広島高速『温品JCT』の2号と5号の接続を再検討へ

広島テレビの報道によると、整備中の広島高速5号線が高速2号線と接続する温品ジャンクションについて、
2号[仁保方面]と5号[広島駅方面]の行き来が可能な構造にする検討していることが分かりました。

当初はフルジャンクションとして計画されていましたが、2005年度に凍結されていました。
広島高速道路公社と広島県・広島市が再度交通量などから再検討を行った結果、
「高い効果が見込める」と判断し、3者が”前向きに検討”していくようです。

整備されることが決まれば、自動車専用道路ネットワークとしては、呉や商工センター方面と広島駅が直接結ばれる事になりますが・・・・

【NNNニュース 】:広島高速2号線と5号線連結を検討


(上記サイトより)

この件を伝えているのは広島テレビのみで、他のソースの様子を見ていたので、少し記事にするのが遅くなりました。
(結局公式はもちろん、他のメディアでも情報は確認できていません)

要点は冒頭にも書いた通りですが、

  • 広島高速1・2・5号が交わる「温品JCT」について、2005年度に凍結した2号[仁保方面]と5号[広島駅方面]の接続を再検討
  • 広島高速道路公社、広島県、広島市が交通量などから「高い効果が見込める」と判断
  • 整備を前向きに検討

というものです。


(背景図は広島高速道路公社より)

凍結により暫定的に未供用の状態で開通させているため、
現状の温品JCT手前の高速2号には接続路を造るための切り欠き「イカの耳」があります。

 


当初イメージ図(広島高速度公社より)

 

ちなみに、イメージ図で左上(北西)方面に伸びているのは、広島市の都市計画道路「中筋温品線」です。
中筋側では短い区間で供用開始していたりしますが、全線開通の目処はまだ経っていません。




採算は取れる…?

2009年のマツダスタジアム開業以降、広島駅エリアでは駅本体と駅前の再開発が本格化しており、2025年には新駅ビルも開業します。

JR西日本は、JR広島駅南口の駅ビル「ASSE」の建て替えに向け、10月末から準備工事を始めることを明らかにしました。 現在の駅ビル「ASSE」は2020年3月に閉館し、建て替え

さらに、仁保JCTより南、広島市と呉市を結ぶ有料道路「広島呉道路(クレアライン)」については、
現在暫定2車線となっている「坂北IC」~「呉IC」の4車線化工事が決まりました。

【呉市】:クレアライン(広島呉道路)4車線化が新規事業として決まりました!

昨年7月の西日本豪雨災害で、暫定2車線のクレアラインが一部崩落、JR呉線も被害を受け運休となり、
広島市との主なラインが寸断される深刻な事態となりました。
そうした災害対策という面での事業化となります。

合わせて、広島呉道路⇔広島高速道路との乗り継ぎ料金割引の施策も公表されました。
ETC搭載車に限り、広島高速と連続利用した場合の料金が普通車で150円、軽自動車は120円割引されるようになります。

 

こうした背景から、2号・5号の接続を凍結した2005年度と比べると確かに需要は高まっている思われます。

ただ、本当に安定した収益を確保できるほどの利用が定着するには、
料金抵抗が大きく立ちはだかります。


広島高速道路料金広島高速道路公社より)

クレアラインが広島高速と接続する「仁保JCT・仁保IC」を起点に考えると、
広島駅に最も近いのは「大州IC」で360円(普通車)です。
仮に温品JCTから5号に接続し「広島駅北口IC(仮称)」まで利用したとすると、おそらく上限料金である720円と2倍の料金がかかる事になります。

朝夕のラッシュ時、もしくはマツダスタジアムでのプロ野球開催時などであれば、
大州通りやあけぼの通りが激しく渋滞するため、お金を払ってでも時間短縮を取るケースも少なくないかと思います。
しかしそうでない時は、高速道路とはいえ大州→温品JCT→広島駅とかなり遠回りになるので、
それほど所要時間は変わらないと思われます。

高速道路は大きく分類して、
①時間短縮、②定時性確保、③通行止め時の代替路の確保
といった効果を想定して整備するものですが、
2号⇔5号の接続は、オフピーク時の①・②の効果が微妙です。

 

広島駅(都心部)との接続であれば

温品JCTにおける高速2号と高速5号の接続は、
5号線2期(東部線2期)の整備により高速4号の中広ランプまで接続された未来ならまだしも、
現状行うのは時期尚早のように思います。

広島駅周辺地区を含む都心部とのアクセスをということなら、
・暫定的にハーフランプとなっている東雲ランプのフル化
・大州ランプ~広島駅に至る県道164号(通称:大州通り)の早期4車線化

これに注力してもらうほうが効果があるのではないでしょうか。


大州通り(2017年7月撮影)

 

とはいえ当然、県や市もそのことは考慮しており、その上で「収益は見込める」と検討結果を公表しているとは思います。

現状より費用対効果が上がるのであれば、事業も幾分か進めやすくなるかもしれません。
(発注ミスが無かったことになるわけではありませんが…)

今後の正式な発表を待ちたいです。

 

 

あとがき―

個人的にずっと妄想していたことですが、5号線を二葉山ではなく、「大州通り」または「あけぼの通り」上空に整備する計画としていれば、
トンネル問題も起きておらず、直接的な①~③の効果が見込めるのになと…。
トンネル掘削費が浮く分、市街地の用地買収に回せますし。

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