広島電鉄、駅前大橋ルート開業で快速便導入 朝ピーク時の時短効果狙う

広島電鉄は、8月3日の駅前大橋ルート開業にあたり、電車のダイヤ改正と停留場の変更に関するプレスリリースを公表しました。

駅前大橋ルート開業により市内中心部への所要時間が短縮されるほか、JR広島駅停留場が駅ビル2階に移設され、利便性向上を図ります。路線切り替えに伴い一部電停の廃止・休止が生じるほか、増便や車両の大型化を実施します。
また、紙屋町・八丁堀までの所要時間短縮を図るため、朝ピーク時に快速便を設定することも明らかにされました。

路面電車運行の大きな転換点となるか、注目されます。

 

 

駅前大橋ルート開業に伴うダイヤ改正のポイント

【広島電鉄】:駅前大橋ルート開業に伴う広電電車ダイヤ改正および停留場の変更について

▼プレスリリース概要

新ルート開業 駅前大橋ルート(広島駅~稲荷町~比治山下間)が8月3日開業
停留場変更 広島駅:駅ビル2階に移設
松川町:新設
的場町・段原一丁目:休止(2026年春再開)
猿猴橋町:廃止
所要時間短縮 八丁堀・紙屋町方面、比治山下方面へ約4分短縮
増便 1号線:平日朝ラッシュ時4本増便
2号線:平日夕ラッシュ時2本増便
車両大型化 1号線で大型車両運行を10本増加(116本→126本)
乗換指定停留場変更 稲荷町が新たに乗換指定停留場に追加
快速便実証運行 1号線で朝ピーク時2本(7:32発・7:51発)
広島駅→紙屋町東間を9分に短縮(1分短縮)実証運行期間:2025年8月3日~12月31日(予定)

▼快速便概要

 

 


 

駅前大橋ルート開業の先に見える利便性向上への期待と展望

駅前大橋ルートの開業まで1か月を切り、切り替え後のダイヤに関する情報がいよいよリリースされました。
新ルートでの運行に伴い一部の電停が廃止となることや、来年春の循環ルート運行開始まで休止となる電停があることは既報の通りです。
ミナモアの開業に伴う増便を行ったばかりですが、1号線と2号線ではさらに増便を行うとのこと。

 

そしてなんと言っても、快速便の設定には驚かされました。

広島電鉄の路面電車が”とにかく遅い”ことは長年の課題でしたが、遠回りを解消する駅前大橋ルート開業とともに、このような積極的な施策を打ち出す姿勢は高く評価できます。
広島駅から紙屋町まで、新ルートで4分短縮+快速で1分短縮となると、現状と比べ5分もの短縮となります。

ただ、路面電車の構造上、追い越しができない上、多数の先行列車が存在するため、
駅を通過してもすぐに追いつき、大幅な時間短縮は現実的に困難でしょう。

紙屋町東まで約1.8kmとすると、表定速度は約12km/h程度となり、これでも地下鉄や新交通システムに比べると依然として遅い水準です。
先行列車の遅れや乗降時間、交通信号の影響に左右されるため、毎日安定して机上の時短効果を実現できるかは疑問が残ります。

とはいえ、紙屋町やその先が目的地の乗客にとっては、快適性の向上が期待でき、遠近分離や分散乗車の観点からも意義があることかと思います。

 

そしてなによりも、将来的な電停統廃合の可能性を探る上でも興味深い実証実験となる可能性があります。
広島駅、稲荷町、八丁堀、紙屋町東という停車パターンも理想的です。
実証実験ですからモニタリングを行いながら、段階的に快速便の本数や運行時間帯を拡大すべきでしょう。現状のままの快速便では効果が限定的で、利用者に利便性が十分に伝わりません。

 

広電に将来的な統廃合の意向があるなら、早めにはっきりと表明して、市民とビジョンを共有すべきです。
実際に全列車を対象とした本格的な統廃合を実施する際には、沿線住民や利用者の理解と協力が不可欠です。
進め方を間違えれば反発を招く可能性もあります。

実際に多くの利用者が所要時間の長さを課題として認識している現状を踏まえ、行政である広島市とともに丁寧かつ迅速に取り組みを進めていく必要があります。

決して、駅前大橋ルートが開業したから終わり、ではありません。これを第一歩として、広島電鉄の更なる利便性向上に向けた継続的な取り組みが求められています。

路面電車駅前大橋ルートは、2025年8月3日に開業する予定です。

 

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