広島市中区千田町の「広島赤十字・原爆病院」は昨年から、開業以来の大規模改修工事が始まっています。
中心となるのは新しい病棟の建設で、これまで平面駐車場だった病院の敷地の東側に
免震構造の地上11階、延床面積約2万5000平方メートルの新棟が2015年8月に竣工します。
新棟を建設するための代わりの駐車場を確保するため、老朽化した3号館、5号館、別館の解体も行われます。
既に別館跡には自走式の立体駐車場が整備されており、3,5号館は新棟の完成後に解体され平面駐車場になる予定です。
既存の施設も高度専門医療に対応すべく改装され、最終的に2017年2月のグランドオープンを目指しています。
【中国新聞】:原爆病院を大改修 新棟も建設 128億円かけ1月から
【広島赤十字・原爆病院】:新棟建設のご案内
広島赤十字・原爆病院 新棟イメージ(上記公式ページより)
着工からは時間が経ってしまいましたが、大きな事業ですのでこれから定期的にレポートしていきます。
6月下旬に撮影してきました。
まずは新棟が建設される病院の敷地の東側を、広電が通る千田通りを挟んで撮った画像です。
すっかり囲いが設置され一切立ち入りはできないようになっています。工事は確か昨年の夏頃から始まっていましたね。
それまでここには被曝した旧本館の窓枠のモニュメントがありましたが、新棟建設にあたって近くに移設されました。
これについては記事の最後に詳しく紹介します。
別の角度から。
右手前から左奥に伸びる道路は広島駅から続く駅前通りです。
仮囲いが一部透明になっており、中の様子を見ることができました。
たくさんの鉄筋がむき出しになっています。既に場所打ちの基礎杭は施工されているようです。
南側。
鋼矢板(シートパイル)が道路のカーブにそって埋められています。イメージ図を見ても完成後の建物もゆるやかにカーブした壁面になるようですね。
北側。
こちらは現地にあった建築計画のお知らせです。
病院全体の数字も書かれていてややこしいですが、「今回」というところの数字を見ればいいと思います。
高さは約49m、延床面積は広島駅北口に建設が始まった新しい「広島鉄道病院」(2万2000平方メートル)よりも大きい2万5000平方メートルです。
地上11階でPH階にはヘリポートも完備する病棟になります。
内藤建築事務所による設計、施工はフジタの担当です。
新棟が建設されている敷地を横目に、南側を走る駅前通りを進んでいきます。
ほぼ病院の敷地の西端に位置するのが、別館を取り壊して建設された立体駐車場です。
既に稼働しています。
右奥に見えているのが5号館ですね。最終的には今より多い、310台収容可能な駐車場になるとのことです。
駅前通りを挟んだ病院の向かい側には、最初の方に触れた被爆建物のモニュメントが移設されています。
「広島赤十字・原爆病院 メモリアルパーク」として、原爆関連の史料を展示する広場が昨年7月整備されました。
こちらが被曝した旧本館の窓枠です。
広島にずっと住んでいてもこうやって改めて見ることはなかなかありませんでした。
爆心地の方向を向いていた北側の窓枠は爆風で内側に湾曲していますが、西側の窓枠は内から外に向かって湾曲しているのが分かります。
破壊力を伝える貴重な史料だと思います。
電車通りからは西へ大きく移動しましたが、気軽に近くまで寄って見ることができるようになったので良かったですね。撮影した時もモニュメントの説明を読むサラリーマンの方がいらっしゃいました。
悲劇を乗り越えて赤十字・原爆病院も立派に生まれ変わります。
毎月追いかけて行こうと思います。