広島電鉄が、路面電車の「広電本社前」電停を大幅にリニューアルする計画があることが分かりました。
電車が2編成同時に停車できるよう長さを48mに延ばすほか、
電停の幅についても、これまでに例のない3mを確保し、広電の電停としては初めて待合室も設けられる予定です。
また、将来的には路線バスも乗り入れ、同じ電停で発着できる仕組みも検討されているようです。
すでに工事の始まっている現地の様子と合わせて紹介します。
【中国新聞】:「広電本社前」大幅改修へ
イメージ図を見ても分かる通り、これまでには無かった全く新しいタイプの電停になります!
バリアフリー化のリニューアルを受けた他の電停の幅は2m。確かに旧来の電停からは広くなっているものの、
多くの人が集中する時間帯は狭いと感じる場面も多く、ましてやそのような状態であれば車いす使用者はかなり利用しづらい状態かと思われます。
車線数を減らし電停を広く取るのは、バリアフリーの面でも公共交通の利用促進という面でも非常に大きな意義のある電停になりそうです。
路線バスが乗り入れることについても国内で初めての事例となるそうですが
公共交通に対する意識が異なる海外ではよくあるケース。
各バス会社では11月1日から、市内中心部を走るバスの運賃を180円に変更し路面電車と同一としました。
同じ距離でも手段によって利用料金が異なっていた状態から、分かりやすさと公平感が保たれるようになります。
将来的にはバス会社の垣根をも越えた共通定期券の発行も検討されています。
【日本経済新聞】:広島市中心 バス180円均一料金 広島バス・広島交通も
【広島市】:広島市地域公共交通網形成計画(15MB)(PDF文書)
バスも乗り入れるという新しい「広電本社前」電停は、そうした施策のモデルケースになる可能性もあります。
そうしたことも踏まえて、現地の様子を見てきました。
西側の日赤病院方面から近づきます。
日赤病院側から見る現在の電停。
背後の大きなビルは広島電鉄の本社ビルです。
工事は始まっており、すでに片側2車線として運用されています。
”あるものを減らす”ことについては、色々なところから抵抗があるのが定石です。
広島市中心部と宇品地区を結ぶ幹線の一つですが、宇品橋の開通によってメインルートをそちらが担うようになったため、
こちらの県道は車線数の割に比較的交通量は少なくなっています。
そういったこともあり、スムーズに進めることができていると思われます。
電停は現状の長さから、奥の交差点まで延伸されます。
そのため、現在交差点に面する事無く独立して設けられている横断歩道は廃止され、
電停の端の交差点に移設される事になります。
2枚目の画像は、実はバス停から撮影しています。
バスが停車した場合、一時的に1車線になりますが、こうした状況からも「電停にバス乗り入れ」を実現させる必要性もあったのかもしれません。
現在は広島バスが通る路線となっており、広電の電停に他社のバスが乗り入れるという状況になります。
延伸される側となる交差点から見る電停です。
現地の完成イメージ図。
幅が広く待合室まで整備される電停は、是非とも都心部の電停にも採用してほしいですが、
1車線の減少が代償ですから、このような利用者数がそこまで多くない電停でないと難しいですね。。
電停上から。
横断歩道からのアプローチとして途切れていますが、最終的には全て繋がります。
現在の電停の裏側でも車線を塞いで工事が行われています。
現状の電停がどれだけ狭いかということもお分かりいただけると思います。
広島港(宇品)方面。
電停が東側広島港方面に伸びることで、次の電停「御幸橋」との距離がさらに近くなります。
電停の統廃合の必要性について、市や広電でどうか本格的な議論を望みます…。
電停にはLED接近表示装置が設置されています。
幅が狭いので小型タイプが設けられていますが、改修後は紙屋町などと同じフルタイプのものに置き換えられるようですね。
電停の目の前にある、広電系列のスーパー「マダムジョイ」。
少し前までここに展示されていたドルトムント市電は、来年春から広電が造成した西風新都に進出するイオンの「THE OUTLETS」に展示される予定です。
そういえば2年ほど前、この広島電鉄の本社一帯を再開発し賑わい施設を作る、という構想が明かされました。
着工は東京オリンピック以降を考えているようですが、
今回の電停大幅リニューアルは、それに向けた大きな布石になりそうですね。
「広電本社前」電停のリニューアル完了は2018年3月の予定です。