変わる福山駅前 『キャスパ』跡地の開発など進む 2021.10

広島県第2の都市、福山市を訪れました。
前回福山を取材として訪れたのは2018年5月だったので、およそ3年半ぶりの記事となります。
その時に兆候があった再開発プロジェクトなどとともに、福山駅周辺がいま変わりつつあります。

この記事でまとめてご紹介します。

前回の状況です。

福山市は、広島県の東部・備後地域の中核都市で、 人口は約46万人の県内第2の都市にあたります。 その福山市の玄関口である「福山駅」では近年、集客力向上のための駅リニューアル

 

 

『キャスパ』跡地に25階マンションなど段階的に

【あなぶき興産】:「福山市三之丸町一番地区再生事業」北棟着工のお知らせ(PDF,278KB)


北棟完成イメージ(上記資料より)

福山駅南口を出て、すぐ右手に存在した商業施設「キャスパ」の跡地利用のプロジェクトです。
キャスパを運営していたトモテツグループ(福山市)に加え、あなぶきグループ(高松市)、キョーエイグループ(福山市)が共同で、3棟の複合施設を建設します。

 

(管理人作成)

北棟は地上25階建てで、マンションを核に商業施設やオフィスが入ります。

中棟は地上10階建ての商業施設とオフィスで構成される施設です。

南棟は当初は地上13階・地下1階のホテルや商業が入る施設が計画されていましたが、
昨年からのコロナの影響を踏まえ、
地上5階のオフィスを核としたビルに変更されました。

 

当初の計画を知るにはこちら。

【福山市】:三之丸町地区優良建築物等整備事業

過去の完成イメージ(上記資料より)

この時は、北棟は22階で計画され、デザインも現在とは異なるものでした。
低層部の商業施設・オフィスに繋がる三角形の開口は独特なので、現実になってほしかったですね。

 

日本経済新聞】:福山駅前再開発ビル、ホテル断念 オフィスに変更

 

 

早速、福山駅南口の様子です。

 

かつてはこのように、大きな商業施設「キャスパ」がありました。

(2018年5月撮影)

 

福山駅駅舎側から。

 

キャスパの建物は昨年度までにすでに撤去されています。
3棟のうち、中棟の施工が先行して進んでいます。

 

こちらは北棟の建設予定地。

 

 

 

【福山市三之丸町1番地区再生事業 北棟】

高さ 86.78m
階数 地上25階
用途 共同住宅、店舗、事務所、駐車場等
住戸数 191戸
構造 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
基礎免震構造
敷地面積 2,062.91平方メートル
建築面積 1,479.36平方メートル
延床面積 22,984.41方メートル
着工 2021年11月1日
完了予定 2024年3月29日
建築主 穴吹興産株式会社
設計者 アルファデザインスタジオ1級建築事務所
施工者 株式会社鴻池組 広島支店

 

冒頭に紹介したように、北棟11月9日に起工式が執り行われ、着工しました。

高さ約87m。福山市では、これの南の街区にある「フローレンス福山ローズタワー」(101.65m)に次ぐ2番目に高いビルとなります。

1・2階は周辺の歩道とシームレスに繋がる商業施設、3階はコワーキングスペースも備えたオフィスが入り、4階以上が住宅部分となります。

 

先行して工事が進む中棟。

1・2階は北棟と同様に商業施設、3~9階にはオフィスが入り、
最上階の10階は商業施設として利用するようです。

 

着工の準備が進められている南棟は、
1・2階に商業施設、3~5階はオフィスが入る構成になります。

 

 

南口はホテルにマンションなど、プチ開発ラッシュ

キャスパ跡地以外にも、南口周辺では同時に開発が進んでいます。

キャスパ跡地のすぐ西側、トモテツビル跡地には、
2021年2月に「ダイワロイネットホテル福山駅前」が新築開業しました。

 

 

 

シックな外観が印象に残りますね。1階にはカフェも入ります。
福山駅もこのように目の前にあり、非常に利便性は高いです。

 

ダイワロイネットホテルから南に直線距離で100mほど、NHK福山放送会館の跡地に
地上20階建ての分譲マンション「ザ・ステーションタワー福山」が建設中です。

 

外観は完全に姿を現しており、完成間近です。

信和不動産(広島市)による分譲マンションで、145戸を供給します。
広島市でも光町や宇品に建設している、「ヴェルディ」と名のつかないマンションですね。
同マンションシリーズとは一線を画した外観となっています。

 

こちらは更に西に300mほど、福山市が所有する「エフピコRiM」の状況。

 

かつては福山そごうなどが入っていたビルですが、閉館後は福山市に所有が移り、
行政の関連窓口などとして機能していました。

 

当施設について、福山市は1階を民間事業者に貸し出し、新たな交流スペースとして開放することを明らかにしました。

【中国新聞】:1階の新名称「iti SETOUCHI(イチ セトウチ)」 福山のエフピコRiM

 昨年8月に閉店した福山市所有の旧福山そごうの大型複合商業施設エフピコRiM(リム)の再開を巡り、福山電業(福山市)は15日、来年4月から運営する1階部分の名称を「iti SETOUCHI(イチ セトウチ)」にすると発表した。デジタル化が進む中、若者を中心とする交流や起業などの拠点を目指す。当初は一部オープンにとどまり、全面開業は同9月になる見通し。

(中略)

 同社が1階フロア(約5500平方メートル)を改装し、飲食やアート、ものづくりなど多様な用途に活用できる空間のほか、コワーキングスペース(共有オフィス)を設ける。間仕切りをせず、利用者が気軽に交流できる空間にする予定。フロアの半分は市民の憩いの場になる。

元百貨店の建物だけあり、延床面積は相当なものなので、このように部分的な改装を進め人々を呼び込む工夫を続けていくようですね。

 

以上、久しぶりに福山駅の周りを歩いてみたレポートでした。

福山の商業は、国道2号に面した大型店、いわゆるロードサイド店が真っ先に思い浮かびます。
駅前や商店街の商業施設への影響は計りしれず、今回紹介したようなキャスパやそごうは閉店に追い込まれました。典型的な空洞化ですよね。

ところがここに来て、その流れが少しずつ変わってきたように思います。
今回取り上げたような再開発はその一端で、
福山市自身も駅周辺をウォーカブルなエリアにしようと模索する動きもでてきました。

福山城に隣接するエリアの賑わい創出を目的とした北口整備事業や
小型の低速EV(グリーンスローモビリティ)導入の社会実験、
さらには歩道を活用した路上店舗の社会実験などなど。

なんとか将来のために状況を変えていこうという危機感を感じますよね。

【福山市】:福山駅周辺デザイン計画(PDF, 約8.9MB)

【中国新聞】:飲食・演奏で歩道にぎわう 福山駅周辺、開放空間で社会実験

 

コロナが水を刺した形になりましたが、これからの賑わいの形を見直す機会にはなったかと思います。
福山の賑わいある都市再生には今後も楽しみにしたいです。

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