広島駅2階直結!広島新アリーナの事業計画案 JR西日本が『事業主体』へ

広島駅北口で検討される新アリーナ構想について、2026年10月1日、「第2回 新アリーナの実現に向けた協議会」が開かれました。

JR西日本と広島ドラゴンフライズはこの中で、施設配置や動線、年間稼働日数、集客目標、事業スキームなどを盛り込んだ事業計画案を示しました。
広島駅新幹線口のペデストリアンデッキから2階レベルで接続し、県医療拠点方面への歩行者動線も想定します。

年間232日の稼働、160万人の集客を掲げる一方、広島グリーンアリーナとの2館体制による需要確保や、多額の建設資金の調達が課題です。
整備手法は、民間が建設した施設を自治体へ寄附し運営権を受け取る「負担付き寄附」方式を軸に検討が進められます。

 

 

 

JR西日本・広島ドラゴンフライズによる民間提案の概要

【広島イベント事業振興協会】:お知らせ

 

▼資料1「新アリーナに関する民間提案」の要約

基本方針

「世界中から人が集い、広島らしさを体感できるアリーナ」
「アリーナを起点に「交流」と「共創」を促し、広島の都市格向上に寄与する」

スポーツ・コンサートの高い体験価値

  • 広島ドラゴンフライズのホームアリーナとしてBプレミア基準に対応。
  • 1万人規模の収容力、高品質な音響・映像・照明、VIPボックスやプレミアムラウンジなどを備え、大規模コンサートや各種イベントにも対応する。

広島駅直結と日常の賑わい

  • 広島駅新幹線口のペデストリアンデッキと接続し、安全で快適な歩行者動線を形成。
  • 「賑わい・交流ゾーン」や街区公園を設け、非興行日にも県民・市民が集える空間とする。

興行主にも使いやすい施設

  • 大型トラックがアリーナ面まで直接進入できる搬入動線や荷捌きスペースを整え、設営・撤去を効率化。
  • MICE利用などにも対応できる汎用性・拡張性を持たせる。

年間160万人を集客

  • スポーツ、コンサート、イベントなどで年間232日稼働、160万人集客を目標とする。
  • 広島市内だけでなく、県内・県外から幅広く来場者を呼び込む。

広島全体への波及

  • JRやバス、船、宿泊・観光施設などと連携し、来場者の市内・県内周遊を促進。
  • アリーナを目的地にするだけでなく、広島・瀬戸内を巡る「プラスワントリップ」につなげる。

▼検討される新アリーナの概要

規模 1万人規模
年間稼働日数 232日
年間集客目標 160万人
建設費 300億円超
※企業からの資金、行政の交付金などを想定
整備手法 負担付き寄付

 

 

ペデストリアンデッキから広島駅直結!年間160万人の集客目指す

アリーナが検討される広島駅北口 旧JR西日本広島支社

 

いよいよ事業を進めるための具体的な計画段階に入りました。
事業計画を含む提案書は、JR西日本と広島ドラゴンフライズの連名で提出されています。
共同記者会見でもJR西日本は、自らを「事業主体」と位置づけており、土地所有者としての立場以上に計画の中心に立つ姿勢や覚悟が明確になったのではないかと思います。

提案書の気になった箇所をかいつまんでみます。

 

広島駅直結の動線と、コンパクトな施設計画

今回特に興味深かったのが、2階と1階の平面イメージです。

 

広島駅北口の既存ペデストリアンデッキから、2階レベルでメインエントランスに接続することを想定。
さらに北側の県医療拠点方向にも計画動線が描かれており、広島駅~アリーナ~県医療拠点をつなぐ歩行者ネットワークが基本形になりそうです。

 

北西には「街区公園」が表記されていることから、既存の「二葉の里第三公園」を2階コンコースレベルに再整備し、アリーナとの一体利用を図る意向のようですね。
イベントの有無に関わらずデッキで繋がることで2階がメインの歩行者動線となるので、立体的な再整備は合理的だと思います。

なお、1階はバックヤード、駐車場、荷捌きスペースを広く確保。
大型トラックがアリーナ面まで直接進入できるなど、興行主の使いやすさを強く意識した計画です。

 

 

「賑わい・交流ゾーン」はどう活かす?

東側には店舗等を想定した「賑わい・交流ゾーン」が設けられます。報道では「店舗など」と説明されていました。

ここをどう評価するかは、店舗をどのように位置づけるかで変わってきそうです。
イベントのない日の集客を主目的とするのであれば、かなり厳しいのではないでしょうか。
広島駅から直結とはいえ、日常的にわざわざここまで足を延ばす人は限られそうですし、隣接する県医療拠点の利用者の取り込みにも限界があります。

一方で、イベント開催時の滞在価値を高め、来場者と地域との交流を生み出す場と位置づけるのであれば、意味は大きく変わります。
Kアリーナ横浜やGLION ARENA KOBEなど、飲食・店舗機能を充実させている他都市のアリーナもあります。
コンサートだけでなく、1日を通して開催されるフェスや展示会、大規模イベントでは、広域から訪れる人々が会場内や隣接エリアで地元の食事が完結できるメリットは大きいでしょう。

「日常的な商業施設」ではなく、「アリーナ体験を補完する機能」として考える方が、この場所には合っているように思います。

【Kアリーナ横浜】:ショップガイド

【GLION ARENA KOBE】:館内店舗・テナント情報

 

 

グリーンアリーナとの2館体制、資金調達が今後の焦点に

既存の広島グリーンアリーナとの共存も大きなテーマです。
県と事業者はそれぞれ、グリーンアリーナと新アリーナを合わせた2館合計のライブ・コンサート需要を試算しています。
県は準備日を含めて年間124日~170日、JR西日本・広島ドラゴンフライズ側は200日を想定しています。

県は神戸で2館体制となった後の実績や、現在グリーンアリーナで取りこぼしているオファーを基に算出したのに対し、事業者側は現在の需要に加え、将来のライブ市場の成長まで織り込んでいます。

ここは計画を進める上で認識をすり合わせておく必要がありそうです。精緻な予測には限界があるとはいえ、200日はかなり強気な想定です。

コンサートプロモーターや、事業主体となるJR西日本の誘致力・企画力が大きな鍵となりそうです。

 

一般社団法人広島イベント事業振興協会などは、両施設の日程調整や大型コンサート・大型興行の誘致、企画立案を連携して進める考えを示しています。

一つの窓口で、空き状況に応じた会場の手配を行うことなどが提案されています。施設同士で興行を奪い合うのではなく、「広島として取りこぼさない」体制を構築できるかが重要になりますね。

 

 

「負担付き寄附」方式での整備へ 300億円超の建設資金が課題に

整備手法については、既報の通り「負担付き寄付」方式が示されています。
「負担付き寄付」とは一般的に、民間の事業会社が資金を調達して建設し、完成後に自治体へ寄附、その対価として運営権を受け取る方式です。
広島市も前向きにとらえていることから、この方式を軸に事業を進めていくことになりそうです。

広島では、JR西日本を中心とする企業体が主体となって建設し、広島市に寄付。広島ドラゴンフライズなどが指定管理者となり運営する形が想定されます。

ただし、JR西日本が自社資金で全て建設するというわけではなく、国・自治体の交付金、経済界からの寄附金を活用していく考え。
建設費は300億円を超えると見られています。
資料にも「多額の資金調達」が課題として明記されており、次回以降の議題の中心となりそうです。

 

今回示された計画の中で、個人的に最も注目したいのは、やはり年間160万人という集客目標です。

1万人規模のアリーナを年間232日稼働させ、単純平均では1日あたり約6,900人を集める計算になります。もちろんイベントによって規模は異なりますが、既存の需要をグリーンアリーナと分け合うだけで実現できる数字ではありません。

「広島飛ばし」とされてきたコンサートを取り戻すことに加え、新たな興行を呼び込み、県外からも人を引き寄せ、広島のイベント市場そのものを大きくすることを前提とした、かなり挑戦的な目標だと思います。

新アリーナが「できるかどうか」から、そのアリーナを使って「広島にどれだけ新しい需要を生み出せるか」へ。議論は一段階進んだ印象を受けました。

JR西日本が事業主体として前面に立つ意味も、単に駅前の土地を活用するだけではなく、鉄道・ホテル・商業・観光まで含めて人の流れをつくるところにあるはずです。今後は160万人という数字をどのような興行戦略で実現し、広島・瀬戸内全体への波及につなげていくのかにも注目したいですね。

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