日本郵政が広島駅南口で建設していた「広島JPビルディング」が、2022年8月31日に竣工しました。
「広島JPビルディング」は、オフィスを主体とし、店舗、駐車場も備える地上19階建て・延約4万4,000平方メートルの大規模な複合ビルです。
かつての広島東郵便局を日本郵政が建て替えました。
1・2階には再入居する郵便局を含む、計8店舗の一般向け施設が入居します。
3~5階の自走式駐車場を挟み、6~19階がオフィスフロアとなっています。
いずれも2022年9月以降、順次開業する予定です。
前回の状況はこちら。
事業概要
【日本郵政不動産】:進行中の開発計画 | 広島JPビルディング
【CBRE】:広島JPビルディング
建物の詳細な規模やイメージはこちらにまとめています。
駅前広場に面した堂々たる外観
広島駅南口方向から、外観全景です。
新しい広島駅南口のランドマークの一つとなりました。
広島駅新駅ビルの新築工事と合わせて。
在来線コンコースからは、新駅ビルの躯体が拡大したため早くもビルの姿が隠れてきました。
ここからほぼ完成したビルの全景を見られたのはほんの1~2数カ月間の間だけでしたね。
(2022年7月撮影)
ではいよいよ、開放された外構部分に足を踏み入れます。
この堂々たるピロティ。
床面積を稼ぐこともできたでしょうが、市民に開かれた開放的な空間を生み出すためこのような構造となりました。
新駅ビルも完成すれば、駅西方面から広島駅の改札方面に向かうにはここを上るのが一番効率が良さそうです。
回遊性向上にも寄与することになりそうです。
公開空地となっているビルの内側から。
なんとも新鮮な光景です。
エレベーターの裏側、広場からは若干見えづらい位置に、商業テナントの入口があります。
ここだけ見ると広島とは思えない仕上げです。
一旦通り過ぎ、エレベーターからさらに北の線路の方向へ。
駐輪場に繋がる動線になっています。店舗の入口も設けられていますね。
すぐ右側は新駅ビルのビル内立体駐車場が面します。
模型を見ていただくとイメージしやすいかと思います。
付近から振り返ってみる南口。
こんなところから見る広島駅南口ABCブロックもかなり新鮮です。
計8店舗が開業を予定する商業テナント区画
一度通り過ぎましたが、エレベーターの裏野商業テナント入口の方へ。
右手のリングシャッターが降りている部分はオフィスエントランスに繋がるエスカレーターです。
テナント案内がありました。
ちなみにこの画像の右側に、スリット状に3本並んだ間接照明は、
広島にゆかりのある毛利元就の「三本の矢」になぞらえているそうです。
とても洒落ています。
フロアマップの赤で示される部分が一般向けの商業区画です。
ビルの面積をフルに使う訳では無いようですね。バックヤードなど当然必要ではありますが、商業に割り当てられる面積が思っていたより少なく、少し残念。
フタバ図書跡地のアパホテルにも言えますが、基本的に商業は駅ビルに任せるのが賢明なのでしょうね。
開業時の記事で、テナント案内の枠の個数を元に、商業テナントは12区画あるのでは?と予想しましたが、
このフロアマップを見ても割当は8区画。
”8店舗の出店が内定している”との報道がありましたが、つまり商業テナント8区画は全て出店予定者が決まっていることになりますね。一安心です。
(リビング広島Web『広島駅前に「広島JPビルディング」開業! オフィス、店舗、郵便局はいつから?』より)
最も早くオープンする城北通り側の「広島JPビル郵便局」。
2022年9月26日の開局予定です。
先程のフロア案内の横に続く、テナント入口を入ります。
非常に落ち着いた雰囲気の通路です。
このまま駅西方面に通り抜けることも可能です。
地場の居酒屋チェーン「カープ鳥」はここにオープンします。
シェラトングランドホテルの入る、北口の「アクティブインターシティ広島」のようなイメージに近いでしょうか。
駅ビルのペデストリアンデッキが繋がる2階
城北通り側からのエスカレーターを上がります。
右も左も、見るもの全てがこれまでとは違って見えます。
エスカレーターを上がった、オフィスエントランス等がある2階です。
ビルに内包されていることもあり、スペースは広めの印象です。
新駅ビルのペデストリアンデッキの接続点です。
未来が見える・・・!
見下ろした光景がこちら。
南口・北口の高層ビル、そして新駅ビルの西側工区が一度にまとめて見渡せます。
これは凄い…
まだ想像するしかありませんが、ここから一直線に駅ビル内包型のペデストリアンデッキが設けられ、
”対岸”のEKI CITY HIROSHIMAまで歩いて行けるようになります。
(ただし広電の高架駅と動線は交差するので、上下に交わすか自由通路方向に迂回する必要はあります。)
まだ地上部の工事が行われていない西側。
まだ一部しか組み上がってない新駅ビルの躯体ですが、すでにその広さが感じられます。
もうすぐ目の前は新駅ビルで目隠しされますから、北口のビルが見られるのはこれから数ヶ月間の本当に僅かな間になります。
振り返った景色。
今はここだけ洗練されすぎていて浮いていますが、
新駅ビル完成時には文字通り一体となった施設群となり都市にふさわしい玄関口となってくれることに期待です。
オフィスエントランス横のモニュメント。
なお、この写真の右側の商業テナントには、広島大学のサテライト施設が開業する予定です。
一般向けの公開講座や企業セミナー、サイエンスカフェとして利用し、非開催日はコワーキングスペースとして使用するとのこと。
一部学部の広島市への移転も進んでいるものの、広島駅を降りた時点では”広大”を感じることはこれまで無かったので、
駅前のこうしたスペースに窓口ができるのはいいですね。
【Yahooニュース】:広島大がJR広島駅前にサテライトスペース 南口に完成のJPビル内、情報発信の新拠点に(中国新聞デジタル)
エスカレーター方向。
上がってきたエスカレーターの横には、城北通り方面に続く通路があります。
途中に店舗の入口もありますが、位置的に将来のフルフォーカスビル方面へのペデストリアンデッキ延長にも対応できる構造のようにも見えますね。
横の古いビルが解体されコインパークとして利用されていますが、
これから何らかの進展があるか、注目したいところです。
駅西高架橋側から見るビル
南口広場と反対側となる、駅西高架橋側に移動しました。
搬入口、3~5階の自走式駐車場への入口を備えます。
目の前の道路は2車線に拡幅されましたね。
将来、この背後には新駅ビル内の立体駐車場出入口も設けられるため、いかに自動車交通を早く捌けさせるかが重要になります。
南西側から。
京橋川にかかる栄橋から。
ここから見る広島駅のビルの密度が非常に高く感じます。
南下し、上柳橋から。
ここからの景色も「水の都」を体現しており好きですね。
新駅ビルが完成すれば、JPビルの右側あたりにJPビルとほぼ同じ高さのホテルが見えてくるはずです。
非常に長くなりましたが、広島JPビルディングの竣工レポートは以上になります。
この記事が40回目の更新記事になりますが、建設工事を追いかけた期間としては2年程度。
ビルの規模の割に短期間での竣工となりました。
職人を拘束する時間だけ賃金が発生しますから、工期短縮もコスト圧縮の手法の一つです。
施工を担当した鹿島建設の最新技術も使われたようです。
ただ、その短い工事期間の間に世の中は新型コロナで一変。
人との接触を避けるテレワークの広がりなどで、実在するオフィスは非常に厳しい環境に置かれる事になりました。
しかしながら、国内を含めコロナと向き合いながら生活を送っていくフェースに移りつつあります。
前回の記事でも書きましたが、コロナ真っ只中であった20年度や21年度ではオフィスの拡大・移転をためらった企業が、
今後再び検討を再開させる動きも少なからず出てくると思います。
オフィスワーカーと買い物客で賑わう120万都市の玄関になることに、大いに期待します。
さしあたり、商業テナントがオープンした時にまた訪れてみたいです。