広島市中区、相生通りに面した朝日会館跡地および北側の市営基町駐車場一帯で検討されている市街地再開発について、
コーディネーターを務めている都市再生機構(UR都市機構)は、事業化の検討パートナーを決めたことを明らかにしました。
選定されたのは、土地の所有者でもある朝日ビルディングを代表企業とするグループで、
朝日新聞社、オリックス、竹中工務店で構成されます。
企業グループは、オフィス、変電所、市営駐輪場、ホテルなどからなる再開発ビルを提案したとされています。
この再開発は、相生通りに面し現在はコインパーキングとなっている朝日会館跡地、
北側に建つ市営基町駐車場、隣接した北西側にある中国電力基町ビルを一体的に再開発する計画で、
広島商工会議所もメンバーに加わり、現在旧広島市民球場跡地横にある「広島商工会議所ビル」の機能を移転させることも見込んでいます。
広島市は、国の都市再生緊急整備地域に指定された紙屋町・八丁堀地区における「官民連携リーディングプロジェクト」と位置づけており、
土地の高度利用、賑わい・交流、観光拠点となることを目指しています。
【建設通信新聞Digital】:朝日グループに決定/広島市基町相生通再開発事業化検討支援/UR西日本
都市再生機構(UR)西日本支社は、募集していた(仮称)広島市基町相生通地区第1種市街地再開発事業(個人施行)の事業化検討パートナーを決定したことを発表した。選定されたのは、朝日ビルディングを代表企業とするグループ(構成員・朝日新聞社、オリックス、竹中工務店)で、建設する再開発ビルは、オフィス、変電所、市営駐輪場、ホテルなどを提案した。
同事業は、国の都市再生緊急整備地域に指定された「紙屋町・八丁堀地域」での官民連携リーディングプロジェクトとして、国際的なビジネス環境の形成に貢献する高度業務機能の導入、にぎわい交流機能の強化、観光・文化・情報発信機能の充実・強化などを目指している。
事業区域は広島市中区基町9番の一部・13番の一部ほか約1ha(道路中心まで含んだ面積)。商業地域に指定された南側街区は建ぺい率80%、容積率900%、北側街区は建ぺい率80%、容積率400%。
事業化検討パートナーの役割は、▽施設建築物の企画と計画作成に関する提案・助言▽施設建築物の設計と施工に関する提案・助言▽施設建築物の管理運営計画に関する協力・助言▽保留床処分計画に関する提案・助言▽地区内権利者の権利調整に関する協力・助言▽その他提案に基づく協力と事業推進のための協力。
今後は、事業化検討パートナーからの提案を参考に検討の深度化を図り、地権者や関係者などとの合意形成を図った上で計画内容を精査するとし、現時点での提案内容の詳細は非公開となっている。事業主体やスケジュールなどについても未定としている。
(上記サイトより)
これまでに公表されている情報のおさらいと、今回の報道のまとめです。
- 広島市が検討していた市営基町駐車場・駐輪場一帯の再開発事業について、商工会議所に同ビルの移転候補地として検討を進めるよう提案。
- 商工会議所の深山会頭がこれを了承し、正式に会議所ビルの移転候補地に。
- 紙屋町・八丁堀地区は近く国の都市再生緊急整備地域に指定される見通しで、「同地区の活性化を加速させるリーディングプロジェクト、ぜひ実現したい」と松井市長
- 市営基町駐車場の西隣の「中電基町ビル」では建て替えが、南側の「広島朝日ビル跡地」では開発が検討されており、地権者と開発の手法やスケジュールを協議。早急に合意形成目指す。
- 朝日ビル跡地は一般道路を挟んで隣接しており、道路上空でトンネル状に繋いだ一帯的なビルの建設を目指す。
- 商工会議所としても単独でビルを建て替えるのは資金的に難しく、再開発ビルを建設することでテナント収入で回収したい意向。都市再生緊急整備地域指定による規制緩和で「土地の有効活用を考え高層のビルに」(深山会頭)
- オフィスやホテル、観光情報の発信拠点などを導入した複合ビルを想定。
- 完成時期は「最短で4年後」(深山会頭、2018年9月の発言)
- 商工会議所を移転させた場合は、旧広島市民球場跡地に隣接する今のビルと敷地を広島市に売却することを検討。
- 再開発コーディネーターは都市再生機構(UR都市機構) ←NEW
- 仮の名称は「(仮称)広島市基町相生通地区第1種市街地再開発事業」 ←NEW
- 事業化検討パートナーを朝日ビルディングを代表とする企業グループ(朝日新聞社、オリックス、竹中工務店)に選定 ←NEW
- 再開発ビルは、オフィス、変電所、市営駐輪場、ホテルなどを提案。 ←NEW
久々にここの再開発の報道が出ましたね。
行政に代わりUR都市機構がコーディネーターを務めていることは知りませんでした。
(仮称)ではありますが、「広島市基町相生通地区第1種市街地再開発事業」という名称ができているだけでも少し胸が踊ります。
紙屋町・八丁堀地区での市街地再開発は、2004年に完成したNTTドコモ広島大手町ビルなどで構成される「大手町四丁目1番地区第一種市街地再開発事業」以来となります。
再開発ビルの用途は、オフィス、変電所、市営駐輪場、ホテルなどを提案しているとのこと。
変電所が含まれているのは、現状の中国電力基町ビルにそうした機能があるからなのでしょう。
駐車場が入っていないことにも注目したいです。商工会議所は敷地の機能交換にも触れていたと思うので、今後に注目ですね。
記事には容積率も掲載されていて、相生通りに面する南側の街区は900%と書かれています。
これはあくまで現行制度上の数値で、
国の都市再生緊急整備地域に指定されたことや、市独自でも地区計画の見直しを図っており、
諸々の条件を満たす場合はこれに上乗せされ、1,000~1,100%以上も可能になってくるのではないかと思われます。
容積率をフルに使った場合、敷地面積が約7,500平方メートルですので、
延床面積は最大で75,000~80,000平方メートル超えのような巨大ビルも可能というわけですね。
この敷地でそれだけの規模の建物を建てようとすると、建ぺい率にも左右されてきますが、
高さ100mは余裕で超えてくると思います。
市が「リーディングプロジェクト」と位置づけ、自ら制度面で後押しを図っているので、
案外実現の可能性はあるのではないでしょうか。