体は思っていたより小さめでした。
将来的にはあらゆるタイプのバス停にも設置できるように、ということでしょうか。
それでも昨年から導入された各社統一ルールに基づく路線番号が大きく表示されるなど、かなり分かりやすくなっていると思います。
【広島県バス協会】:広島都市圏のバスに路線番号を導入しました!
 
表示されているバスは搭載したGPSによるリアルタイムな情報なので遅れ時分も結構正確に表示されます。
投稿しました動画には「まもなく到着します」という表示もありますが、これは遅れも加味した案内だそうです。
ディスプレイは3月までに呉駅前と広島市中心部の一部のバス停にのみ設置されました。
2015年度は広島駅や広島市中心部の他の主要バス停に導入範囲を拡げます。
 
120万都市でありながらバス停でのこのようなサービスはこれまでほとんど行われてきませんでした。
特に広島は中心部に多くのバス会社が多くの路線で乗り入れます。
ようやく他の都市に肩を並べられる事になりそうです。
今後の対応バス停の充実に期待したいです。
 
 
運行情報を知るもう一つの方法はあなたの携帯・スマートフォンです。
 
201503bus_location-1.jpg
 
バス停には画像のような専用のNFCタグが設置されます。
利用者はNFC機能をオンにした状態のスマホをここにかざすだけで、案内ディスプレイと同等の内容の案内を見ることができます。
iPhone等のNFC非対応端末はQRコードを読み取ります。
専用のアプリではなくChromeやSafariなどのブラウザに表示されるので煩わしさが少ないのがメリットです。
さらにバス停だけでなく最寄りの店舗や公共施設にもタグを設置すれば、バス停にいなくてもバスの発車時刻が分かります。
今回始まったひろしま公共交通ナビ「くるけん」は単なるバス停でのリアルタイム案内ではなく、こういったソフト面でも対応できる案内であるのが特徴です。
株式会社タウンクリエーションという広島の会社が開発した「BUSit」というサービスを使用します。全国への展開も視野に入れているそうです。
【公式】:TOWN CREATION -タウンクリエーション
 
携帯・スマホからバスの時刻を検索するサービスはこれまでにもありましたが、(バスゲート
バス会社を一から選ばなければならないという使いづらさがありました。
 
BUSitはこのような画面が出ます。
 
201503bus_location-4.jpg
 
 
201503bus_location-5.jpg
 
このように最初からバス会社を横断して表示してくれるので非常に分かりやすいです。
まだ試験運用中ということでEnglishを選択しても全て英語にならない問題もあるようですが、これは使えます。
 
 
ところが一つ残念な点もありました。
このタグは時刻表などが貼られるバス停の掲示板に挟まれているのですが、表面のアクリル板がたわんでおり、かざしてもスマホが全く反応しませんでした。
(上の画像はQRコードを読み取りました。)
NFCは基本的にはおサイフケータイと同じ技術で、かなり近づけないと通信できません。
このアイデアが素晴らしいだけに非常にもったいないです。
改善をお願いしたいです。
もう一つ欲を言うなら、大勢の人がバス停で待っている中でスマホを掲示板にくっつける行為が意外と恥ずかしい…(笑)
もっと低い腰くらいの高さで上向きに貼ってあれば、改札のような感じで使いやすくなるのではないかと思います。
 
 
 
以上がロケーションシステムの簡単な感想でした。
 
このたびのロケーションシステムの導入は広島市の都市機能向上対策特別委員会で検討が進められている「公共交通体系づくり」の機能強化対策案に基づくものです。
【広島市 / 公共交通体系づくりについて】:公共交通の機能強化策(案)(PDF, 約3.9MB)
 
今年の1月28日に公表された上記の強化策には、今回取り上げたバスロケの他にも
デルタ内・デルタ外交通拠点、及び基幹バス導入による路線の効率化が提言されています。
 
201503bus-kikan.jpg
 
現状は郊外にいくつも点在する団地からそれぞれ都心直通のバス路線が設定されている事により、都心部では路線・系統の重複しています。
これが都心部におけるバスの混雑や分かりづらさの原因でした。
団地からのバスを各拠点へフィーダー化することによって団地によっては乗り換えの必要が発生することになりますが、
バス会社はこれまで都市まで乗り入れていたものを交通拠点までの運行にすることにより、採算が取れなかった団地にも路線を向けられる余裕が生まれます。
“郊外部アクセス補完バス”、 ”持続可能なバス事業の運営スキーム”とはつまりこういうことだと思います。
このようなことを行おうとすれば公平性の観点から横槍が入りそうなものですが、
今後人口減少と高齢化を迎えるにあたりバスを含む公共交通の再編は必要不可欠です。
今回の”基幹バス構想”には賛成したいです。
 
またこの機能強化策は、バスならバス、電車なら電車ではなく、それぞれの交通機関を統括して検討されているのも良い傾向だと思います。
路面電車のLRT化も早期に進展することを願いたいです。


 

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