広島県、西飛行場跡地にMICE施設検討へ動き出す

広島県は、展示面積が10haを超える大規模展示場を備えるMICE施設(国際的な会議・展示会など)の整備を検討する公募型プロポーザル「MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務」に、
マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパンを特定したことが明らかになりました。

業務は広島西飛行場跡地を対象としたもので、国内外の大規模な展示会やイベント開催の需要(市場・ニーズ)を調査し、大規模展示場の実現可能性を判断します。

【建設通信新聞Digital】:マッキンゼーを特定/広島県/MICE施設検討

 広島県は、公募型プロポーザルを採用した「MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務」の審査結果を公表した。最優秀者には、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパンを特定した。近く契約する。事業予算上限額は、2000万円(税込み)に設定している。展示面積が10haを超える大規模展示場を備えるMICE(国際的な会議・展示会など)施設整備を検討する。 同業務は、国内外の大規模な展示会やイベント開催の需要(市場・ニーズ)を調査し、広島西飛行場跡地利用計画での新たな産業(にぎわい)ゾーンを中心とした県・市有地を検討対象地として、展示面積10haを超える大規模展示場の実現可能性を判断する根拠資料を作成する。資料は、県、市、有識者などで構成する検討会で議論するために使用する。

広島県が、広島西飛行場跡地利用計画で、「新たな産業(にぎわい)」と位置づけた県・市有地が対象地のようです。
西飛行場跡地ビジョンには、このように最も南側のマリーナホップや観音マリーナが隣接するエリアを「新たな産業(雇用、にぎわい)」ゾーンと位置づけられています。

【広島県】:広島西飛行場跡地活用ビジョン(平成25年5月) (PDFファイル)(5.05MB)


(上記資料より)

 

それでいいのか。そこでいいのか。

MICE施設は10haを超える大規模展示場を含んだ、国際的な会議や展示が行える施設を想定しているようですが、
それだけ大規模であれば安定した公共交通機関があることは必須です。
西飛行場跡地の観音地区へは、基本的に路線バスのみで十分とは言えません。
今後大幅な人口増は見込めない状態で、既存施設の更新もしていかなくてはなりません。
これ以上の都市機能の分散は避けるべきだと強く思います。

 

空港跡地という広大な敷地であり、やろうと思えばなんでもできるのは確かですが、
あえて「にぎわい」にこだわる必要はあるのでしょうか。
西飛行場跡地の利用計画で「新たな産業(雇用)」と位置づけられたエリアでは、
大和ハウス工業により開発される産業団地「広島イノベーション・テクノ・ポート」の工事が始まりました。

【日本経済新聞】:広島の飛行場跡に工業団地 大和ハウス、分譲始める

大和ハウス工業は24日、広島西飛行場跡地(広島市)に新たに開発する産業団地「広島イノベーション・テクノ・ポート」の工事に着手した。敷地面積は約9.8ヘクタールで広島港や高速道路のインターチェンジ、市内中心部に近い好立地を企業にアピールし、物流施設や工場などの誘致を進める。2022年春をメドに完成させる。

広島高速3号線・広島南道路がすぐ北を通る西飛行場跡地は、産業や流通業にとっては非常に高立地です。
雇用、技術、知を集めることも都市にとっては、都市の求心力を維持する意味でも非常に重要です。

バブルの夢物語にも近い、西飛行場跡地への10ha規模のMICE施設の設置可能性検討のため、
県と市は西飛行場の利用計画を一時停止するとのこと。
最終的に「時間を浪費しただけ」になりかねず、残念です。

大規模展示場の整備については、商工センター市は商工センターの業者でつくる「広島総合卸センター」が提案した「広島サンプラザ」一帯を開発する方が、
既存施設の更新という意味でまだ現実味があります。

胸が高鳴るニュースです。 広島市西区の商工センター地区の卸業者らでつくる「広島総合卸センター」が、 多目的ホール、結婚式場・宿泊施設などを備える「広島サンプラザ」を 大き

JR山陽本線という大量輸送機関も整っています。

商工センターでなくとも、繁華街が隣接する市文化交流会館、アステールプラザ、
更には平和公園の国際会議場が一体となって誘致活動を行っていく手段もあります。
宿泊施設等、市内の既存の施設を活用することも可能です。

 

西飛行場跡地はもう発注してしまったので、しばらくは検討されていくのでしょうが、
将来を見据えた冷静な判断を期待したいです。

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