夜間景観の向上へ、広島市が「あかりの社会実験」を実施します!

広島市は、都市の魅力を高める重要な要素である「夜間の景観」について、平和記念公園や広島城など市内主要エリアを用いた社会実験を実施します。
近年注目されるナイトタイムエコノミーの推進やLED技術の進展を背景に、単に明るくするだけでなく、広島らしい「質」の高い光の演出を模索します。
「平和」「歴史・文化」などエリアごとの特性に合わせたライティングを検証し、将来的なガイドライン策定や都市ブランディングにつなげる狙いです。

本実験はエリアを分けながら、2026年2月6日から3月22日にかけて実施されます。

 

 

夜間景観の形成に関する社会実験の概要

【広島市】:魅力ある夜間景観の形成に関するあかりの社会実験を実施します

 

実験名称 魅力ある夜間景観の形成に関するあかりの社会実験
事業主体 広島市
目的 照明技術の進歩やナイトタイムエコノミー推進を背景に、都市の価値を高める夜間景観のあり方を模索。
「平和」や「歴史」などエリア特性に応じたあかりのイメージを検証し、光害にも配慮した広島らしい景観形成の指針とすることが目的。
点灯時間 17時~22時
実施場所・期間 平和記念公園(原爆ドーム周辺)
2026年2月6日(金)~2月23日(月・祝)
京橋川河岸緑地および柳橋
2026年2月6日(金)~2月23日(月・祝)
相生通りおよび広島銀行銀山町支店
2026年2月6日(金)~2月23日(月・祝)
広島城(天守閣および外周部)
2026年2月27日(金)~3月22日(日)

 

ナイトタイムエコノミー活性化への期待と課題

非常に興味深い社会実験取り組みです。

「ナイトタイムエコノミー」とは、日没から翌朝までの時間帯に行われる経済活動のことで、飲食や宿泊、エンターテインメントなどが含まれます。

広島は、原爆ドームや厳島神社という強力な観光資源を持ちながらも、大阪市、福岡市という大都市圏の中間に位置し山陽新幹線でストレスなく結ばれており、観光客が宿泊せずに帰ってしまうという課題があります。
宿泊施設の整備を含む観光施策とともに、夜間に楽しめるコンテンツを充実させるナイトタイムエコノミーの推進は非常に重要な要素です。
この分野において、民間部門での取り組みは一部見られるものの、
他都市で進んだ事例が多く相対的に出遅れていたように思います。

広島駅駅ビル「minamoa(ミナモア)」(2025年4月撮影)

 

ひろしまスタジアムパークおよびエディオンピースウイング広島(2024年8月撮影)

 

今回の実験は、平和記念公園、広島城、および京橋川河岸緑地、相生通りで実施されます。
河川は水の都である広島都心の象徴ですし、相生通りは都市の骨格を成す目抜き通りです。
今回は特定のスポットでの検証となりますが、将来的にはピンポイントの整備にとどまらず、相生通り全体から原爆ドーム、そして広島城にかけてのエリア一帯が連続性のある豊かな夜間景観で結ばれることが理想的です。

 

そして、公共が行う街路の質の向上とともに、そこに面した民間施設から滲み出る明かりも一つの重要な要素です。
商業施設であれば、ファサードをガラス張りにすることで内部の人の活動が見えるようになり、それ自体が活気のある”街の景観”となります。
夜間には店舗の照明が街路に滲み出ることで、まさしく夜間も文化やにぎわい、おもてなしを感じられる空間になるのです。

今回の社会実験のような公共の取り組みとともに、民間のこうした動きへのバックアップ・誘導も重要かと思います。

カミハチキテル社会実験第3弾(2022年10月撮影)

広島市中区の八丁堀地区で、パブリックスペースにおける賑わいづくりの社会実験「カミハチキテル」が行われています。 紙屋町・八丁堀地区の賑わい創出を目指し、民間団体が主催して行ってい

 

広島の夜がどのように変わるのか、その重要な第一歩となる社会実験を楽しみにしたいと思います。

本社会実験は、2026年2月6日の点灯開始を予定しています。

 

 

広島の冬を彩る「ドリミネーション」への提言

夜間景観の向上という文脈において、併せて見直しを期待したいのが、冬の恒例行事「ひろしまドリミネーション」です。
長年にわたり、関係者の並々ならぬ尽力と多くの協賛企業によって、広島の冬を彩ってきた功績は計り知れません。

ひろしまドリミネーションの様子

 

しかし、あえて言いたい…。
ずっと以前から思っていたことですが、このドリミネーションの展示内容について、マンネリ化や、他都市の主要なイルミネーションイベントと比較した際の「インパクト不足」を感じます。

平和大通りの白神社から田中町付近まで数百メートルに及ぶ区間で、
しかも4車線の車道を挟んだ南北の緑地帯で分散して行われているため、光の密度不足、視覚的な没入感が薄れは否めません。
沿線の商店街や協力者との関係上、広範囲での実施が必要な事情は推察されますが、
神戸ルミナリエ大阪・御堂筋イルミネーション仙台・光のページェントなどが圧倒的な光量と密度で人々を魅了しているのと比較すると、改善の余地は大きいと考えられます。

今回の社会実験を機に、実施エリアの凝縮や演出の集中化など、より密度の高い、感動的な空間づくりへの転換を検討すべきではないでしょうか。
魅力的な夜間景観の形成は、都市ブランディングにおいて非常に有意義な取り組みであると同時に、地域経済活性化の観点からも非常に重要な観点です。

ひろしまドリミネーションの様子

 

近年、民間施設においては非常に洗練されたライトアップの事例が増えてきました。

竣工した広島JPビルディングの夜間ライトアップ 2022.09(Vol.41)

広島駅に大鳥居! 完成後の大屋根ライトアップで『おもてなし』演出、2028年度

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