広島市とJR西日本、広島電鉄の3者は、広島駅南口広場の再整備を進めています。
建て替えられる新ビルは地上20階建てで、ホテルや商業施設、シネマコンプレックスを備える複合ビルになる予定です。
本事業の一環として、南口広場周辺に立地する各施設へのペデストリアンデッキの整備も計画されています。
合わせて広島市は、エールエールA館を改良し、デッキから館内を通り猿猴川の護岸に直接アクセスできる歩行者通路の整備も進めています。
路面電車のりばを始め、2階が主な歩行者動線となることを踏まえ、周辺の回遊性を高める狙いです。
このブログのレポートでは何度も写真を載せていますが、
改めて概要や供用開始時期などをまとめてみようと思います。
ペデストリアンデッキ整備の概要
【広島市】:広島駅南口広場再整備等 パンフレット
(広島市『事業概要』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/1032/237218.html)より 注釈を追記)
駅ビル東西ペデは2025年春供用開始
新しい駅ビルの開業に合わせ2025年春に供用を開始するのが、駅ビル東西のEKI CITY HIROSHIMAと、広島JPビルディングに至るそれぞれの通路です。
(※駅ビル開業日となる3月24日と同じかどうかは未発表)
東棟とEKI CITY HIROSHIMAを結ぶペデストリアンデッキ。
(2024年10月撮影)
(2024年8月撮影)
エディオン蔦屋家電などが入ります。今年6月に橋桁が架けられました。
マツダスタジアム方面には当施設の2階デッキを通り、愛宕踏切を超えて地上に降りるため、利便性が大幅に向上します。
続いて、西棟と広島JPビルディングを結ぶペデストリアンデッキ。
(2024年10月撮影)
(2024年8月撮影)
こちらはデッキの上屋や高欄、化粧板まで整い、いつでも開通できそうなほど仕上がっています。
JPビルディングは大規模なオフィスフロアの他、飲食店、フードホール「グランゲート広島」など一般客も楽しめる施設があり、駅ビルとの回遊性を活かした賑わいの拡大が期待できます。
エールエール・ビッグフロントへは2026年度以降に
上記の駅ビル東西に伸びるペデストリアンデッキが来年春に供用開始するのに対し、
2026年度末までの供用を予定しているのが、エールエールA館、ビッグフロントひろしまに至るそれぞれのデッキです。
エールエールA館へのデッキ架設位置。
(2024年8月撮影)
(2024年8月撮影)
ビッグフロントひろしまへのペデストリアンデッキ架設位置。
Bデッキ完成イメージ
(広島市『広島駅新駅ビルフロア構成イメージ、完成イメージ(ペデストリアンデッキ等) [PDFファイル/4.08MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/342291_724260_misc.pdf)より)
エールエールA館へのデッキに比べ、こちらの方が幅が広く設計されています。
なお、直近の報道によると、これら2本のペデストリアンデッキは、
工事の状況次第では予定より早く供用できる可能性があるとのことです。
【広島テレビ】:広島の陸の玄関口がますます便利に! 待ち遠しいペデストリアンデッキの完成は!?【アナたにプレゼン・テレビ派】
エールエールA館から猿猴橋まで歩行者通路整備
広島市は、新しい駅ビルの人の流れを猿猴川や京橋町方面にも波及させようと、
エールエールA館を改良し、デッキから館内を通り猿猴川の護岸に直接アクセスできる歩行者通路の整備も進めています。
こちらは広島駅南口再整備とは別で、都市再生整備計画事業に基づくまちなかウォーカブル推進事業として、国から補助金を得て整備を行います。
事業の計画期間は令和8年度とされていることから、
駅ビルとエールエールA館を結ぶデッキと同時期の2026年度末までの供用開始を見込んでいるものと思われます。
【公式】:広島駅南口開発株式会社
完成イメージ(上記HPより)
【若林新三 WEBSITE】:エールエールA館に館内通路整備へ(建設委員会)
2024年10月現在の状況です。
駅前大橋付近から広島駅ビル側を見た構図です。
ビルの2階は吹き抜けになっていますが、ここに通路を通すわけではなく、ビル内の2階部分を通路化します。
猿猴川沿い、エールエールA館北面です。
現在の「広島駅前」として多くのバスが降車場にしている場所です。
この上空を横切るようにデッキが渡ります。
デッキが渡される護岸上では、基礎工事がこれまでに進められてきました。
橋脚を設けるための杭頭が目の前で確認できますね。
エールエールA館の本体にも既に変化が確認できます。
新たな館内通路からこちらに出てくるための扉が新設されています。
ビル内では当然ですが仮囲いがされており近づくことはできません。
なお、新たな館内通路と店舗部分は分離されており、営業時間外でも通ることができるようになる予定です。
現在でも1日あたりおよそ14万人以上の利用者数を誇る広島駅。
2階自由通路をコアとして、約200店のテナントのオープンと共に
駅利用者の導線はかつてないほど激変することが予想されます。
人の流れは賑わいひいては購買力を運ぶ血液のようなものですから、
歩行者ネットワークの拡大を通じて、それが周辺に拡大することを願いたいです。
広島駅は北側を山、南側を河川に隔てられ、面的な開発は一定の制約があります。
ネガティブに捉えられがちですが裏を返せば、高度利用された街並みが歩行者ネットワークで結ばれたエリアに向いているとも言えるので、
この回遊性を活かして今後の周辺開発にも期待したいですね。