JR広島駅の新しい駅ビル「minamoa(ミナモア)」が、2025年3月24日に開業しました。
新しい駅ビルは、広島駅南口広場の再整備の核となる施設として、JR西日本が2020年から建て替えを進めてきました。
地下1階から9階に、カフェやコスメ・雑貨、中四国最大の飲食店街やシネマコンプレックスなど、およそ220テナントが集積する商業施設です。
9~20階を占める「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」も同時開業しています。
中央アトリウム空間に乗り入れる路面電車は引き続き工事が行われており、
2025年8月3日に開業する予定です。
前回の状況です。
4月29日、駅前大橋ルートの周知と機運を高めることを目的に、
「変わる広島駅・駅前通りファミリーフェス2025」と題したイベントが開催されました。
今回整備した新ルートに初めて車両を入れて展示を行うとのことで、その状況をこの目で確認してきました。
目次
事業の概要
【広島市】: 広島駅南口広場の再整備等
駅前大橋線計画図(上記HPより)
新ルート稲荷町電停に車両入線!新時代の光景
稲荷町交差点から。
駅前通りから広島駅方面を見ています。
そのルート上に路面電車の車両を確認。
目の前まで移動しました。
駅前大橋ルート上に広電の車両が2編成入り、新しい稲荷町電停に停車・展示。
信じられない光景です!
展示されているのは、JRとラッピング交換を行った5100形「グリーンムーバーmax」と、貸し切ってお酒等を楽しめる「トランルージュ」の2編成です。
改めて、駅前通り上の真新しい線路、電停と絡めて。
駅前通りや広島駅前のビルを背景に路面電車が止まっている光景が非常に新鮮です。
何十年も見たかった光景です。
新しいデザインの電停上屋も非常にシックかつ開放的です。
新しい稲荷町電停(本線下り)は全長約70mと終点を除く電停では最長となります。
5連接車(30m)は2編成が直列で入線できる長さです。
稲荷町電停ほか、今回新設される松川町電停は全面ガラスの背板が用いられており、開放的で、歩道から電車の存在がよく分かるようになっています。
構造を支える支柱はホーム側に収まっており、ファサードは一面ガラス張り。
一気に街に近代的な印象を与えてくれますね。
ガラスの色味から想像するに、紫外線・赤外線カットの加工がしてありそうなので、
夏場でも見た目よりは暑さは抑えられるのではないかと思います。
新ルートへ車両を入れての展示という歴史的な日に立ち会うことができました。
比治山線や既存の稲荷町電停でも改修進む
こちらは従来より運用する上り広島駅方面の稲荷町電停です。
既存の上屋を取り払い、新仕様の上屋の整備工事が進みます!
見違えるように美しくなりました。
庇はこれまでの広電では全く見られなかった黒いパネルを使った新しいデザイン。
夜間の照明がどのように光るかも気になりますね。
ここに入線する車両。
こちらは未共用の駅前大橋ルート比治山線の上り稲荷町電停。
同様のガラス張り・上屋のデザインで、ほとんど完成しているように見えました。
発車案内用のLCDモニターも養生が外れ、見えるようになっています。
既存ルートと繋がる 電停設備はほぼ完成した新ルート比治山線
駅前通りを南下して、比治山下電停との間にできる(仮称)松川町電停まで移動しました。
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背板がガラス張りなのは稲荷町電停と同様ですが、庇の形状は異なります。
腰掛けや駅名標のパネルを設置するためのフレームが確認できますね。
こちらは下り広島港方面の松川町電停。
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先程の上り電停と同じくらいの水準まで仕上がっています。
終端部の侵入防止柵までガラス張りです。
こちらは駅前大橋ルートが既存の比治山線と合流する比治山町交差点。
既存の軌道に分岐器が追加され、新ルートと繋がりました!
既存のルートも2026年春の運行開始を予定する循環ルートの一部として活用されます。
橋梁部は大詰め!架線柱の整備が進行する広島駅付近
場所は変わって広島駅へ。
ミナモアから見下ろす駅前通り。道路の中央には新しい軌道が通り、
先程の稲荷町交差点に車両が展示してあるのが確認できます。
駅ビルから駅前大橋に至る橋梁上でもレールの設置が完了したようです。
1組しかなかったゲート型の架線柱も一気に増えました!
2階レベルに遷移する起点、駅前大橋南詰交差点から。
横断歩道の仮囲いが外れ、スロープが確認しやすくなりました。
騒音・振動抑制のため、樹脂で固定されたレールがよく確認できます。
広島駅へはここからスロープを駆け上がり、2階に乗り入れます。
先程書いたように、ゲート型の架線柱が大幅に増加しています。
目線より高い位置に橋梁があり、ビルの2階に突っ込んでいる。そのビルの屋上では多くの人が座って団らんしている光景が未だに信じられないですね。
広島駅前まで移動しました。
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のりば付近では架線を吊り下げるための黒い梁が拡大しています。
架線を吊るす吊架線(ちょうかせん)は通常、テンションを掛けたワイヤーがその役割を果たしますが、駅部付近ではこのような鉄骨の梁が使用されています。
これも全く新しい光景ですね。
南口広場側は全体に大屋根がかかるので、そこまで目立たなくなるかと。
吊架線に鉄骨の梁が使用される背景にあると思われるのがこちら。
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アトリウム空間ののりば部分の架線を写したものです。
なんと、給電用の架線は棒状の剛体架線が用いられています。
金属ワイヤーを使用しないのは駅ビルの特殊な構造ゆえ、スペースの問題等もあったのでしょうか。
以上、PRイベントも行われた駅前大橋線のレポートでした。
これまでの工事の様子から開業の様子の想像はできていたものの、今回のように実際に車両が入った光景を目の当たりにするとやはり新鮮ですし、感慨深いものがありますね。
これがアトリウム空間にまで乗り入れてくると更にワクワクが増してくるのでしょうね。
駅前大橋ルートは既存ルートを短絡するため、その構造だけで紙屋町まで4分の短縮効果があると試算されています。
ただ、駅を出発してから信号交差点や電停の空き待ちでロスするようでは意味がありません。
列車の出発タイミングや出発順、さらには乗降時の停車時間の短縮など、
この駅前大橋ルートの開業を機に、あらゆる面でアップデートされていくことに期待したいです。
路面電車駅前大橋ルートは、2025年8月3日に開業する予定です。
開業と同時に廃止となる広島駅~的場町間。
ここを電車が走るのもあと3ヶ月程度となります。