昨年になりますが、11月に松山に行ってきました。
四国最大の都市で広島との繋がりも強い松山市は、JR松山駅ではなく松山城周辺に中心市街地が形成されています。
市民の足となっている伊予鉄は路面電車の市内線と専用軌道を走る郊外線が運行されており、
それらが集まる松山市駅が事実上の都市の玄関を担います。
松山市は「歩いて暮らせるまちづくり」を目指し、公共交通の乗り継ぎ利便性向上とにぎわい空間の創出を図るため、松山市駅の駅前広場の再整備に着手しました。
2026年度の完成を目指します。
事業の概要
【松山市】:松山市駅前広場の整備 – 事業の概要
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(上記画像は松山市『松山市駅前広場整備事業パンフレット(PDF:271KB)』より)
再整備により下記のように生まれ変わります。
- 広場内に分散していたバス乗降場を東側に集約
- 市内電車のりばを郊外線側(駅ビル側)に近づけ、乗り換え距離を短縮
- 新たな市内電車のりば北側に人が集える交流広場を整備
整備前(現状)の松山市駅駅前広場(©Google)
駅前広場の改良に着手!巨大駅ビルの松山市駅
まずは駅前広場の東側から。
駅ビルにあたる「いよてつ高島屋」の方向を望みます。
政令市の駅前にも引けを取らないレベルの巨大な駅ビル。
百貨店が入りなんと屋上には観覧車まであります。
想像の5倍くらい都会で驚きました^^;
背後には松山を代表する商店街の一つ、「松山銀天街」が東に伸びています。
ここを進んで、そのまま三越などがある大街道を進むのが街歩きには良いようですね。
いよてつ高島屋の前面歩道はすべて上屋付きで雨に濡れずにある程度移動できます。
最初の場所に戻り、改めて駅前広場を見てみます。
現状はここから西側まで車両が通り抜けられるようになっていますが、
整備計画は通り抜けを廃止してロータリー化するというもの。
西側を路面電車と歩行者を中心とした空間に再生します。
駅前広場の西側まで移動しました。
ここの車道が廃止されるわけですね。
路面電車の電停も現在の広場の中央から、駅ビルに近い南側に移動され、横断歩道を渡ること無く行き来できるようになります。
現在の路面電車のりば付近。
将来は約1,600平方メートルの交流広場になります。
オレンジ色の伊予鉄たち。
古い車両まで含めてすべてこの色に統一されています。
伊予鉄は専用軌道を走る郊外線と併用軌道を走る市内線に分かれています。市内線はすべて1両編成です。
なんだかどの車両も可愛いんですよね。
出発時に鳴らすミュージックホーンまで含めて愛くるしくて、とても印象的でした(笑)
歩行者が主役!松山市駅から続く花園通り
松山市駅から松山城のある北方向に伸びる「花園通り」は、
「歩いて暮らせるまち松山」のシンボルロードとして、広場を備えた道路として2017年度に大規模なリニューアルが施されました。
具体的には、これまで片側2車線だった車道を1車線に減らし、
自転車・歩行者空間として再配分を行うというもの。
これにより、通りと商店が一体となった都市景観が生まれたほか、芝⽣広場やウッドデッキなどを整備し、⼈々が滞留する憩いのスペース、賑わいや地域交流の場が創出されました。
【松山市】:花園通り リニューアル(PDF, 約1.7MB)
【ソトノバ】:車より人を主役に! 地域のコモンスペースとして再生した道路「松山・花園町通り」
歩道の上屋を見ると、どこから拡幅されたのかよく分かります。
この日はイベントなどは開かれていませんでしたが、
”いかにも”なものではなく、ごくごく自然にベンチが設置されているのがとてもゆとりがあって心地いいです。
反対側(東側)の歩道です。
比較的商店が多いこちら側では、店舗のファサードも統一されテイクアウトした食事が楽しめるようなスペースも設けられています。
照明のデザインにもこだわりが感じられますね。
お城の入口、南堀端電停側から松山市駅を振り返ります。
改めて、ここの通りの主役はヒトや路面電車であると実感します。
花園通りの歩行者通行量は、リニューアル前と比べて2倍に増加したそうです。
モノはECサイトで何でも揃うようになりましたが、
その場(まち)その時にしかできない”タイケン”はネットでは手に入りません。
まちの個性を活かし求心力を維持することが、今後の都市競争を生き残りのカギになります。
広島を含め、「ウォーカブルなまちづくり」という言葉はあちこちで聞かれるようになりましたが、
松山から学ぶことはたくさんあると感じました。
おまけ。
まるで大都市のターミナルのような松山市駅郊外線のりば。
なんて可愛いポストだ!