新幹線開業を待ち大変貌するJR長崎駅 2021.12

2021年の年末に九州を旅行してきました。
すでに「JR熊本駅」と「サクラマチクマモト」の2つの記事を更新しています。

https://ab-hiroshima.com/202112kumamotoeki

https://ab-hiroshima.com/202112sakuramachi

 

熊本を離れ、次の目的地は長崎!
100年に1度の大変貌とも表現されるJR長崎駅の紹介です。

いよいよ今年、2022年秋に西九州新幹線が部分開通し、長崎に初めて新幹線が乗り入れます。
頭端式ホームの長崎駅は、新幹線ホームの新設を始めとし、
長崎本線一つ手前の浦上駅付近からの約2.5kmを高架化する「JR長崎本線連続立体交差事業」、
地上駅時代の敷地を利用した新駅ビルの建設と、長崎市による周辺の大規模な区画整理が行われている最中です。

さらに駅周辺にはMICE機能として「ヒルトン長崎」を含む出島メッセの建設や、
ジャパネットホールディングスによるサッカーJ2「V・ファーレン長崎」のホームスタジアム建設など、空前の建設ラッシュとなっています。

 

 

事業の概要

 

【長崎県】:JR長崎本線(長崎駅から浦上駅間)の高架化について

 

【JR九州】

 

新長崎駅ビル(仮称)完成イメージ(上記資料『新長崎駅ビル(仮称)の工事着手及び安全祈願祭について』より)

 

【新長崎駅ビル(仮称)】

高さ ★ 60.0m(最高高さ)
階数 ★ 地上13階
用途 ◆ 商業施設(1~5階)
オフィス(5~6階)
ホテル(7~13階)
駐車場
構造 ★ 鉄骨造
敷地面積 ★ 34,771.35平方メートル
延床面積 ◆ 約102,000平方メートル
約160,000平方メートル(既存建物含む)
ホテル ◆ 長崎マリオットホテル
200室(予定)
着工 ◆ 2021年12月
開業予定 ◆ 2023年秋
事業主 ★ 九州旅客鉄道
基本設計 ◆ 日建設計
施工 ◆ 大林組・九鉄工業特定建設工事共同企業体
実施設計 ★ 大林組一級建築事務所

★:現地看板、◆:公式資料
(最新の情報を採用)

 

長崎駅高架下店舗・新長崎駅ビル位置平面図(上記資料長崎駅高架下 商業施設 施設名称・出店テナント決定のお知らせ!』より)

 

地上駅時代には、「東口駅前広場」付近に列車が乗り入れていました。

新駅ビル内には、長崎はおろか九州初上陸となる「マリオットホテル」が入ります。
駅の西側には2021年11月に「ヒルトン長崎」が開業しました。(別記事で紹介します)
この勢い凄すぎです。

 

 

地上駅の跡地に建設が始まった新駅ビル

全体です。

長崎県庁から見下ろしています。
中央の膜屋根が高架化された長崎駅ホーム。
右側のベージュの建物群が既存の長崎駅ビル(アミュプラザ長崎)で、
この間に新駅ビルが建つ予定です。
既存の長崎駅ビルは新駅ビル開業後も引き続き供用されます。

一番左側の建物が「出島メッセ長崎」。奥にヒルトン長崎が入るホテル部分が確認できます。

 

長崎駅東口から。
まずは開発前の地上駅時代の外観を見ていただきましょう。

(2018年10月撮影)

個人的に「長崎」といえばこのイメージでした。

 

現在はご覧の通り。

 

新長崎駅ビル(仮称)完成イメージ(上記資料『新長崎駅ビル(仮称)の工事着手及び安全祈願祭について』より)

写真右側にかつての長崎駅ホームと駅舎がありました。
新駅ビルは奥に向かって東西に長いビルになります。

 

特徴的だった膜素材の屋根は撤去されました。

 


(2018年10月撮影)

完成イメージ図をよく見ると、膜天井は存在していますよね。
あえて同じ場所に復活させるようです。

 

高架化により駅舎は大きく西に移動したため、現在は区画整理中の用地にこうした仮通路が設けられています。

 

出島や中華街など、繁華街に行くためにはこの東口を出て路面電車やバスに乗る必要があります。
完成してもこの「遠さ」は変わることはないので、いかに遠いと思わせないようにするかは課題ですね。

 

通路の北側は現在区画整理が行われています。

かつてここを電車が走っていました。
整備後はバス・タクシーのりばなどができるようですね。

 

仮通路を西に進み、高架駅舎に近づいていきます。

見えてくるのは新幹線駅舎です。
左手には駅ビルが建ち、長崎マリオットホテルが誕生します。
何もかもが変わりますね。

 

駅舎の中に入りました!

 

東西自由通路は天井が高く木材をふんだんに使用したつくり。
とはいえ、まだまだ暫定開業の状態で、新幹線高架下部分と自由通路より北側部分は未開放となっています。

未開放の自由通路北側には、みやげ物などを扱う「長崎街道かもめ市場」を整備中です。
こちらはひと足早く、2022年春に開業する予定です。

 

自由通路を通り抜け、西口に出ました。

長崎駅にこれまで西口は無く、新設された出入口になります。
この背後には、ヒルトン長崎が入るコンベンション施設「出島メッセ長崎」が完成したばかり。
こちらは別途ご紹介します。

 

長崎駅西口。

ガラス張りの外観から内部の列車が見えます。
この市道自体も、駅の高架化に合わせて整備された区画道路です。

 

 

新幹線も見える?明かりを取り込む高架ホーム

続いて、在来線改札内に入っていきます。

在来線コンコースです。在来線は2面5線の構造です。(切り欠きホームあり)
新幹線が開業すれば、現在の在来線特急かもめがなくなり、普通と快速のみの運用になります。

 

ホームに上っていきます。

 

 

明るい!
全体に膜素材の上屋が使用され、心地よい空間になっています。

 

頭端式ホームでありながら、列車の停止位置よりも先にホームが伸びており、
そのまま外に出られそうな構造になっています。

 

 

将来的にデッキを整備して、新駅ビルなどと回遊できるようになるそうです。
改札機能をどこに設けるのか興味深いです。

 

特急かもめ。

「かもめ」の名称は、西九州新幹線に引き継がれます。
こちらの在来線885系はまだまだ新しいので、九州内の新天地で活躍することになるでしょうね。

 

新幹線ホームは在来線ホームと隣り合っており、その様子をうかがうことができました。

 

今年の秋開業予定なので、すでに基本的な設備はほとんどできていますね。これは期待が膨らみます。

 

在来線ホームから西側を見ると、出島メッセ長崎が目の前にあります。

 

ヒルトン長崎(出島メッセ長崎)

 

どちらも2021年に開業したものです。

 

 

あとがき

長崎にマリオットホテル。驚きました。
実はふとこのニュースを12月に目にしたのがきっかけで、今回長崎を訪れることを決めました。

JR九州も県・市、地元財界も西九州新幹線へ期待がとてつもなく大きいですね。

長崎県は人口減少が深刻な課題となっており、
長崎市においても人口減少数が全国の市町村ワースト3位という結果が出ています。(2020年国勢調査)
重厚長大の2次産業で栄えた街は多くが苦戦しています。半島の末端に位置する長崎は地理的なハンデもありますね。

そんな状況の中実現した西九州新幹線。

新幹線を契機として、「観光に特化して生き残っていく」という自治体や財界の強い決意を感じますね。
これだけの投資に見合った効果があったか、すぐには答えは出ません。
これは広島にも言えることですが、
ありきたりで平均的なものであれば、福岡市はじめ大都市には勝てないので、この”中途半端にしない姿勢”は参考にしたいものです。

 

ただ、ご存知のように2022年秋に開業するのは長崎~武雄温泉間であり、
武雄温泉から先(佐賀県内)の建設の見通しは現時点では立っておらず、博多からは一度乗り換える必要があります。

博多からの所要時間は概ね1時間30分。現状よりおよそ30分短縮される予定です。

 

 

 

オマケとして、長崎駅の一つ手前の浦上駅。

長崎駅とともに連続立体交差事業により高架化されました。

 

浦上駅から北へ1kmほど。
長崎に来たからには。

 

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