広島西飛行場跡地の利用計画案 意見募集も

広島県と広島市が検討を進めてきた、西区観音の広島西飛行場跡地の活用策について、
昨年12月、跡地利用計画(案)が公表されました。

2013年に策定した「広島西飛行場跡地活用ビジョン」を元に、
南北に長い跡地を「広域防災」、「新たな産業」、「スポーツ・レクリエーション」の3つの機能に分け、活用を図ります。
海に面するエリアには陸揚げスロープを整備し、水陸両用車両やマリンスポーツによる振興を見込むなど、これまでにない利用法が見られる内容となっています。

 

広島市】:広島西飛行場跡地利用計画(素案)(1827KB)(PDF文書)

跡地利用計画図(上記資料より)

(参考)
【広島市】:広島西飛行場跡地活用ビジョン

 

2012年11月に広島西飛行場が”廃港”となってからは、消防や報道機関が利用する「広島ヘリポート」として運用されています。
そのヘリポートが収まる跡地北側の約17haが、災害時の消防拠点・輸送拠点として利用される「広域防災」機能。

その南側の最も広い約18haは、「新たな産業(雇用)」機能。
広島南道路など、広域的なアクセスに優れる特性を活かし、企業の研究開発施設や向上、物流施設など業務により雇用を創出する施設を想定しているようです。

さらに南側、マリーナホップの西側にあたる約7haは、「スポーツ・レクリエーション」機能として、
県民が広く利用できる多目的スポーツ広場の整備を想定します。
ここには広島東洋カープからの寄付金4億円を活用し、将来的に野球場を整備します。

最も南側で埋立地の先端となる約5haに「新たな産業(にぎわい)」機能。
海に面した立地を活かし、民間事業者の開発による集客施設を想定します。
資料では導入施設の例として以下の様なものが挙げられています。
・職業・ものづくり体験パビリオン
・海山の幸マルシェ・フードコート
・水陸両用機・水陸両用バスの運行拠点
・リゾートホテル

水陸両用機の運行やマリンスポーツなどで利用できるよう、陸揚げスロープの整備も計画に含まれています。

 

また、将来の集客に耐えられるよう、アクセス道路の改善も行われます。
現状は三菱重工の入口あたりから片側1車線で2つのクランクが生じていますが、
片側2車線化の上、スムーズな線形に改良されます。

 

現地の様子です。

 

 

いかに広大な土地であるか、お分かりいただけると思います。
昨年は、アメリカのオバマ大統領(当時)が、岩国基地を経由して
大統領専用ヘリとオスプレイで降り立ちました。あれは壮観でしたね。

 

さて、跡地利用計画案について、
活用ビジョンが策定された頃想像した利用イメージからは、にぎわい・集客機能が随分縮小されてしまいました。

コメントでも頂いておりました。ありがとうございます。 広島市と広島県は今年度末までとしていた、広島西飛行場跡地活用の方針を今月1日に決定しました。 【中国新聞】:西飛行場跡に防災な
広島西飛行場跡地の活用策をめぐる検討委員会が最終会合を開き、 「広域防災」、「スポーツ・レクリエーション」、「新たな産業」の3機能を配置するビジョンの素案をまとめました。   【中

その分、研究開発施設、工場、物流施設などを想定する産業エリアが拡大しました。

 

スポーツ・レクリエーション機能として、将来的に野球場を整備することについては少し疑問です。
すぐ近くに県立総合グラウンド(コカ・コーラウエスト野球場)があるにも関わらず、もう一つ野球場が必要でしょうか。
カープ球団が寄付したお金を活用し整備するという点についても、公平性の観点から少し違和感を覚えます。

市が建設し、カープ球団が指定管理者となっている広島市民球場(マツダスタジアム)。
年間200万人を越える集客があり、球団によって毎年のように観客席の改良が行われるなど、球場の”プロ化”が進んでいます。
天然芝の管理の面もあり、高校野球は開会式とその日の1試合、そして決勝のみの2日間しか使用されなくなりました。
マツダスタジアムの使用が難しくなり、広島市内にもう一つ別の野球場を作りたい広島市と球団の思惑が一致したのでしょうか。

 

基本的な活用方針が決まってしまった今となってはもう遅いかもしれませんが、
私はこの場所の特徴を活かして、広島と切っても切れない一大産業である、
自動車、クルマの魅力を体験できるにぎわい施設を整備すれば面白いのではと思っていました。

イメージとしては東京・お台場の「メガウェブ」です。
【公式】:見て乗って感じる クルマのテーマパーク MEGA WEB(メガウェブ)

ご覧いただいて分かる通り、トヨタがかなり出資をしているようです。

トヨタの最新の技術や歴史を紹介する博物館のような展示施設に加え、敷地内に1.3kmのコースを設け体験試乗をすることもできます。
イベント時にはプロドライバーとスーパーカーによる同乗体験も行われているようです。

 

博物館のようなものは自動車メーカーの協力が不可欠で、コスト面からも厳しいかもしれませんが
広い敷地を活かした乗り物の体験試乗コースだけでもあれば面白いと思いませんか。
近年、クルマの先進安全技術が大幅に進化し、そうした技術をユーザーに体験してもらう企画が行われているのをたまにメディアで目にします。
そのような場としても使用できますし、往年の名車や世界で活躍したレーシングカーのデモ走行の場として相応しいです。
数年前まではマリーナホップの駐車場の大部分を使用してデモ走行も行っていましたね。
ル・マン24時間で総合優勝した唯一の日本車、マツダ・787Bも走っていました。
しかしながら、広いマリーナホップの駐車場でもレーシングカーにとってはとても狭く、
何より駐車場が専有されるため、駐車待ちによる混雑を招きかねません。

旧飛行場の滑走路は1800m、そのほんの一部を使うだけでもマリーナホップより遥かに広い走行空間が確保できます。
元々空港だったこともあり、間近に住宅が立地していないことも
騒音が発生するモータースポーツ体験の場に適している理由の一つです。

プロドライバーの登竜門として、レーシングカートのコースを整備するのもどうでしょう。

 

これは私の願望でしたが、いずれにせよ、産業やにぎわい施設で多くの人の来訪を計画するなら、
周辺の道路整備ももう一歩進める必要があります。
クランクになっている2車線道路はもちろんですし、
広域な道路ネットワークとして重要なのは、跡地北側を走る広島南道路です。


太田川大橋

 


吉島地区出島方面(2010年8月撮影)

高架部は広島高速3号線、平面部は国道2号線として整備されましたが、
平面部の吉島~出島間はまだ整備される様子がありません。

合わせて検討していただきたいところです。

 

 

さて、この広島西飛行場跡地利用計画の素案に対して、現在、市民意見の募集が行われています。

【広島市】:広島西飛行場跡地利用計画(素案)に対する意見を募集します

期限は、3月1日(水)まで。もうあまりありません。
郵送、FAX、電子メール、応募フォームから提出可能です。

今から計画の大枠を変えるのは難しいですが、
興味のある方は、意見してみてはいかがでしょうか。

 

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