広島電鉄は、2026年度から2028年度までの「広電グループ経営総合3ヵ年計画2028」を公表しました。
その中で、交通サービスとしての路面電車の価値向上する施策の一つとして、
路面電車の電停の統廃合を検討する方針が示されました。
短い距離に電停が集中する区間や、ホームが狭くバリアフリー対応が難しい電停を見直すことで、利用環境の改善と所要時間の短縮を図ります。
計画にはこのほか、電車優先信号の拡充、平和大通りルートの協議、運行制御の自動化といった、さらなる円滑化・高度化を検討することなども盛り込まれました。
広電グループ経営総合3ヵ年計画2028の概要
【広島電鉄】:広電グループ経営総合3ヵ年計画2028(2026年度~2028年度)
広島電鉄は2026年5月14日、2026年度から2028年度までを対象とする「広電グループ経営総合3ヵ年計画2028」を公表しました。
計画では、人口減少や高齢化、人手不足、設備老朽化といった構造課題を前提にしながら、観光需要の回復や都心再開発の動きを成長につなげる方針が示されています。
交通事業では、路面電車を「都市交通の中核」と位置づけ、
単なる移動手段として維持するだけでなく、安全性、利便性、速達性を高める方向性を打ち出しています。
その中で注目されるのが、電停の統廃合です。
短い距離に電停が集中する区間や、電停が狭くバリアフリー化が難しい場所を対象に、電停の集約や見直しを進める考えです。仮井康裕社長は記者会見で、検討例の一つとして小網町電停を挙げました。
ついに踏み込んだ電停統廃合 路面電車の価値を高める本質的な施策に
広島の路面電車は、都心の基幹であるべき公共交通機関です。
通勤・通学、買い物、観光まで幅広く支えている一方で、所要時間の短縮(表定速度の向上)はかねてから大きな課題でした。
特に、電停間隔が短い区間では停車回数が増え、加減速と乗降時間が積み重なっている状況です。
広島駅では新しい駅ビル「ミナモア」が開業し、その集客力で都心での存在感を大きく高めているだけに、紙屋町・八丁堀地区とストレスなく円滑に回遊できるネットワークの重要性はさらに増しています。
広島駅ビル「ミナモア」
そのような中、広電の経営層から電車の速達化に直結する電停の統廃合や電車優先信号の拡充が取り上げられた意味は非常に大きいです。
ここ数回の中期経営計画に、電停の統廃合や平和大通りルートに関する記載はほとんどありませんでした。
【広島電鉄】
駅前大橋ルートの開業により、表定速度の向上は部分的には図られました。
朝ピーク時には一部列車で快速運転も行われています。
それでも、根本的な原因である「近すぎる電停」の問題は、やはり改善が急務です。
このブログでも、電停の統廃合と電車優先信号の拡充は何度も主張してきました。
今回、広電の中期経営計画にその方向性が明記されたことは、率直に感慨深いです。
残す電停は、現在運行されている快速便と同様に、広島駅-稲荷町-八丁堀-紙屋町東(以降は要検討)でよいと思います。
合わせて電停を延長し、原爆ドーム前電停のように前後の横断歩道から行き来できるようにすれば廃止電停付近へのアクセス性も良くなります。
平和大通りルートについては、西観音町~白神社交差点までとなるとハードルが高いので、西観音町~土橋までの区間だけでも優先して進め、小網町付近の狭隘区間・クランク解消を実現してほしいです。
具体的なプランなどは、また改めて想像してみたいですね。
ただ、電停の存廃は沿線への丁寧な説明が求められる問題でもあります。
駅前大橋ルートの的場町・段原一丁目の件もあり、広電もそこは十分理解しているはずですので、うまく進めてもらいたいですね。
広電は今回計画に記載されたこと以外にも、横川線の一部区間を使用して
路面電車の運行速度を高める実証試験も先日から始めています。
こうした前向きな取り組み姿勢には頭が下がります。
気がかりなのは広島市です。
先ほど触れた、電停の存廃や優先信号の拡充にあたっては沿線住民や警察等関係機関との説明や調整などが欠かせません。
行政だからこそ任せられる役割も少なくないはずですが、広島市の各種施策に路面電車の具体的な高度化施策は駅前大橋ルート関連以外目立って盛り込まれていません。
市議会等ではたまに質問していただく議員さんもおられるようですが。
来年春には広島市長選挙も控えていますが、今後の路面電車をどういった位置付けにしていくのか。
バスにはない専用軌道を持ち、大量輸送も可能である点を見つめ、どうか積極的な姿勢を見せてほしいです。
本3ヵ年計画は、2026年度から2028年度までを対象に進められます。
挙げられた施策について具体的な実施時期は示されていませんが、今後、各関係者との協議を進めていく見通しです。
電停が近接する胡町電停・八丁堀電停


