広電が検討する電車・バスの統一運賃、駅前線整備で削減される『江波線』の話など

コメントで教えていただきました。ありがとうございます。

広島電鉄は、市内中心部のデルタ内を走る路面電車とバスの運賃を、
時間区切りで均一にする新しい料金体系の検討を始めた事を明らかにしました。

広島銀行が本店ビル建て替えのために一時、南区の蟹屋町に店舗を移転するのに合わせ、
2018年1月から紙屋町と広島駅周辺を結ぶ「急行循環バス」の運行を始めることも計画します。

その他、8日の日経新聞に新しい情報が掲載されています。

【日本経済新聞】:広電の路面電車・バス 「デルタ内」時間制運賃 急行循環バス、来年新設

 広島電鉄は広島市内を走る路面電車とバスを一体のものとして考え、高齢者を中心に通院や買い物に乗りやすい路線や運賃体系に再編する。タクシーやマイカー利用からの切り替えで乗客の増加を目指す。椋田昌夫社長は「デルタ(三角州)のなかは電車とバスが均一運賃になるようにしたい」と社内で検討を始めたことを明らかにした。

2018年1月をめどにバス路線を新設する。広島銀行が本店の建て替えで現在の紙屋町からマツダスタジアム近くの旧ベスト電器の店舗に一時移すのに合わせ「急行循環バス」の運行を始める。行員や預金者、融資先企業担当者らの利用を見込む。紙屋町から平和大通りを経由し、移転先の広島銀本店近くを通って広島駅経由で紙屋町まで1周する。

今後は広島駅と紙屋町、市役所を循環する新路線も検討する。通院や買い物を想定し、市街地を通りながら広島市民病院や広島赤十字・原爆病院、広島県立病院、広島大学病院を循環するバス路線も構想段階とした。

郊外のバス路線では廿日市市内に乗り継ぎ拠点となる「バスの駅」を新設する。広島バスセンターや広島駅方面の基幹路線を走るバスに乗り換える。「道の駅」のように、農産物を並べて買い物ができる拠点を目指す。

運賃の見直しでは、デルタ内を走る路面電車とバスを乗り放題にする検討を始めた。バス乗客が支払う運賃が平均220円であることを参考に、2~3時間以内なら何度乗り降りしても220円、半日は440円、1日なら660円といった時間単位で区切る。

電車の路線再編にも着手する。2020年代には広電の広島駅が高架になり、JR西日本が建て替える駅ビルの2階で通路と接続する。広電は広島駅に乗り入れない市内循環線を新設する一方、運行本数の純増が難しいため広島駅―江波の6号線の直通運転は本数を減らすなど見直す考えだ。

広電は路線や運賃の再編構想を広島市に伝える。市は広電を参考に「地域公共交通再編実施計画」を策定し、国土交通相の認可を受ける。先行して広島県バス協会(広島市)は18年春から交通系ICカード「PASPY(パスピー)」の機能を高める。1枚のカードで複数のバス会社の重複する区間を乗れる「共通定期券」やバスの乗り継ぎ割り引きを導入する。

  • 広島銀行が本店の建て替えで現在の中区紙屋町から南区蟹屋町の旧ベスト電器の店舗に一時移転をするのに合わせ、2018年1月をめどに、「急行循環バス」の運行を開始。主なルートは紙屋町~(平和大通り)~広銀移転先~(広島駅)~紙屋町。
  • デルタ内を走る路面電車とバスを一体のものとして扱う新しい時間制運賃を検討。2~3時間以内なら電車とバスを何度乗り降りしても220円。(半日は440円、1日なら660円)
  • 駅前大橋線整備で、広島駅に乗り入れない市内循環線を新設する一方、運行本数の純増が難しいため6号線(広島駅~江波)の本数削減を検討
  • 広島市が策定する「地域公共交通再編実施計画」に合わせ、廿日市市内に乗り継ぎ拠点となる「バスの駅」を新設。

 

以上まとめです。

ある場所まで行きたいという利用者の目的に対して、各交通機関はその手段の一つです。
路面電車とバスを一体として統一の運賃にすれば、分かりやすさ・公平感も増すので、利用促進に繋がる前向きな施策だと思います。

ただ、デルタ内には広島電鉄以外にも何社もバスが運行しています。
広電だけ行っても効果は限定的ではないかと思われます。

記事にもある通り、2018年春からICカード「PAPSY」のシステムが大幅に更新され、
1枚のカードで複数のバス会社の重複する区間を乗れる「共通定期券」制度が導入されます。
現状使えるICOCAだけでなく全国の交通系ICカードもPAPSYエリアで使えるようになります。

このタイミングに合わせ、各社またがって電車、バスの運賃が統一されるのが理想的です。

広島県内のJRを除く交通機関で使用できるICカード「PASPY」は、2008年にサービスを開始し、広島電鉄やアストラムライン、各種路線バスなどで利用されています。 これまでP

 

路面電車は8月1日から全路線で値上げが行われます。
デルタ内、つまり市内線は180円になります。

すでに報じられ、またコメントでも議論頂いているとおりですが、 広島電鉄は、路面電車のサービス向上計画の概要とともに、運賃を値上げする意向であることを公表しました。 電車運賃の値

短期間で値上げを繰り返すのは考えにくいので、バスの運賃がデルタ内180円になると考える方が妥当です。
記事にある”時間単位で区切られる運賃”と言うのはあくまで乗り放題として申請した時の値段なのでしょうか。

○初乗りは180円
○当日2回目以降の乗降は、
・2~3時間以内であればで220円(差額40円徴収)
・半日以内は440円(差額220円徴収)
・それ以上は660円(さらに差額220円徴収)

特段利用者が申請せずとも、このような料金体系になればかなり公共交通が利用しやすくなるのではないでしょうか。

この記事だけではまだ情報不足なので、公式発表を待ちたいです。

 

 

駅前大橋線整備後の路面電車の路線について、少し具体的な方針が示されています。

駅前大橋線整備で、広島駅に乗り入れない市内循環線を新設する一方、運行本数の純増が難しいため6号線(広島駅~江波)の本数削減を検討

駅前大橋線の整備に伴い廃止されるはずだった電停沿線からの要望で、
広島駅を経由しない、的場町~紙屋町~市役所前~皆実町~的場町という循環線が運行されることが決まっています。

広島市は2日、広島電鉄及びJR西日本と合意した、広島駅南口広場の改良に関わる基本方針を明らかにしました。 広島駅南口広場の基本方針!広電の高架と駅ビル建て替え、デッキ計画などまと

この路面電車循環運転については、私は以前から反対の立場です。
自動車信号に影響される路面電車にとって、系統が別れる「分岐点」(紙屋町、十日市、土橋など)は、速達性に大きな支障をきたします。
循環運転を行うと稲荷町交差点が四方にクロスする非常に密度の高い「分岐点」が誕生することになり、
せっかく駅前大橋線でショートカットした効果も無駄になりかねません。
そもそも広島駅を経由せず、平野部をクルクル回っても利用者が少ないのは想像に難くありません。

↓↓↓↓上記のリンクでも書いたことをもう一度書きます。↓↓↓↓

一度設置したものを廃止・取りやめにする場合はかなりの困難が伴います。
ですから是非とも開業する前にいくつかの条項を決めておきたいです。
まずは江波線と直通する9号白島線と同様に、朝夕のラッシュ時間帯は運行しないこと。
そして利用状況などを分析し、開通後2~3年程度を目処にもう一度事業判断をすること。
利用者数や多系統への影響から存続が困難と判断された場合には、廃止や他の系統との統合も含めて改めて判断すべきだと思います。
ループで完結するのではなくて、大阪環状線のように半周周った後に横川や江波に向かうような路線を設定すれば、全体の本数を増やさずに環状線も維持しやすくなるのではないでしょうか。

↑↑↑↑ここまで↑↑↑↑

 

それこそ…

広島銀行の本店建て替えに伴い運行を始める「急行循環バス」
一時移転先の旧ベスト電器広島店は、路面電車の電停廃止区間にも近いのですから、
これが路面電車の環状線の役割として位置づければ、丸く収まりませんか。(環状だけに)

コメントで教えていただきました。ありがとうございます。 先月取り上げた広島銀行本店に関するこの記事の続報です。 https://ab-hiroshima.com/20170

 

 

広島電鉄の路面電車の最大の課題は、速達性の無さ、遅いことです。
広島駅~紙屋町間の約2kmがおよそ15分かかり、表定速度は10km/hを下回る非常に深刻な状態です。

路線や系統、本数を増やすことは、路面電車同士の混雑に拍車をかけ、
さらに表定速度を下げることに繋がります。
デルタ内の基幹的な交通機関として速達性を確保するには、系統、本数を削減しスムーズに路面電車が運行できる環境を整えることが最適です。

 

運行本数が少なくなれば、1日あたりの交差点通過回数も減るため優先信号を整備する理解も得られやすくなります。

①運行本数を減らし、強力な路面電車優先信号の整備

②運行本数が減る事による輸送力不足は、現行の5連接以上の長大編成車両の導入(法改正が必要)

③長大編成が入り切らない電停および、近接しすぎている電停(500mを目処)を統廃合

④長大編成化で車内移動の負担が増すため、完全な信用乗車方式の導入あるいは電停の「駅」化
・不正乗車に対しては、より重い罰金を設定(法改正が必要)
・非ICカード利用者は電停で切符購入を義務化

このような切り口、考え方で改善を図るのが理想的だと思います。
逆にここまでやらないと、LRTとは呼べないですし、さらなる利用者離れを起こし衰退するばかりです。

「法改正が必要」と書いた項目があるように、これらは広島電鉄という民間企業の方針だけでは実現できないものが多いです。
市民の生活に直結するこのような事こそ、広島市が国に働きかけを行うべきではないでしょうか。

 

きりが無さそうなので、また改めて更新します。

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