広島八丁堀3・7地区市街地再開発準備組合は、広島市中区八丁堀の「広島YMCA」や京口門公園一帯で、大規模再開発事業を計画しています。
今年9月に都市計画決定されたことを受け、広島市は「広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業」の都市計画の縦覧を開始しました。
対象区域は北側のA街区と南側のB街区に分かれた約1.4ヘクタールで、
高さ約115メートルのタワーマンションに加え、2棟のオフィスビルを建設し、老朽化した建物の更新と土地の高度利用を図ります。
合わせて、京口門公園の再整備やオープンスペースの確保を行うことで、
国際的な教育・業務・居住機能が調和した、広島都心の新たな回遊拠点の形成を目指します。
完成は2030年代半ばを見込みます。
広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業の概要
準備組合より提出された市街地再開発事業の都市計画提案を受理。2025年9月に広島市は都市計画決定を行いました。
その計画案に対し、令和7年12月9日(火曜日)から令和7年12月23日(火曜日)まで、
役場およびHP上で縦覧と意見募集が行われています。
【広島市】:都市計画(市街地再開発事業)の案の縦覧
都市計画決定の理由としては下記のように記述されています。(要約)
本地区は広島市都心の回遊結節点として重要な位置にありながら、
建物の老朽化や都市機能の未更新、来街目的となる施設の不足、街路空間の狭さなどにより、人が中心となる都心回遊ネットワークが十分に形成できていない状況にありました。
また、地区内の都市公園(京口門公園)は都心部の貴重なオープンスペースであるにもかかわらず、
周辺環境の変化により閉鎖的で薄暗く、有効に活用されていない課題も存在しています。
これらを踏まえ、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、
国際的な教育・業務・居住機能の整備と、多様な人々が交流できるオープンスペースの形成を進め、地区全体として国際交流機能を備えた魅力ある拠点とすることを目的に、
第一種市街地再開発事業として都市計画決定されたものです。
全体イメージ(2021年時点)
(日本経済新聞『広島・八丁堀に新高層ビル3棟 28年度完成へ』(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC015A20R00C21A6000000/)より。広島八丁堀3・7地区市街地再開発準備組合提供)
34階建てタワーマンションと2棟のオフィスビルを建設
対象街区は、市道を挟んで北側のA街区、南側のB街区の約1.4ha。
・A街区は京口門公園を交差点に面する位置に再整備するとともに、
教育施設(広島YMCAを想定)、国際交流拠点、オフィスで構成するA棟を新築。
・B街区は、住戸数約400戸のタワーマンションB-1棟と、オフィスビルB-2棟を建設します。
B-1棟とB-2棟に挟まれた部分は「まちのリビング」として開放することを想定します。
施設建築物計画図(配置図)
(広島市『都市計画(市街地再開発事業)の案の縦覧/参考図(2/3) (PDF 3.5MB)』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/370/sankouzu2_shigaitisaikaihatu.pdf)より)
▼計画される建築物の規模
| 街区 | 主要用途 | 高さ | 階数 | 延床面積 | 備考 |
| A棟 | 教育施設 国際交流拠点 事務所 ほか |
約60m | 地上14階 | 約19,000平方メートル | |
| B-1棟 | 住宅 | 約115m | 地上34階 | 約42,000平方メートル | 住宅戸数 約400戸 |
| B-2棟 | 事務所 | 約60m | 地上14階 | 約18,000平方メートル |
立面図(東側)
(広島市『都市計画(市街地再開発事業)の案の縦覧/参考図(2/3) (PDF 3.5MB)』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/370/sankouzu2_shigaitisaikaihatu.pdf)より)
立面図(南側)
(広島市『都市計画(市街地再開発事業)の案の縦覧/参考図(2/3) (PDF 3.5MB)』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/370/sankouzu2_shigaitisaikaihatu.pdf)より)
無事、都市計画決定を取り付けたということで何よりです。
これまでは報道ベースでしか知ることができなかった再開発に関する情報も、当事者情報として分かるようになってきましたね。
高さ60mのオフィスビルA棟、B-2棟は、ともに低層部にアーチが連なったようなファサードとなっており、
これは現在のYMCAのビルの意匠を継承したものだと思われます。
また、当初のイメージパース通り、B-2棟の角にはピロティが設けられ、オフィスエントランスに繋がる構造となるようです。
A棟建設地(2021年5月撮影)
B-2棟建設地と広島YMCA(右奥レンガタイルの建物)(2021年5月撮影)
再開発により、2枚目の画像右側に写るコンビニの位置が新たな京口門公園となります。
ビルに囲まれ閉鎖的だった現在よりも気軽に利用することができそうで、街の居心地の良さに大いに寄与しそうです。
高さ120mと報じられていたマンションは、都市計画提案の段階で135m。住戸数は最大400戸となっています。
地上43階建て(高さ160m)のアーバンビューグランドタワーは295戸なので、八丁堀エリアでは最大級の住宅となりそうです。
B-1棟建設地(2021年5月撮影)
計画書ではYMCAが入ることも念頭に、
”国内外からの高度人材、来訪者等の受入を促進するため、その受皿となる国際的かつ高次な教育・業務・居住機能の整備に併せ、国内外の多様な人々が集えるオープンスペースや交流機会の提供を行い・・・”
と記載されています。
折しも、対象街区のすぐ南側では、ハイグレードオフィスと国際的なラグジュアリーホテル「アンダーズ広島」が入る基町相生通地区第一種市街地再開発事業が進行中です。
これらの相乗効果で、業務機能の集積と多様な人々の交流が一層高まるエリアとなることに期待したいです。
広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業は、2030年代半ばの完成を見込みます。






