広島県は、「広島グリーンアリーナの有効利用に係る意見交換会」の内容を踏まえ、県立広島グリーンアリーナの利用制限を緩和する方針の案をまとめました。
グリーンアリーナはこれまで、県内スポーツ振興のため
コンサートなどの有料興行は原則開館日数の10%に制限されています。
これにより大規模コンサート会場の確保が困難となっており、「広島飛ばし」がしばしば発生していました。
新たな方針はこの制限を土日祝日に限定し、平日は対象外とすることで有料興行の拡大を図るものです。併せて、参加人数や利用日数に基づく早期内定の基準を見直し、スポーツや有料興行で幅広く柔軟に早期内定できるようにします。
広島県は新たな方針案について、8月25日まで募集するパブリックコメントを踏まえ、
2025年10月からの適用を見込みます。
前回の記事。
より広く、より柔軟に。グリーンアリーナ活用の新たな方針案
有識者を交えた計2回の意見交換会を踏まえて、有効利用に係る新しい運用方針(案)が作成されました。
パブリックコメントの募集ページで公開されています。
【広島県】:広島グリーンアリーナの有効利用に係る運用方針(案)に対する意見募集について
▼主な変更点
項目 | 具体的な運用方針(案) | 備考(方針案の背景) |
---|---|---|
1. 早期内定基準の見直し | 参加人数や利用日数といった一律の基準を見直し、新たに設置する「利用調整会議」で、他施設では代替できない「非代替性(規模や聖地性など)」を個別に検討し、早期利用を決定する。 | 現行基準では、準備期間が短い人気コンサートや、中国・西日本ブロック規模のスポーツ大会など、重要なイベントが早期予約の対象から外れ、開催機会を逃すケースがあった。ジュニア選手が目指す「聖地」としての役割も重視する。 |
2. 平日利用の促進 | コンサート等の有料興行の利用は、原則として年間開館日数の「10%まで」という制限を維持しつつ、平日に開催される有料興行については、この10%の制限日数に含めないこととし、積極的に調整する。 | 土日はスポーツ大会とイベントの需要が集中し、予約困難な状況。一方で、平日は比較的空きがあり、コンサート等の潜在的な開催ニーズも高い。展示会利用の減少分をドラゴンフライズの試合や他のイベントに割り当てることで、施設全体の稼働率向上と経済効果の最大化を狙う。 |
通常よりも早い段階(2年前)に利用枠を確保する早期内定基準が見直されました。
早期内定を得るには、有料興行であれば6,000人/公演以上の集客かつ準備・撤去含めて3日以上である必要がありました。
新しい方針ではこれを撤廃し、利用調整会議を随時行い個別検討することで、より柔軟に早期内定公演を決めます。
そして、有料興行の”年間開館日の10%制限”の緩和。
比較的空きがある平日については、この制限が撤廃する方針が示されました。
第2回の意見交換会で、コンサートプロモーター・夢番地の資料では、K-POPやSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)アーティストは、平日でも十分な動員力があるものの、利用制限により開催できていない実態が指摘されています。
平日の利用制限については撤廃することで、土日は従来通り県民スポーツ振興と有料興行を開催しながら、年間の有料興行の開催数を増やす事ができる可能性が高まります。
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(広島県『資料5_広島におけるコンサートエンタメの現状 等 (PDFファイル)(2.88MB)』(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/629501.pdf)より)
個人的には、コンサート会場の不足は大きな課題と感じつつも「広島県立体育館」である以上、県民のスポーツ振興も重要な用途であり尊重しなければならないと思っています。
今回の県の方針案についても短期的には現実的な落としどころと感じます。
重要なのは中・長期的な展望です。
大規模コンサートが供給を大きく上回っているのは事実であり、都市間競争力を落としているのは喫緊の課題です。
新アリーナの建設には様々な面で行政のバックアップが必須ですし、広島サンプラザをはじめとする他のスポーツ・展示施設も今後有効に活用していかなくてはなりません。
広島県と広島市が同じ方向を向いて事業を進めることが何より重要だと思います。
受付中のパブリックコメント
新たな運用方針案について、広島県は8月25日までパブリックコメントを受け付けています。
【広島県】:広島グリーンアリーナの有効利用に係る運用方針(案)に対する意見募集について
(参考)