広島電鉄は11月13日の記者会見で、
ICOCA等の全国交通系ICカード(10カード)や、WAON(ワオン)などの流通系の電子マネーを
MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)と同じ読み取り端末で使用できるよう検討していることを明かしました。
既存のICカード「PASPY(パスピー)」の後継となる「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」は、
運賃処理をクラウドで処理することで、コストダウンや柔軟な料金設定を行えるようになる一方、
ICOCA等の10カードと互換性がないことから、
当初は、別途ハンディ端末を用いた簡易対応を行う方針を示していました。
今後の対応について社長が語った内容
【Yahooニュース】:モビリーデイズ専用車載器、ICOCAなどに対応へ 広島電鉄社長が検討表明(中国新聞デジタル)
広島電鉄 仮井社長が2024年9月の中間決算の記者会見で発言したものです。
- ICOCA等(10カード)をMOBIRY DAYS用の車載端末で利用できるよう検討中
- 同じ端末で流通系電子マネー(WAONなど)の対応も検討中
- 上記はソフトウェアの書き換えで対応でき、技術的なハードルやコストは低く導入可能
- 提供会社との調整があるため、導入時期は未定
- MOBIRY DAYS専用ICカードを車内でチャージできるよう検討中
これまでから一転、ICOCAも標準対応へ
ここに来てICOCA等の10カードへの対応方針の軟化は驚きました。
過去のプレスリリースで10カードの対応については、別端末での簡易的に対応する方針が示されてきました。
一つの端末で対応が可能となれば、利用するサービスに関わらず運賃の支払い方法が一本化されるので、
分かりやすさ・ユーザビリティの問題は大きく改善します。
技術的・金銭的な障壁は低いとのことですが、
旧システム(PASPY)の問題は、
・Suicaと同等の性能要件を満たす読み取り端末の更新費用が莫大、
・全国交通系ICカードの残高を使えるようにするための接続費用が莫大
であるため、今回のMOBIRY DAYS導入に至ったと理解しています。
新システム(MOBIRY DAYS)における10カード対応はこれまでと何が違うのか、
結局のところ、PASPYを廃止して切り替えるという大きな負担を強いるに値するコストカットが実現できるのか、気になります。
広電は先日、来年2月からの値上げも発表していますが、10カード利用者には料金を転嫁することで(割引なし)、対応を継続させるという隠れた意図もあるのでしょうか。
NFCで標準化されているため、端末−カード間での通信自体はできると思います。
ハードの性能はPASPYに比べ低いはずなので、読み取り速度が若干落ちるなどの違いがある可能性はありますね。
その他電子マネーも対応を検討中
報道ではイオン系の「WAON」しか触れられていませんが、
交通系ICカード以外にも流通系電子マネーへの対応も明言されました。
このブログでは、偶然にもこの会見の直前に、MOBIRY DAYSのサービスイン、私の懸念と今後の展望について記事を書いていました。
手持ちの様々な支払手段が選べるようになると、広く利用者の利便性は高まりますね。
ただ、利用するICカードを読み取り端末側がどのように判別するのか、気になります。
一般のレジや自動販売機などでも、どの電子マネーを利用するか指定した上で、カード等をかざし決済が行われます。
モバイルSuica、モバイルWAONなど複数の電子マネーが同じスマートフォンに入っているケースもあります。
PASPYを参考にすれば、MOBIRY DAYSとICOCAは同時待受ができそうです。
以下は、路面電車に限った話になりますが、下記のようになる気がします。
【管理人予想】
・モビリーデイズ・イコカ等10カード:全扉乗降可能
・WAONなどその他電子マネー:乗務員のいる扉のみ乗降可能(乗務員がモード変更)
円滑な運行かつ利便性を考えると、あまりスマートではありません。
やはり、そういったマルチマネーに対応する券売機を電停に設置する=車外精算の検討を本格的に始めてほしいです。
今後の対応に注目
合わせて明言された、MOBIRY DAYSの車内チャージも検討されるとのことで、朗報です。
従来のMOBIRY DAYSへの切り替えにあたっては、明らかに利用者の利便性が損なわれる内容が複数あっただけに、
今回の方針転換は歓迎と感謝で受け止めたいです。
背景には、我々を含む利用者の反応や、他の事業者からの説得もあったのでしょうか。
補助金を支出する広島市の意向や、6月の社長交代(椋田氏から仮井氏へ)の影響も、もしかするとあるのかもしれません。
まだまだ未定なことも多く、今後本格的に検討が進んでいくと思われるので、
引き続き注目したいです。