広島県と市、安芸郡府中町・海田町は、JR西日本とともに、広島市東部地区連続立体交差事業を進めています。
JR山陽本線の線路を高架化することで地区の分断を解消するとともに、
踏切の解消による安全性の向上、交通混雑の解消を図ります。
事業費や地元との折り合いの面で事業採択から様々な紆余曲折がありましたが、
最終的に向洋駅および海田市駅周辺の約5kmを高架化し、計16の踏切を除去する計画で関係自治体が合意。
2020年10月から一部工区で準備工事に着手しました。
向洋駅周辺のⅠ期工事は2031年春に完成、
海田市駅周辺のⅡ期工事は2036年度の完成を見込みます。
前回の状況です。
事業概要
【広島市公式ホームページ】:鉄道と道路の立体交差化の推進…JR山陽本線・呉線(広島市東部地区連続立体交差事業)
イメージ(広島市)
事業名 | 広島市東部地区連続立体交差事業 (「見直し修正案」 H30.2公表) |
主な事業内容 | 〔鉄道高架区間〕 Ⅰ期区間:向洋駅周辺~的場川西踏切付近 約2km Ⅱ期区間:的場川西踏切付近~海田市駅周辺 約3km〔関連道路〕 東西幹線道路((都)青崎中店線など)を整備 的場川西踏切⇒閉鎖⇒(都)船越中央線(平面道路)を整備 概ね80m広島側に歩行者横断道を整備 |
概算事業費 | 約915億円(市域:約370億円、県域:約545億円) |
工事期間 | 17年間程度 (Ⅰ期区間:10年間程度、Ⅱ期区間:10年間程度) ※Ⅰ期区間工事着手後、概ね7年程度を目途にⅡ期区間工事に着手 |
除去踏切 | JR山陽本線:12箇所 JR呉線 :4箇所 |
関連事業 | 〔都市計画道路〕 7路線〔土地区画整理事業〕 向洋駅周辺土地区画整理事業 :約12.2ヘクタール 向洋駅周辺青崎土地区画整理事業:約6.1ヘクタール 海田市駅南口土地区画整理事業 :約2.0ヘクタール |
計画図 | 全体スケジュール |
(事業パンフレットより) | (広島市HP『鉄道工事(先行工区)の住民説明会資料(南区青崎・堀越地区) [PDFファイル/7.78MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/196336.pdf)より) |
現在の工事は向洋駅を中心とする区間のⅠ期。
上りの旅客線、貨物線を北側の仮線に移設し、下り旅客線、貨物線の移設工事を行っている
「STEP1」の段階です。
旧跨線橋解体 下り仮設ホーム構築が進む向洋駅構内
JR向洋駅のⅠ番のりばです。
前回、2022年5月の時点ではまだ使えていた従来からの跨線橋が使用を終了し解体されていました。
線路の向こうの光景も一変。
2023年4月には仮設上りホームが供用を開始しており、従来の上りホームは解体されました。
その旧上りホームの位置に近い場所では、仮設下りホームの構築が進んでいます。
線路およそ8本分の幅の先に対面のホームがあるため、切り替え中の駅の敷地はかなり広大な物となっています。
(JR西日本『向洋駅 仮上りホームの供用開始について』(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230329_00_press_koyo.pdf)より)
仮設下りホームへ至る、仮設の跨線橋。
建設中の仮設下りホームに至る階段を取り付ける準備が行われています。
跨線橋はあらかじめ階段を取り付けるために、穴が開けられる構造となっています。
供用を開始した仮設上りホーム。
高架駅に移れば解体されるため最低限の構造となっていますが、それでも広々としていて立派です。
仮設ホームから直接出入りできる北口改札前から、
(2022年5月撮影)
前回はこの改札から、建設中の仮上り線を渡って旧ホームに行き来する構造となっていました。
広島方面を。
線路が多くて分かりづらいですが、今電車が走っているのが旅客上り線の仮線。
そこから左に順に貨物上りの仮線(供用中)、貨物下りの仮線(未供用)、旅客下りの仮線(未供用)となります。
海田方面。
このとおり、駅とその前後では下りの仮線も線路の配線や架線の設置が済んでいるように見えます。
向洋駅西側の踏切から望む移設工事
向洋駅を出て西側の踏切に移動しました。
あまりにも距離が長い踏切となるため、切り替え前の既存の下り線と、仮設に切り替えた上り線で踏切が分けられています。
向かって左が仮線及び仮設ホーム。右側が既存の線路及びホームです。
仮設ホーム側。
駅部分ではつながっているように見えましたが、下り線はこの通りまだ途切れ途切れです。
広島方面を振り返ります。
廃止された貨物上り線です。
旅客上り線の線路は既に姿を消しています。
向洋駅東側の仮線設置状況
向洋駅から海田市駅方向、東側の状況です。
手前の2本が未供用の仮下り線。外側の旅客線はまだ線路がつながっておらず架線も張られていません。
向洋駅を振り返ります。
仮線に移設され線路が引き剝がされた旧下り貨物線。
向洋駅周辺の約2.0㎞の立体化を行うⅠ期工事は2031年春に完成予定、
海田市駅周辺の約1.9kmの立体化を行うⅡ期工事は2036年度の完成を見込みます。
区画整理が進む向洋駅周辺
向洋駅の周りの状況です。
マツダ本社。
JR山陽本線の連続立体交差事業に合わせ、駅前広場やそれに隣接する幹線道路などの整備を行う「向洋駅周辺土地区画整理事業」(府中町)、「向洋駅周辺青崎土地区画整理事業」(広島市)が行われています。
建物の解体が進みます。