広島電鉄は、平和大通りルートについて、中国新聞のインタビューに応じ、優先して整備を目指す区間や開通の目標時期を明らかにしました。平和大通りルートは、2026年5月に公表された「広電グループ経営総合3ヵ年計画2028」で、実現に向けて関係機関との協議・調整を進める方針が示されていたものです。
今回のインタビューでは、西観音町から平和大通りを東へ進み、小網町交差点付近で江波線につなぐ約0.9キロを優先して整備する考えが示されました。現在の西観音町―土橋間は、狭い生活道路や信号待ちの多い交差点を通ることから、速達性や安全性、バリアフリー面で課題を抱えています。
広電は、開通時期を遅くともアストラムラインがJR西広島駅まで延伸する2036年度と同時期を目指す考えです。駅前大橋ルートに続く具体的な路面電車ネットワーク再編として、少しずつ輪郭を見せ始めました。
平和大通りルートの概要
広電の「平和大通りルート」は、白神社前から平和大通りを西へ進み、広電西広島駅方面を結ぶ構想です。
広電の2026~2028年度中期経営計画にも、実現に向けて関係機関との協議・調整を進める方針が盛り込まれていました。
【中国新聞デジタル】:広島電鉄の路面電車「駅前大橋」に続く新ルートとは? いつ開通? 幹部に尋ねると…
広電はこのうち、優先度が高い区間として、西観音町から小網町交差点付近で江波線につなぐ約0.9キロの区間を想定。
現在の西観音町―土橋間は狭隘でクランクが多く、所要時間は7~8分かかるのが現状です。
新ルートでは数分程度の短縮に加え、安全性やバリアフリー面の改善も見込みます。
”アストラムライン西風新都線がJR西広島駅まで延伸する2036年度より前か、遅くとも同時期の切り替え”を目指すとしています。
対象区間(管理人作成)
ボトルネック解消 平和大通りならではの整備を
駅前大橋ルートとともに、長らく”構想”でしかなかった平和大通り線が、目標を持って検討される段階になっており、歓迎したいです。
構観音町~土橋の狭隘区間は、安全管理が徹底されたトランジットモールならいざ知らず、
自動車交通が混在し、路上駐車も少なくありません。
各電停のバリアフリー面にも課題があり、時代に取り残されてきた区間でした。
優先度の高い区間として、先行して取り組むことについては賛成です。
2036年度ごろという具体的な目標時期が示されたことにも期待が高まります。
実現の大きな課題となるのが天満川に架かる「緑大橋」です。
4車線分の幅員と歩道しかないため、中央に軌道を通す場合は架替え工事が必要になります。
これについては、「サイドリザベーション」方式をぜひ検討してほしいです。
緑地帯に軌道を整備し、路面電車+歩行者専用の橋梁を新たに架ける方が既存の自動車交通への影響も少なく済みますし、
歩道から電停へのアクセス性も良くなるため利用者の利便性向上にも繋がります。
現況の緑大橋は歩道が狭いため、平和大橋のように並行して橋梁を新設することとし、歩行者と路面電車も通行できる空間配分とするのが合理的ではないでしょうか。
土橋~白神社間も同様です。
空間にゆとりのある平和大通りだからこそ、ぜひ検討してもらいたいです。
サイドリザベーションのイメージ(生成AI)
広島市の上位計画でも平和大通り線が示唆?
そして、こうした施策は広電単独では限界があります。
自治体側の動きを考える上で気になる資料が、ちょうど公開されました。
広島市が2026年9月14日から縦覧を始めた、「都市再開発の方針」の案です。
【広島市】:都市計画(都市再開発の方針)の案の縦覧
これまで広島市では、1998年に広島県が「広島圏都市計画」の中で定めた方針を適用してきました。その後の都市計画法改正を受け、今回は広島市域について、市が独立した方針を作成するものです。
個別の再開発事業を示すものではなく、土地利用や都市機能、都市施設整備などの長期的な方向性を示しています。
こので気になるのが、広島都心地区(C-1)と都心西部地区(C-2)の「主要な都市施設の整備に関する事項」です。
両地区に「新規軌道系交通機関の整備(検討中)」との記載があります。
アストラムラインは「広島新交通西風新都線」と別に記載されています。
C-1からC-2へという位置関係を考えると、「新規軌道系交通機関」は広電が構想する平和大通りルートを念頭に置いたものと考えられます。
広電側から2036年度ごろという目標時期が語られたタイミングで、市の都市計画にもこうした記載があるのは興味深いところです。
本来「アストラム延伸開業までに」というようなセリフは自治体である広島市の口から聞きたいところでしたが、水面下では少しずつ調整が進んでいるのかもしれません。
そもそも広島市としては、アストラムライン西広島~本通間の「新交通都心線(第Ⅱ期事業化区間)」も構想としては残っています。(正式に廃案にはなっていない)
下記の記事で書いた通り、都心部延伸には途方もない時間もコストもかかることが見込まれる状況で、
その可能性が残ることによって、「二重投資」となる可能性を理由に、路面電車の平和大通り線の整備に関する整備や議論そのものが停滞してしまうことは避けなければなりません。
私は、早期に路面電車の高度化に政策を絞り、
西風新都線の開業に合わせて早急に改善を図っていくべきだと思います。
2036年度にはアストラムラインが西広島駅まで延伸する予定で、西風新都方面から西広島駅を介した都心アクセス需要も高まります。
西側の交通をどう変えるのか。今後数年の動きに期待したいと思います。
(電停位置は試案です)



