大阪駅北側の梅田貨物駅跡地を活用する「うめきた2期地区再開発」について、
2024年9月、全体の開業に先駆けて「グラングリーン大阪」が先行まちびらきしました。
「グラングリーン大阪」は、都市と自然の共存をコンセプトに、
緑豊かな「うめきた公園」とそれを取り囲む、商業施設やオフィス、ホテル、レジデンスなどで構成される施設です。
JR西日本の基幹駅である大阪駅の目の前に、広大な緑とオープンスペースを持った施設が誕生したことで、現在非常に注目を集めています。
9月6日に先行してまちびらきを行った「うめきた公園」、北館の一部に続き、
2025年3月21日には南館が開業、
2027年春には北公園の開業をもって全体開業となる予定です。
先日、大阪に行く機会があったので実際に現地を歩いて体感してみました。
グラングリーン大阪の概要
【公式】:グラングリーン大阪
【三菱地所】:グラングリーン大阪 本日9月6日先行まちびらき~JR大阪駅前に約45,000㎡の都市公園を含む新たなまちが誕生。全体まちびらきは2027年度予定~
項目 | 詳細 | |
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名称 | グラングリーン大阪(うめきた2期再開発) | |
住所 | 大阪駅北大深西地区 土地区画整理事業区域内 | |
事業主体JV | 三菱地所株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社(出資者:株式会社大林組) | |
地区面積 | 91,150平方メートル | |
ゾーニング |
都市公園 | 【うめきた公園】:2024年9月6日開業 ・JR大阪駅に直結する、約4.5haの都市公園 ・全体のデザインはアメリカのランドスケープアーキテクト事務所GGNが担当 ・親水施設「リフレクション広場」や、イベント施設、飲食店を備える |
北街区 | 【北館】:2024年9月6日開業 ・26階建て複合ビル ・ホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(308室)、 商業施設ほか 【分譲棟】:2027年度開業予定 ・46階建て分譲マンション |
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南街区 | 【南館】:2025年3月21日開業予定 ・39階建てのパークタワー、28階建てのサウスタワー、18階建てのゲートタワー。商業・オフィス・ホテルの複合構成 ・ホテル「阪急グランレスパイア大阪」(482室) ・ホテル「ウォルドーフ・アストリア」(252室) 【分譲棟】 ・47階建て分譲マンション |
大阪駅目の前に広がる空間
大阪駅の連絡橋口を出て北側へ。
目の前に迫るグランフロント大阪。
梅田スカイビル方面を望むと「うめきた公園」の緑が見えてきます。
うめきた公園
グラングリーン大阪の目玉、巨大ターミナルに隣接した4.5ヘクタール(4万5,000平方メートル)の都市公園です。
凄いな…。大都市であることを忘れるほど、ゆとりと緑ある空間になっており衝撃的でした。
腰掛けてお弁当を食べる人の姿、親水広場で遊ぶ子どもたちの姿、ステージの催し物を見る人など。
とても居心地が良いです。
北街区
北街区に向けて広場内を進みます。
後述する大阪駅「うめきたグリーンプレイス」からは歩行者デッキが整備されており、完成すれば北街区と南街区を結ばれる予定です。
公園内の北側と南側を隔てるように都市計画道路が横断しています。
歩行者デッキは、現在開業している公園南側まで開通しています。
「うめきた公園」の北側はまだ整備中で未供用です。
整備中の公園の横、北街区の中核施設「JAM BASE」(コワーキングスペースや交流スペースなどを有したイノベーション施設)の中に開業した「VS.(ヴイエス)」。
建築家の安藤忠雄氏が監修した、スタジオなどが入る文化施設です。
北街区賃貸棟。
ホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」を始めショップ・レストランが入居。
ペデストリアンデッキで東側にあるグランフロント大阪に繋がります。
南街区及びうめきたグリーンプレイス
大阪駅に近い、南街区の状況です。
賃貸オフィスとともに、西棟(右側)にはヒルトン系の最高級ホテル「ウォルドーフ・アストリア」、
東棟(左側)には「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が決定。
それぞれの低層部には商業施設が設けられます。
2025年3月の開業予定です。
【三菱地所】:三菱地所のニュースリリース「うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」アップスケールホテルブランドを阪急阪神ホテルズの「ホテル阪急グランレスパイア」に決定、2024年度下期開業」
グラングリーン大阪の玄関口にもなる大阪駅西口近くでは、JR西日本が商業施設「うめきたグリーンプレイス」の開発を進めています。
ノースゲートビルディングから2階レベルで繋がります。今後、バスのりばや商業施設がオープンする予定で、グラングリーン大阪に人々を送り出す玄関口となります。
上質な雰囲気が更に高まる夜間の様子
日が暮れてから覗いてみました。
夜間は夜間でとても落ち着いた良い雰囲気です。
大阪駅ノースゲートビルディングや開業したばかりのオフィス「イノゲート大阪」(JR西日本)は華やかな照明でエネルギーを放つ一方、公園内は芝生やベンチに腰掛けてゆったりと談笑する人々の姿がありました。
家族連れが多かった昼間に対し、夜間は夫婦やカップルの姿が目立ち、時間帯に応じて様々な人々の受け皿になる空間にほっこりしましたね。
あとがき
これは自慢したくなる!
SNSやWEBではよく見ていましたが、実際にこの場所に立ってみて、多くの識者の方々が高く評価していることに深く納得しました。
大阪駅という巨大ターミナルの目の前であり、オフィスや商業施設等に転用することも可能だったと思います。
にも関わらず、誰でも立ち寄れる開放的なパブリックスペースとした決断は、都市開発の新たな方向性を示したと思いますね。
過ごし方、働き方が多様化している昨今、単に買い物ができるだけでは差別化が難しくなっており、
その場所で利便性を享受しながら好きな時間を過ごす「コト消費」が重要になっています。
市内総生産等の数字には表れにくいかもしれませんが、こうした空間の存在は間違いなく都市の魅力や価値を高めるはずですし、
何より利用する市民自身が身を置いて楽しめることで街に誇りが持てますよね。
自慢したくなりますよ。
同じようなことを感じた場所が広島にもあります。
エディオンピースウイング広島とともに開業した「広島スタジアムパーク」です。
無料で貸し出されているグッズ(遊び道具やイスなど)を使って過ごしてもいいですし、隣接する河川を見ながらのバーベキュー、あるいはSUPなどの川遊びなどは広島が差別化できるポイントではないかと思います。
、今後地方都市でも応用可能なモデルを提供していま
ためには、地域の特性を活かしながら、さらなる「価値を高める」戦略が必要です。都市の中心で心地よい空間を提供するというテーマは、持続可能な開発を進める上で不可欠な要素です。
人口減少が始まる中で、地方都市が生き残るためには、”モノ”が手に入るだけではない、”タイケン”できることが重要になってきます。
大都市ゆえベースとなるマーケットが大きい要素もありますが、
「グラングリーン大阪」は都市開発の先進事例として、優れたところは参考にして
街を育てていかなければなりません。