市内の未成構造物 広島高速2号線<東雲IC> 上下フルIC化の実現は?

広島県と広島市が折半してつくる広島高速道路公社は、4路線の都市高速道路を持ち、現在は1つの路線の整備を進めています。

整備中となっている広島高速5号線は、このブログでも取材を続けていますが、
今回の記事で紹介したいのは2010年に開通した広島高速2号線の東雲ICです。

他のICと同様にハーフインターチェンジ構造で開通を迎えましたが、
このICについては将来のフルIC化を見据えた構造となっています。

以前近くを通りかかることがあり、その構造がはっきり見て取れることに改めて気づいたので、紹介記事を作ってみます。

工事進捗とは関係のない、夏休み特別企画です。

 

 

路線の概要

【広島高速道路公社】:広島高速2号線(府中仁保道路)

広島高速2号線は、広島都心部の東側を南北に結ぶ全線高架橋の都市高速道路です。
起点部では温品JCTで高速1号・5号と、終点部では仁保JCTで高速3号・広島呉道路・海田大橋と接続します。
全長は約5.9kmの内、約4.1kmは完成4車線、約1.8kmは暫定2車線区間となっています。

今回紹介する東雲ICは概ね路線の中間に位置しており、このIC付近を境に4車線と2車線にきりかわります。

 

ハーフインター構造の現状

黄金山から見下ろした広島高速2号線、東雲IC付近です。

 

猿猴川を渡りきってすぐにランプウェイが横に伸びていくのが分かります。

 

ランプウェイは国道2号に接続しています。

交通量のかなり多い区間に繋がります。

 

先程の交差点から本線方向に進み、料金所を過ぎたところで分岐します。
現在は、府中方面とのIN・OUTのハーフインターとなっているため、ランプウェイは北方向にカーブし本線に繋がります。

 

 

 

 

猿猴川を超えてすぐ、広島駅やマツダスタジアム最寄りの大州ICです。

 

 

将来のランプウェイ建設に対応した仁保方面

本題はここからですね。
先程と同じ位置から、南側仁保方面を見ると、将来のランプウェイ建設を想定したスペースや構造が見えてきます。

 

 

この箇所だけ橋脚が「ロの字型」になっています。
フルIC化の際は既存のオフランプウェイの下をくぐったうえで、この空間に二保方面ONランプが設けられるのでしょうね。

 

180度振り返ります。

 

 

橋脚には本線に上っていくための梁が拡張できる構造となっています。
奥に行くに連れて徐々に高さを上げているのがわかりますね。

 

上の画像でも確認できますが、本線は東雲ICを過ぎてすぐに暫定2車線区間に切り替わります。

 

 

橋脚は4車線対応のものがすでに整備されています。
車線が減らされた北向きの橋桁が設置されなければ仁保方面からのOFFランプが取り付けられないので、フルIC化は少なくとも4車線整備以降、もしくは4車線化と同時に施工されることになりますね。

 

 

東雲フルIC化の実現性はあるのか

東雲フルICは、災害時や事故時に通行止めになるリスクが高い暫定車線区間の解消、仁保ICのバックアップとしての役割が期待されるわけですが、
実現までの道のりは、皆様ご想像の通りかなり遠い将来の話になると思われます。

 

まず目先では現在事業中である広島高速5号線の開通と、温品JCTにおける高速2号・5号接続を実現させなければなりません。
トンネル工事を始めた時点で2022年度の開通を計画していましたが、
シールドマシンの破損などにより具体的な開通時期は見通せないばかりか、施工会社との契約上のトラブルにも発展しており、かなり深刻な状態となっています。

もう一つ、今年度から事業が具体化した広島高速4号と山陽自動車道の接続
県北と広島都市部における円滑なアクセス経路になるほか、国道2号西広島バイパスが不通となった際のバックアップとしても非常に重要な役割を果たします。
遅すぎたくらいであり、こちらも早急に進めるべき事業です。

 

現在は行くことができない仁保方面へのアクセスにおいては、
約1.7km南に一般道を進めば高速3号・広島呉道路・海田大橋の各方面に繋がる仁保IC・JCTが利用できます。

広島呉道路、海田大橋のみ利用する場合、仁保から利用した方が広島高速の料金を払わなくて済むので、料金体系が広島高速と一体にならない限りほとんどの人は仁保から利用するでしょう。

高速3号については現状は観音までの盲腸路線となっているので、検討対象路線として位置づけられている路線(下記)が実現して都市高速のネットワーク化が図られない限り、費用対効果の面でも実現は厳しいです。

※広島高速道路 検討対象路線
・東部線Ⅱ期(仮称):高速5号線~高速4号線
・南北線(仮称):東部線Ⅱ期~高速3号線
・草津沼田道路(仮称):高速3号線~高速4号線

 

(広島高速道路公社『中期経営計画(2021年度-2024年度) (PDF)』より)

 

検討対象路線については、高速5号線の整備に区切りがついてからの検討着手になるでしょうから、一にも二にもまずはトンネルの問題に決着をつけて早期に開通していただくことが必要です。
関係者の方々の苦労は相当なものと思われますが、今後、事が上手く進むよう祈りたいです。

 

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