広島市中心部と郊外・安佐南区を結ぶ新交通システム「アストラムライン」(広島高速交通)で、
新型車両7000系の営業運行が3月26日に始まりました。
1994年の開業時から走る6000系の老朽化が進んでおり、
今後、全編成が置き換えられることになっており、その第1号編成がいよいよ運行開始となりました。
車両はコーポレートカラーである山吹色を継承し、安全性や快適性、省エネ性能など大きな向上が図られています。
ようやく乗ることができたので、今回は新型車両の乗車レポートをお届けします!
【広島高速交通株式会社】:アストラムラインの新型車両の導入について
斬新ながら面影が残る外観
駅の外から撮影したものです。
【広島高速交通7000系】
列車編成:6両編成
車両定員:264名(1編成)
編成長 :(6両):50.8m
編成重量:(6両):61.2t
車体 :アルミ製
- 各車両にベビーカー・車椅子の専用のスペースを整備
- セミハイバックバケットシート「G-Fit」の採用
- 1人あたりの座席幅は、従来の6000系より3センチ広く
- 挟み込みに対する安全性に配慮した乗降扉
- アルミ合金のダブルスキン構体「Al-fine」、軽量化台車「T-smover」等の採用による省エネルギー化
- 1編成あたりの重量は5.5%軽量に
最初にイメージ図を見た時にはあまりのカッコよさに個人的に衝撃を受けました。
生で見るのも初めてでしたが、実物も期待通りです!
新型車両7000系は、当初の計画では2025年度までの1期、時期非公表の2期に分けて導入し全編成を置き換えることがアナウンスされていましたが、
利用者の増加傾向や17年度には債務超過を解消したことを踏まえ、
2024年度までに全編成の置き換えを完了させることが明らかになりました。
かなり導入ペースが上がったことになります。
【広島高速交通株式会社】:2020 移動円滑化取組計画書 (PDF形式, 約200KB)
(上記資料より)
新白島駅から。
運転席が目立たないチューブのような配色、ヘッドライトなど「未来的」という表現がピタッと当てはまるデザインではないかと思います。
注目すべきは運転席のフロントウィンドウ下にある、アストラムのシンボルマーク。
これは塗装ではなくLED照明です。進行方向のマークが、オレンジ色に発光します。
斬新過ぎる!!限られた場所でしかきちんと外観を見ることができないのがもったいないですね(笑)
(全駅フルスクリーンのホームドアのため)
ちなみに、車体上部は眩しいほど山吹色一色です。
新車なので、メチャクチャ綺麗ですね。
参考までに、現役の6000系です。
少し見ただけではかなり変わったように見えますが、基本的な配色のパターンは似ていますよね。両方好きなデザインです。
未来感あふれ、ユニバーサルな車内
さて、ここからは車内の様子です。
人がいなくなるタイミングを待って撮ってみました。
先頭車の状況から。
明るく、コントラスト高めな空間が気持ちいいです!
車内で一番見てほしいのがコレです。
運転台の後ろ、車椅子・ベビーカースペースが取られている場所の窓が、コーポレートマークになっています。
こんな列車見たことないです(笑)
もちろん前面窓にすればその方が開放的ですが、こうした遊び心があると愛着がわきますよね。
ついでに運転台の様子です。
最近の車両らしく、非常にクリーンな空間です。
当然のように計器類は全て液晶モニターで表示されたグラスコックピットが採用されています。
しかもデザインがまるでゲームのようにグラフィカル。凄いですね…。
先頭車から、もう少し車内の様子を見てみましょう。
ドアの窓ガラスの大きさに目を引かれます。グリーンムーバーシリーズのようです。
シートにも特徴が。
従来より幅が3cm拡大されたシートは、セパレート化され背もたれも大型化されており、非常に座り心地は良かったです。
足を椅子の下に入れられるようになりましたね。床の色を黒に塗り分け、自然と座った人が足を前に投げ出さないような工夫がされています。
東京のゆりかもめなど基本設計が同じ車両に採用されている「G-Fit」という三菱重工が開発したシートになります。
全てのドア上には、LCDの行先案内が設置されました。
広島であることを忘れそうです。
表示のバリエーションはいくつかあり、出口への階段やエレベーターの位置を知らせる表示もありました。
広電の5連接新型車両5200形「グリーンムーバーApex」にも横長のLCDが設置されましたし、広島でも搭載がスタンダードになりつつありますね。
JRの227系にはありません。。外国人観光客の利用も多く、一番必要なはずなのに^^;
先頭車を離れ、中間車の状況です。
これも大きな特徴の一つですが、従来は先頭車のみだった車椅子・ベビーカースペースが、全車両に採用されるようになりました。
折りたたみ式のイスがあり、展開すればベビーカーと対面して座ることができるのは、これまでのものに比べ大きく快適性が上がったポイントですね。
混雑時は画像の状態で、スペースを広く確保できます。
それと、座席上にこれまで無かった荷棚が設けられましたね。
車端部。
ガラスの車両仕切りが開放的です。
可動する開けやすい取っ手になっています。
仕切りは、片側の車両にしか設けられていないようでした。
以上、新型車両7000系のレポートでした。
大都市圏の車両で採用されている設備が多く取り入れられたこと以上に、
デザインで未来感を強く感じる車両になっていました。
乗り心地はもっと良くなるかと思っていましたが、あまり変わらなかった印象です。
あれは路面の問題かな…。
今後アストラムラインは、延伸事業(西風新都線の建設)が進みます。開通する頃は7000系だけの世界です。
延伸については思うところがありますが、車両自体は都市にふさわしいものになっていると思うので、純粋に導入を喜びたいです。
参考までに、従来の6000系も載せておきましょう。
ボロボロというわけでは全くなく、まだまだ綺麗ですよね。
ラッシュ時の混雑に対応した車内やATCを採用した保安装置など、当時の広島には画期的な車両でした。
新型車両の導入が前倒しされ、2024年度で姿を消すことになります。