アジア随一の自動車エンターテイメントの聖地に 広島マリホ跡にトヨタ系グループ選定

広島県は、2025年3月に事業用借地権設定契約が満了となる「広島マリーナホップ」について、
次年度以降の事業者を、株式会社トムス(以下TOM’S)を代表法人とするグループを選んだことを明らかにしました。
TOM’Sはトヨタ車のカスタムパーツなどを販売する企業。
公表された事業提案では、マリーナホップ跡に飲食店や室内エンターテインメント施設、グランピングエリアのほか、
フォーミュラスクールや音楽フェスも開催できる多目的サーキット広場を整備し「アジア随一の”モビリティ・エンターテイメントの聖地”」を目指すとしています。

 

広島県は「広島マリーナホップ」等の商業施設として開発されている、西区観音の広島FMP(フェスティバル・マーケット・プレイス)開発事業用地について、
2025年3月に契約期間が満了するため、昨年度から次期事業者の募集を行っていました。

 

 

選定された事業提案の概要 次点はマリーナホップ

【広島県】:現広島FMP開発事業用地の利活用に係る公募結果について

 

事業予定者(代表法人:株式会社トムス、構成員:広島トヨペット)による提案
『ひろしまモビリティゲート(名称仮) アジア随一の”モビリティ・エンターテイメントの聖地”』

 

◆ターゲット顧客 ~年間200 万人超の集客~
 A:海外インバウンド(アジア圏+ 欧米)
 B:国内観光
 C:県内ファミリー層

◆提供価値 ~モビリティを中心とした付加価値の高い体験型コンテンツ~
 a:各顧客層に向けた“ここでしかできない体験” を用意し、エンタメの聖地を作る。
 b:立地を活かし観光名所化し、国内外から観光客を呼び込み、地元経済に寄与する。
 c:観光客、地元住民、同好の士が集い、新たなコミュニティ創出の場とする。
 d:モビリティ、地域社会のあるべき姿を模索する、未来の実験場とする。

 

《モビリティ・エンターテイメントの聖地》アジア圏随一の総合エンターテイメト施設
《豊富な体験型コンテンツ》見る、選ぶ、買う、乗る、食べる、泊まるなど、実体験を凝縮
《新たな観光名所化》国内外から年間200 万人超の来場→広島県経済の活性化にコミット
《地域住民の集いの場》家族、友人、恋人、同好の士が日常的に集い、豊かな時間をシェア
《モビリティの最先端》産官学によるEV、自動運転、空飛ぶ車、MaaS などの最先端研究
《立地の有効活用》公園整備、陸海空を繋げた移動のハブ施設可、VR を使った県内観光連動
《MaaS の実証・実装》交通公共機関との連動、統合型サービスの実証の場

 

 

(上記広島県資料より)

 

 

レースの名門TOM’Sが名乗り! 新たな価値の創出に期待

現広島FMPの事業提案募集には当初からマリーナホップ自信も名乗りを上げていました。
無難に現在の運営者有利と見ていたのですが、これはサプライズでした!

新しい事業者に選定されたのは、まさかまさか、レースの名門「TOM’S」。
広島トヨペットと共同で、およそ100億円の大型開発に乗り出します!!

 

公表された事業者選定結果について、個人的には好印象に捉えています。

下記の西飛行場跡地の開発計画に関する記事で書いたように、
以前から自動車をテーマとした賑わい施設の必要性を訴えてきました。

広島県と広島市が検討を進めてきた、西区観音の広島西飛行場跡地の活用策について、 昨年12月、跡地利用計画(案)が公表されました。 2013年に策定した「広島西飛行場跡地活用

 

当用地は御存知の通り、決して交通アクセスの利便性が高いわけではないです。
広島都心の周りを取り囲むように大型SCが建ち、中途半端な商業施設(他の場所で事足りる施設)では、光るような集客は期待できません。

だからこそ、西飛行場跡地にしても、マリーナホップにしても、
一定のジャンルに特化してでも「そこにしかない」施設が望ましいと考えていました。

 

広島は日本有数の自動車産業の街でありながら、自動車について身近に知ることができ触れ合える施設がこれといってないんですよね。マツダミュージアムは平日のみのオープンで、せいぜい社会科見学の場所に選ばれるくらい。(だからこそ、ここにマツダやマツダ系販売店が名を連ねていてほしかったですが。。)

東京・お台場に「MEGA WEB」という同じような自動車エンターテインメント施設がありました。(2021年12月に用地開発計画に伴い閉鎖)
トヨタが出資する施設でしたが、メーカーの垣根を超えたイベントが開かれることも多々。豊田社長の人柄でしょうか。
「ひろしまモビリティゲート(仮称)」も、このような存在になればいいと思います。

 

開発用地はデルタの末端で周辺は工場群と飛行場跡地なので、周辺に住宅はほとんどありません。
騒音対策が課題となる施設とは非常に親和性が高く、過去にもマリーナホップの駐車場でレーシングカーの走行イベントが開かれています。

事業計画では野外音楽フェスでの使用も想定した「多目的サーキット広場」を整備するとしており、
これまで広島に欠けていた機能の導入に非常に期待しています。

地道な集客努力を続けた「広島マリーナホップ」の解体は少し寂しさもありますが、
都市として生き残るには、通販では得られない”体験”という新しい価値も必要です。

続報があればまたまとめます。

 

なお、余談ですが、広島出身の現役トップドライバー、平川亮選手をご存知でしょうか。
国内トップカテゴリのモータースポーツ「SUPER GT」で、昨年までチームTOM’Sでドライバーを務めていました。
広島出身ということで彼のスポンサーには広島トヨペットもついており、平川選手が今回のプロジェクトの橋渡し的存在になったのかもしれません。

平川選手は今年、ル・マン24時間も含む世界耐久選手権のドライバーに抜擢されました。

平川選手がドライブするSUPER GT「KeePer TOM’S RC-F」(2016年撮影、岡山国際サーキット)

 

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