カルビー、ダイワなど広島の臨海エリアで相次ぐ企業進出 『広島南道路』が結ぶ

記事にするのが少し遅くなりましたが、この2週間程度の間に広島都市圏の臨海エリアで、
大きな企業進出のニュースが2件ありました。

一つは、かっぱえびせんなどで有名な「カルビー株式会社」。
同社は創業の地でもある広島に最新鋭の工場を新設し、県内2箇所にある工場を移転・集約させることを発表しました。
場所は、佐伯区五日市の新規埋め立てエリア。2024年4月の操業開始を目指します。

もう一つは、「大和ハウス工業株式会社」による大規模マルチテナント型物流施設の建設着手。
広島県が売却していた西区観音の旧広島西飛行場跡地に、延床面積9.6万平方メートルの物流施設を建設します。
2021年11月の竣工を目指します。

現地の写真を交え、紹介してみたいと思います。

 

五日市埋立エリアにカルビー最新鋭工場新設へ

【カルビー】:カルビー 最新鋭マザー工場新設に向けて広島県と立地協定締結

【広島県】:広島港五日市地区分譲地の分譲予定者の決定について(港湾振興課) (PDFファイル)(340KB)

(上記資料より)

 

 


埋立エリアの分譲対象地(2017年1月撮影)

 

【新工場の概要】

所在地 広島県広島市佐伯区五日市港一丁目
敷地面積 100,000m²
投資額 土地約37.8億円、建物は未定
着工時期 2023年4月予定
操業開始時期 2024年4月予定(第1期計画:広島西工場移転・拡張)
※2037年以降(第2期計画:広島工場移転集約)
主な製造商品 ポテトチップス、スナック、新規事業における製品等を予定

(公式サイトより)

 

この埋立地は段階的に分譲されており、これまでに大和ハウス工業の物流施設やコベルコの拠点、藤い屋のもみじ饅頭工場などが整備されてきました。
今回の売却により、大部分が分譲されたことになります。

ご存知の通り、かっぱえびせんやポテトチップスなどの製品でおなじみの「カルビー」は広島市発祥の企業です。
今日、本社は東京に移ったもののこうして、地元に投資していただけることに感謝したいですね。

カルビーは廿日市市の「ゆめタウン廿日市」に、ホットスナックが食べられる直営の「myカルビー」を全国で唯一オープンさせました。(現在は閉店してしまいました)
広島限定ではありませんが、広島駅在来線コンコース内の「アントレマルシェ」にも、
「カルビープラス(Calbee+)」として出店しています。

これを期に、「広島コラボ」の製品やプロジェクトが増えるともっと愛着が湧きそうです。

 

ちなみに、五日市の同埋立地内にあるダイワハウスの物流施設。次の話題と関連するので載せておきます。


DPL広島五日市港(2017年5月撮影)

2017年4月に完成・稼働を始めたマルチテナント型物流施設です。
3階建てで延床面積は約4万9,000平方メートルの規模を誇り、すべての区画が契約済みとなっています。

 

 

西飛行場跡地に中四国最大規模の物流施設、大和ハウス工業

【大和ハウス工業】:中国・四国地域最大の物流施設「DPL広島観音」着工

名称 「DPL広島観音」
所在地 広島県広島市西区観音新町4丁目2874番165 他4筆

工業団地「広島イノベーション・テクノ・ポート」内

交通 山陽自動車道路「五日市インターチェンジ」および

「廿日市インターチェンジ」から約10km

敷地面積 39,551.75㎡
延床面積 96,558.52㎡
構造・規模 鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造 5階建て
設計・施工 株式会社フジタ
着工日 2020年6月1日
竣工日 2021年11月30日(予定)
総事業費 約180億円

(上記サイトより)

 

先週撮影してきた現地、広島西飛行場跡地の状況です。

 

手前のアスファルトの部分は、旧滑走路であり、現在はヘリポートとして発着場になっています。
ダイワハウスが開発するのはその奥です。
産業団地として分譲するため、県による造成が行われました。いま滑走路がどうなっているか、上から俯瞰で見てみたいですね。

 

ここに建設されるのが「DPL広島観音」。


DPL広島観音完成イメージ(上記公式サイトより)

 

大和ハウス工業にとっては、先程紹介した「DPL広島五日市港」に次ぐ、広島で2棟目のプロジェクトとなります。
ただし、規模を見ると、3階建て延約4万9,000平方メートルの「DPL広島五日市港」に対し、
こちら「DPL広島観音」は5階建て延約9万7,000平方メートルと2倍程度の大きさとなるようです

中四国地方で見ても最大規模のセンターとなります。

施設はいわゆるマルチテナント型物流施設という形態の建物で、
特定の企業ではなく、複数のテナントに対して賃貸する物流施設です。テナントの入れ替えにも対応できるように、汎用性のある施設として建設されています。

このようなマルチテナント型物流施設は、eコマース需要が拡大する近年、効率的な物流環境の構築を目指し全国で整備が加速しています。

 

同じ観音地区の、広島三菱病院跡地には、三井グループも昨年マルチテナント型物流施設を完成させました。

【三井不動産ロジスティクスパーク投資法人】:MFLP広島

 

 

4階建て延約6万7,000平方メートルと、こちらも目の前にすると圧倒されるほどの大規模なものでした。

これまでに挙げた施設をまとめると以下のようになります。

延床面積 完成時期
DPL広島五日市港 約4万9,000平方メートル 2017年4月
MFLP広島 約6万7,000平方メートル 2019年8月
DPL広島観音 約9万7,000平方メートル 2021年11月予定

 

この記事の前半で取り上げた、カルビー、シンコーの新工場しかり、
上記のマルチテナント型物流施設しかり、いずれも広島市の臨海エリア、
ひいては広島南道路の沿線への進出となります。

 

 

企業のプレスリリースでも、都市高速道路のICがすぐ近くにあることは一つの強みとして紹介されているとおり、
この道路の整備が大きなプラス要因になっていることが伺えます。

山陽自動車道などに比べると、それこそできたばかりのネットワークであり、
東西方面へのアクセス性、都心(営業拠点)へのアクセス性、従業員の確保の面などで、
広島南道路沿線は企業にとって注目が高まっているエリアと言えそうです。

だからこそ、廿日市ICとの直結や出島~吉島間の一般道部分整備などなど、
まだ不完全である広島南道路のネットワーク化を急いでほしいところですね。

 

大和ハウス工業については、今回の「DPL広島観音」は西飛行場跡地全体の計画の一部に過ぎません。
県が跡地の中の「新たな産業」ゾーンに位置づけた区域を、大和ハウス工業が「広島イノベーション・テクノ・ポート」として、
産業団地の開発に着手しました。

【大和ハウス工業】:産業団地「広島イノベーション・テクノ・ポート」を開発します

 

西飛行場跡地はどうしても、自動車でしかアクセスできない場所なので、
一時期槍玉に挙がったMICE等の集客施設ではなく、
こうした産業団地開発による新たな雇用の創出が、都市の成長のためになると思います。

 

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