広島市 アストラム西風新都線延伸を事業化へ

中国新聞は今月4日の紙面で、広島市がアストラムラインの西風新都線延伸計画の事業化を固めたと報じました。

【中国新聞】:アストラム延伸を事業化 広島市方針、全線開業へ

【中国新聞】:JRと「環状化」実現へ
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(2015年6月4日付 中国新聞朝刊紙面より)

基本的な概要は昨年から行われている委員会等で提出された内容と同じです。
延伸ルート決まるも、開業見込みは13年後?

西風新都線は現在の終点の広域公園前からJR西広島駅までを結ぶ約7.1kmで途中6駅を新設します。
佐伯区の五月が丘団地や広島電鉄が造成中でイオンモールの出店予定のある石内東団地を通ります。
建設費削減のため全区間は単線で、高架橋の高さを抑えるため最大勾配は6.5%を計画。
総事業費570億円のうち、国の補助等を除いた広島市の負担額は289億円です。
段階的に整備した場合、広域公園前から石内東団地までの3駅の区間平成30年代後半に先行開業させることが可能で、
すべての区間(西広島まで)の開業は平成40年代初頭になるそうです。

やはり市は事業化に踏み切る方針のようです。あれだけ検討会を重ねてましたからね。
私には今から15年と570億円をかけて行う必要がある事業だとは思えません。
見込みとしては延伸区間で1日平均1万5200人の利用があれば収益は保たれるそうです。
従来区間で例えると、大町~高取(長楽寺の一つ手前)区間の利用者合計がおよそ1万5000人になります。
完全に自動車での生活が定着している西風新都線沿線で本当にそれだけの人が利用するでしょうか。かなり高いハードルであると思います。
加えて言えば、これまでJR可部線を使って大町駅を基点に利用していた人が西広島駅からのルートに移ることも考えられます。
西風新都線で仮に1万5000人の利用があったとしても、路線全体で純粋に1万5000人増えるかどうかは分からないのです。
また黒字化の条件として今後設備更新費として毎年2億2000万円を30年間(計66億円)負担しなければならないことも分かっています。
建設資金の借入金返済もあります。
広島高速交通の経営、広島市の財政を考えても、延伸はすべきでないと思います。
事業を始めるタイミングを完全に遅きに失しています。

新聞記事にある通り、アストラム全体での利用客は一度高速4号線の開通で落ち込みましたが、昨年度は過去最高を更新しています。
ハードは現状を維持しながら地道に経営努力・利用促進を進めていくのが現実的です。
西広島駅までのアクセスは単独での道路改良や路線バスの設定で対応すべきでしょう。
特に石内東団地は広電が開発しているのですから。
突き詰めればアストラムの運営を広電に委託してしまえば、乗り換えや料金面でも今より利用の促進が期待できるのではないでしょうか。

広島市がいわゆる「西風新都」にここまで執着する背景には何があるのでしょう。
アジア大会以後の大規模開発でもう後に引けなくなってしまったのか。
これから求められるのは都市の空洞化を助長する郊外への“拡大”ではなく、
今ある郊外団地の“充実”と中心部の利便性向上にあると思います。

広島市の松井市長は明日8日にも記者会見を開き正式に表明するとのことです。

———————————■追記(2015年6月25日)———————————
私の管理が行き届かず、毎度このパターンになってしまいますが
あまりにも違う話で盛り上がり過ぎているのでコメント欄を閉鎖致しました。
ここは掲示板ではありません。
巻き添えとなってしまう方々には大変申し訳ありません。通知メールで読ませていただいております。
今後ともよろしくお願いします。
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