球場跡地検討委員会の最終報告 & 前回のコメントへの返信 (更新あり)

昨年9月から始まったサンフレッチェ広島による、専用スタジアム建設を求める署名が21日広島市に提出されました。
オンラインも合わせて37万人近い署名が集まったそうです。
【中国新聞】:サッカー場署名は36万9638人 (以下転載)

 広島県サッカー協会とJ1サンフレッチェ広島、同後援会は21日、広島市に松井一実市長を訪ね、市中心部にサッカー専用スタジアムの建設を求める署名36万9638人(17日現在)が集まったと報告した。これを受け松井市長は24日、湯崎英彦知事に官民が参加する協議会の設置を正式に呼び掛ける。スタジアム建設をめぐる議論が本格的に始まる。
 
 サッカー協会の小城得達会長とサンフレの小谷野薫社長、後援会の加藤義明会長が訪問。小城会長が三つの段ボール箱に入れた署名簿を松井市長に示し「早期建設に向け具体的施策を進めてほしい」と求めた。松井市長は「県民、市民ぐるみで対応するべきだ。早急に協議会を立ち上げたい」と答えた。
 
 建設に関する協議について松井市長は24日、湯崎知事との会談で議題にする意向だ。検討の場は県や市、サンフレ、広島商工会議所などが2003年に設けた「サッカースタジアム推進プロジェクト」(10団体、現在は休眠状態)を活用する方針でいる。
 
 続いて3人は県庁に湯崎知事を訪ねた。湯崎知事は「さらに県民全体が盛り上がる必要がある」と述べ、松井市長の呼び掛けに応じる考えを示した。
 
 サッカー専用スタジアムをめぐっては、3団体が12年8月、建設を求める要望書を県と市に提出。9月から署名活動を本格化させた。署名は建設の見通しが立つまで集める。

これを受け、広島市と広島県は商工会議所も加えたサッカースタジアム建設のための協議会を近く設けることを合意しました。
【中国新聞】:サッカースタジアムへ協議会
施設の規模や資金調達、管理運営、建設場所、ビッグアーチとの棲み分けなどについて議論がかわされる予定です。
 
一番の課題は資金調達になると思われます。駅前再開発の集中などで財政が厳しいのは重々承知ですから、
これから少し時間がかかっても必ず何処かへ造ってくれるよう議論が発展することを願いたいです。
 
 
 
さて、およそ2年前から検討委員会を設置して議論されてきた「旧広島市民球場跡地委員会」の最終報告がまとめられました。また中国新聞ですが
【中国新聞】:球場跡地委が最終報告書 (以下転載)

 旧広島市民球場跡地(中区)の活用策を考える市の跡地委員会は25日、松井一実市長に提出する最終報告書をまとめた。「緑地広場」「文化芸術」「スポーツ複合型」の3分野の機能を基にした計6パターンの活用案を提示。松井市長はこれを踏まえ、3月末までに活用策を決める意向だ。
 
 市役所であった会合には委員20人(代理1人)が出席。報告書には、3分野の機能に沿って具体的な施設を配した6パターンのイメージ図や、それぞれの概算事業費の比較、各委員が実現可能性などについて述べた意見を盛り込んだ。
 
 この日の会合では、河岸緑地と一体的に活用するため、隣接する広島商工会議所ビルなどの移転を働き掛けるよう市に提案することを決め、報告書に追加した。一部保存されているライトスタンドを取り壊し、モニュメントなど別の形での保存を求める意見も加えた。
 
 最終報告書は2月上旬、松井市長へ提出する。委員長の山野井秀樹広島青年会議所元理事長は会合終了後、「報告書を踏まえ、市には活用案をどう膨らませられるかを考えてほしい」と述べた。

昨年11月に開かれた第6回検討委員会の内容とは少し違うものとなっています。
 
【広島市】:委員会の開催状況
第7回の(2) 旧広島市民球場跡地の活用について(最終報告〈案〉)を見ていただければ全体はわかると思います。
 
A-1案:「緑地広場機能」を主たる機能とし、「イベント広場」を主とする案
A-2案:「緑地広場機能」を主たる機能とし、「スポーツチャレンジフィールド」を主とする案
 
B-1案:「緑地広場機能(イベント広場)」と「文化・芸術機能」とを組み合わせた案
B-2案:「緑地広場機能(スポーツチャレンジフィールド)」と「文化・芸術機能」と組み合わせた案
 
C案 :「文化芸術機能」を主たる機能とする案
 
D案 :「スポーツ複合型機能」を主たる機能とする案
の6案です。
 
予想される事業費と合わせて提示されています。
緑地広場を主たる機能とするA案は7億円台。
文化芸術機能を併せ持つB案は125億円半ば。
大型の文化芸術機能を持つC案は134億円。
最も高く付くのがサッカースタジアムを含むスポーツ複合型が192億円。
だそうです。
 
複合型とはいえ、2万5000人収容のスタジアムで192億円は高すぎますね。。
上の広島市の同じサイトの(3)別冊を見ていただければ分かりますが、
敷地が原爆ドームのバッファーゾーンにあたり、25m以上の建物は建てられないことになっています。
そこに配慮してスタジアム全体が掘り下げて作るよう検討されているんですよね。
そんなことをすれば建設費が膨れ上がるのも当然です。
 
私は中心部へのサッカースタジアム推進を述べていますが、
建設は中央公園に絞って、この球場跡地は中央公園に変わる緑地にしてもいいのかなと最近思うようになりました。
ただ緑地にするだけでは将来が心配ですから、文化芸術施設の併設は必須かと。
ホールは1200席又は1900席が検討されているようですが、既存のホールと同じような規模にしても競合するだけです。
妄想に近い話ですが、広島県と協力し老朽化している「広島県立文化芸術ホール(上野学園ホール 1730席)」を取り壊し、
統合する形で3000人規模のホール(劇場)を球場跡地に建設するというのはどうでしょうか。
広島で一番大きなホールは広島市文化交流会館の「広島文化学園HBGホール」で2001席ですから、
これ以上のクラスでグリーンアリーナとのバランスも取れば3000席くらいのホールが広島にあってもいいのではないでしょうか。
 
 
前回サッカースタジアムの記事を書いた時のコメントへの返信にもなりますが、
私が言っているのは「中央公園広場」と「球場跡地」機能の入れ替えです。
これは本文に追記した返信にも書きました。
なので中央公園をサッカースタジアムで潰すことで、子どもたちの貴重な遊び場が無くなるではないかというご批判は見当違いです。
旧市民球場跡地がその役割を担えばいいのです。
ビッグアーチの活用についてはコメントでもいただいておりましたが、
サンフレッチェが離れることで今まで以上に大物アーティストのコンサート誘致を進めることができます。
県の内外から5万人規模で集客出来ますから、それだけで収益はかなりのものになるはずです。
そして建設場所についてですが、個人的に宇品はありえないと思っています。
高速3号線は確かに通ってますが、ビッグアーチも山陽道が側を通っています。問題だったのは駐車場の少なさや周辺道路の大渋滞でした。
公共交通が貧弱なので車での来場比率は高くなるはずです。大きな駐車場を用意できなければ現状と同じ状態になってしまうのは避けられません。
駐車場にも建設費や広大な敷地が必要なことを考えると、車以外の選択肢が多い中心部に造るのがベストでは無いでしょうか。
商工センターは宇品に造るよりは遥かにいいと思います。
新井口周辺だとペデストリアンデッキも整備されていますし、JRでかなりの数がさばけます。
その場合は旧球場跡地に無理をしてでも”緑地広場ではない”集客できるものを建設する必要があると思います。
 
色々詰め込みすぎて読みにくいものとなってしまいましたが以上です。
 
 
■この記事に対するコメントへの返信(2013/02/01)
たくさんのコメントをいただきまして誠にありがとうございます。今回も返信をこちらに書いてみました。
 
>乗合自転車さん
御覧頂いてありがとうございます。
県立文化芸術ホールは音響が良いということは聞いたことがありましたがそういう訳だったのですね。
それも現在の法律では同じものは建てられないとは…知りませんでした。貴重なものなのですね…。
老朽化は進んでいくので難しいです。
 
 
>ふーさん、名無しさん
名無しさんのおっしゃるとおり、あの場所は国が所有している状態ですから用途がかなり限られていますよね。
かなり初期の段階では広島市が買収しては?という議論もあったようですがやはり資金面で難しいようです。
 
 
>JUNさん
都市公園法の制約が大きいのですね。。中央公園論が浮上してきたことによって、かえって球場跡地へのスタジアムはメリットをあまり感じなくなってしまいました。
文化施設があの場所に来ることは大きな意味がありますよね。
 
 
>チャックンさん(6)
こういう言い方は悪いのかもしれませんが、地方のアイドルグループがあれば広島という名前も全国に売り出せますし、まちの資源としてもあればいいなと思ったことはありますね。
全く無名の状態ですがMMJ48(もみじ)というのがありませんでしたっけ?
 
 
>広島に親戚が多い仙台市民です(7)さん
大変貴重なコメント本当にありがとうございます。
仙台の方なのに私なんかよりかなり詳しく調べていただいて本当に頭が下がります。
読めば読むほど、広島に観光循環バスが必要だということを感じるようになりました。
確かに100円ループバスは私も何度か使いましたが、観光客はあまり使ってくれませんでしたよね。
仙台の「るーぷる仙台」の内容と利用状況を拝見しても広島市よりずっと考えられているなと痛感させられる思いです。
広島でという事ならおっしゃるとおり運行は広島電鉄に任せるのが順当だと思われます。
平和公園周辺に3つの市内の美術館、そして広島城と観光資源がありながら結局見るものと言ったら原爆ドームくらい。こういう循環観光バス路線を作って(バス自体も2階建てなど特徴的なものにするとなお良いですね。)積極的にアピールすることが、観光客に滞在してもらうことに本当に大きくつながると思います。
全面的に賛成します。ぜひこれは検討していただきたいです。ありがとうございました。
 
 
>むーばすさん
福岡のオープントップバスも素晴らしいものがありますね。
一般的に観光で有名な広島がこれほど遅れているのは少し情けないですね。。
 
実はつい先日コンベックス岡山に行く機会があったのですが、広さに驚かされました。。
広島もせめて資金面など議論は続けていく必要はありますね。
 
 
>”bobu”さん
サッカーに興味が無いならまだ分かりますが、サッカーが嫌いな人ってどのような方でしょうか?
>”野球がいなくなってすっきりして安心したところに、また場違いなサッカーが行われるぐらい最悪なことはありません”というのは少なくともbobuさんの主観であり、
現実は建設してほしいという37万票もの市民の意思が集まっているんです。(確かに中身が完全なものであるとは私も言いませんが。)
加えてまだ建設が決まったわけでもなんでもありません。管理や費用対効果、建設費などの問題はこれから議論されていこうとしています。よく分からない理由でそういった議論すら許されないというのはおかしくないですか?
 
 
>カッツーさん
私も美術館や図書館等の老朽化した建物の統合はするべきだと思っています。サッカースタジアム云々だけではなくて、こういったことも総合的に考えていく必要がありますよね。
確かにテニスコート等が点在しているのは効率がいいとは言えませんね。市民病院の北側は地下が駐車場になっているようですが。
中央公園の再編はこれも含めて考える必要がありそうです。
 
 
>田中さん
おっしゃるとおりだと思います。
美術館というのはひろしま美術館のことですか?広銀が所有していたのは知りませんでした。。
基町アパート建て替えの余剰空き地…ということなのでしょうか…?
アパート部分は昭和30年台に都市公園から除外されているようなので、これはもう考慮する必要は無いのではと思うのですがどうなのでしょうね。
 
 
>cyanさん
まず最初に他の方も言われておりますが、一応ここは街づくりにスポットを当てたブログです。
サッカースタジアムが必要ないのなら、球場跡地は何を造るべき(どうしていくべき)だとcyanさんは思われますか?それを是非とも聞いてみたいです。
 
金融政策により確かに物価はゆるやかに上昇していきますが、給与や雇用が増えていくのは考慮しないのですか?
インフレ率が高まれば投資効率も向上するので設備投資や事業拡大が積極的に行われるようになります。そうなれば人材の確保に各企業がしのぎを削るようになるので、給与や雇用も上がっていくと考えるべきです。
過去を見ても日本はインフレ率と失業率を表したフィリップス曲線に綺麗に当てはまる国ですから、「2%のインフレ目標」を実現出来れば、最低でもデフレの今よりは経済の状況は確実に良くなります。
しかしこのインフレ期待が発生するのが金融政策を行なってから時間が掛かるからということで、即効性のあるデフレ対策である公共投資をしっかり行うということなんだと理解しております。
 
話をサッカースタジアムに戻しまして、私も”今すぐサッカースタジアムを何としてもつくれ”と言っているわけではありません。
しかし広島市や広島県、経済界で建設費や運営面などでなんとか実現する方法はないか議論はしてみるべきではないですか?思考停止しては本当に何も進みません。
最後に、私は「サッカー専用スタジアムを造るとしたらどこがいいか?」という問に対しては、「中央公園が一番いい」という考えをもっていますが
「中央公園(市民球場跡地)に何を造るべきか」という問に対しては「これが一番」という考えをまだ持っていません。
都市公園法の中で何を造るのが広島の発展になるのか、様々な人の意見を聞いてみたいです。
もう一度書きますが、cyanさんは球場跡地に何を造るべきだと思いますか?


 

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