広島高速5号線建設工事<広島駅北口> 2017.10 シールドトンネル発進現場へ!

広島高速5号線は、高速1号と2号が接続する東区温品の「温品ジャンクション」から、広島駅北口の二葉の里地区を結ぶ約4.0kmの都市高速道路です。
この内、1.8kmがトンネル区間となっており、
ジャンクション側(中山地区)から0.4kmは山岳トンネルでは一般的な「NATM工法」が用いられますが、
広島駅側から1.8kmはトンネル直上への住宅の地盤沈下防止のため、都市部などで採用される「シールド工法」が用いられます。

【広島高速道路公社】:広島高速5号線及び関連道路路線図

 

今回、広島駅の南北自由通路全面開業に合わせて同じ日に企画された、
シールドトンネルの現場見学会に参加させていただきました!

その様子を中心に紹介させていただきます。

 

前回の状況です。

広島高速5号線(東部線)は高架橋とトンネルで構成される約4kmと都市高速道路です。 広島高速1号線の終点となる「温品JCT」と広島駅北口を結びます。 トンネル部は地盤沈下の原因

概要はこちら。

【日刊建設工業新聞】:広島高速道路公社ら/5号線トンネル区間着工へ/11月にも設計・施工一括発注

【建設通信新聞】:185億余の大林JV/広島高速/高速5号線シールドT(以下転載)

 広島高速道路公社は26日、入札の行方が注目されていた高速5号線シールドトンネル工事の一般競争入札(総合評価方式)の結果を発表した。入札結果は、185億1851万円(税別)で大林組・大成建設・広成建設JVに決まった。技術交渉による提案改善、設計数量や単価表などの見積提出を経て算出された予定価格は185億1851万1000円だった。同工事は設計・施工一括発注方式(DB)を採用しており、トンネル本体着工に向け、実施設計、シールドマシンの製作に入る。
23日の開札で入札が成立したことを明らかにしていたが、総合評価の手続きを終えたことから公表した。提案などの審議は、広島高速5号線トンネル技術検討委員会(委員長・小山幸則立命館大総合科学技術研究機構客員教授)が担った。
同工事は、当初工事と契約予定工事の一括競争入札により落札者を決定する枠組型一括入札方式の試行工事でもある。概要は、当初工事がシールドマシン製作ほか工事・実施設計長さ1407m、シールドマシン製作一式、仮設工(施工ヤード造成、発進準備工)一式、契約予定工事がシールドトンネル掘削ほか工事・長さ1407m、トンネル本体工1407m、坑内埋戻工1407m、坑門工1カ所(開削部)、仮設工(シールド到達工、シールドマシン撤去工)一式。工期は当初工事が18年3月31日まで、契約予定工事が契約締結の日から31カ月となっている。工事場所は広島市東区牛田東3ほか。
広島高速5号線は、JR広島駅北口の広島市東区二葉の里から温品町の高速1号線に接続する長さ4㎞で計画している。このうち、トンネル区間はJR広島駅北口の二葉の里坑口から中山坑口までの長さ1.8㎞で計画され、二葉の里坑口からの1.4㎞がシールド区間、残りの0.4㎞がNATM区間となる。NATM区間は別途発注する。
シールド工事の実施にあたっては、一部住民から地盤沈下が懸念されており、地表面の管理値を予測値として最大沈下量2.7mmに設定。予測値の50%に当たる1.3mmの沈下量を計測した場合、その後の計測頻度を1週間から毎日とし、現場点検などの監視も強化する。さらに、予測値の90%に当たる2.4mmの沈下の場合は掘削を一時中止し、緊急的な家屋調査の実施、専門家による沈下要因分析、対策案の検討を迅速に実施するなど万全を期す。

(ここまで)

 

広島駅北口ランプが接続する駅西高架橋北詰交差点から。

左手の建物がイズミの本社ビルです。
傾斜路のランプの先に、トンネルの抗口になる円が見え始めているのがお分かりいただけるでしょうか。

 

少し角度を変えて。

橋梁を渡り終えて右にカーブを描きながらトンネルに入っていく様子がイメージできるかと思います。

 

現場見学会に到着すると、まず事務所で高速道路5号線の整備全般に関する内容と、
シールドトンネルに関する知識などを丁寧に説明いただきました。
実際にシールドマシンに使用されるカッターの実物なども触らせていただきました。

 

 

 

そしていよいよ、山の斜面につくられた足場を登り、トンネル掘削工事の発進現場へ。

(以下の画像は、許可を得て撮影させていただいています。ウェブ上で公開することについても了承をいただきました。)

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これは凄い…

シールドマシンが掘削を開始するガイドとなる鉄骨が姿を表し、トンネルの断面がハッキリと読み取れるようになっています。
一応完成4車線の暫定2車線で整備されるため、向かって左側に上り線が整備される用地も残されます。

 

トンネルの正面まで案内していただきました。

写真では伝えきれませんが、目の前にするとメチャクチャ大きいです。
掘削する断面は直径約13mあるとのこと。
この付近の地盤は安定しているので、ソイルセメント壁の親杭(縦の鉄骨)が途中まで撤去されています。
来年になりますが、ここに同じ大きさのシールドマシンが構築され、このソイルセメント壁もろとも圧力をかけながら掘り進める事になります。

 

抗口の脇には、シールドマシンに安定液を供給するプラントが建設されています。

掘削が始まる頃には更に増えるそうです。

泥土圧で地中の安定を図り、地下水位の低下を抑制する(地盤沈下を抑える)シールド工法にとって、
掘削した土砂の処理・再利用を行うプラントは欠かせません。

 

 

以上、貴重な経験をさせていただきました。
地盤沈下への対策は万全を尽くされているのはもちろんのこと、地域の方々への広報、情報公開についても
今回のような機会を設けたり、現場ステーションを設けるなどしてかなり気を使われているようでした。
何事もなく安全・確実に工事を完遂されることを願いたいです。

 

2018年3月末まで、シールドマシンの建設と、発進現場の準備工事などが行われます。
トンネルの掘削は2016年5月の契約締結から31ヶ月ということなので、
開通は2019年度前半になることが予想されます。(公式発表ではありません)

 

最後に、現場から見る広島駅近辺。
数年で高層ビルが密集する街並みになりました。
業務、商業、高層住宅、ホテルなどが集積する新しい都心格、広島駅周辺。
改めて山陽道と広島駅を結ぶ高速5号線の重要性を再認識しました。

 

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