広島そごう『新館』が23年夏で営業終了 本館は全面リニューアル実施

株式会社そごう・西武は、広島市中区紙屋町の「そごう広島店」について、
2023年夏に新館の営業を終了するとともに、
2023年秋にかけて本館を全面リニューアルする計画を明らかにしました。

NTTクレド基町の商業棟に入居するそごう新館は、開業からおよそ30年でその幕を閉じることとなります。
そごう本館はリニューアルに伴い、1階と2階部分を
同じセンタービル内に入居する「アクア広島センター街」まで増床して化粧品や高級商品の拡充を図ります。

 

そごうについては、親会社のセブン&アイホールディングスが百貨店事業の売却を検討しており、
従来から行く末が注目されていました。
その結論が出るのを前に、大きなニュースが飛び込んできました。
広島の中心、紙屋町の今後はどうなっていくのでしょうか。

 

 

そごう広島店のリニューアル、西武・そごうが発表

【株式会社そごう・西武】:2022.06.22 広島らしく地域の魅力にあふれた暮らしをご提案 そごう広島店 2023年秋 全館リニューアル(PDFファイル 約221KB)

(上記資料より)

 

そごう広島店 新館(2018年11月撮影)

 

これまで、そごうについては老朽化している「本館」の未来の方が話題になることが多かったですが、
「新館」が先に閉館を迎えるとは予想外でした。

勝手な妄想シナリオですが、老朽化したそごう本館の更新の際は、
新館がそごう広島店の唯一の営業場所として運用されると思っていました。

 

上記のプレスリリースによると、2023年夏の閉館は、建物を管理・所有するNTT都市開発との契約期間が満了したことによるものだそうです。

百貨店業界の衰退に加え、このところのコロナ禍による影響はやはり大きく、
今後にわたって2館を維持していくのは難しいという判断が下されるのも致し方ないですね。

 

一方、「本館」については、およそ20年ぶりとなる全館リニューアルが公表されました。
セブン&アイホールディングスが百貨店事業の売却相手を決める前にこの動き。
これはどう捉えれば良いのでしょうか。

中国新聞の記事によれば、今回の新館閉店と本館のリニューアルは、事業の売却に一切関係ないとのことですが・・・。

”セブン&アイ・ホールディングスは、傘下のそごうなどの百貨店の売却を検討している。そごう・西武は「今回は一切関係ない。今後も広島で百貨店として継続していく」とした。”

(中国新聞デジタル『そごう広島店新館、2023年夏閉館 全面改装する「本館に集約」』)

 

そごう広島店 本館(2018年11月撮影)

 

本館のリニューアルは、プレスリリースを読むと新館に入っていたテナントの入れ替えという意味合いだけでなく、
デパ地下に広島初出店のテナントも誘致するなど積極的な姿勢も見て取れます。

西日本で唯一となった広島店が、本部からそれだけの投資をする価値のある店舗だということでしょうから、完全撤退という可能性は若干減ったのかなと。

 

 

紙屋町の未来を託されたNTT都市開発

そごう広島店の出店形態は少し複雑です。
図を作って整理してみました。

(2022年6月、管理人作成)

 

このとおり、「そごう広島店 新館」は、NTT都市開発が整備した再開発ビル「NTTクレド基町」の商業棟のテナントです。
今回閉店が発表されたのはあくまでこの商業棟のテナントのみで、
NTT都市開発が運営する「パセーラ広島」には直接関係はありません。
(もちろん「新館」閉店により集客減となれば影響がないとは言えませんが…)

中国新聞によると、NTTグループは「市中心部の一等地。間が空かないように次のテナントを見つけたい」と取材に回答しているようです。

(中国新聞デジタル『そごう広島店新館、2023年夏閉館 全面改装する「本館に集約」』)

 

小売業である百貨店に代わる施設として、正直すぐ挙げるのは難しいですが、
都心のど真ん中で軌道系のアクセスもいいので、一部はオフィスに転換させるのもありかもしれません。
広島では今秋に開業する「広島JPビルディング」以降、まとまった規模のオフィス供給はしばらくありません。

屋内で過ごす体験型の施設(キッザニアなど)が、万が一誘致できたら面白いと思うんですけどね。

 

NTT都市開発は、旧広島市民球場跡地と、サッカースタジアムに隣接して整備される中央公園広場エリアを対象とした「Park-PFI」にそれぞれ名乗りを上げ、それぞれの主たる事業者に選定されています。

旧広島市民球場跡地の整備事業者に『NTT都市開発』を選定!Park-PFIを活用し飲食・物販施設など整備

 

紙屋町の未来の一端はNTT都市開発に託されていると言っても過言ではありません。
クレドやそごう本館といった紙屋町地区との一体的な集客については、当然検証と検討が重ねられているはずなので、その手腕に期待するとともに、
市民もわがまち紙屋町のこれからについて、見つめ直す必要がありそうです。

 

パセーラ広島。都市を象徴するこのダイナミックな商業施設は、これからも健在であってほしい。

 

 

(2021年9月、管理人作成)

 

広島市サッカースタジアム等整備事業 2022.06(Vol.4)

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