先日、といっても7月になりますが、休みを使って九州の方に行ってきました。
旅のメインは、火の国 熊本です。
福岡・博多は何度も行ったことがありますが、そこから先はほとんど行ったことありませんでした。
近年、熊本駅を中心としたエリアや旧市街地でも再開発が計画され、都市開発ウォッチャーとしてはずっと気になる都市でありました。
JR中心駅と中心市街地が離れている、そして市電がそれらを結んでいる点が広島と似ているともよく言われていますよね。
たくさんネタがあります。まずは広島駅と同様に変貌を遂げている最中にある、
JR熊本駅についてレポートしたいと思います。
熊本の皆様こんにちは。
熊本駅開発の背景から簡単に書いておきます。
九州新幹線の整備に伴い、熊本県と共同で在来線のJR鹿児島本線と豊肥本線を高架化する連続立体交差事業が進められていました。
・2011年3月:九州新幹線の博多-新八代駅間が開通し熊本からも新幹線に乗れるように。(東日本大震災の翌日でした)
・2018年3月:在来線の連続立体交差事業が完了。熊本駅は完全な高架駅に。
これらに合わせて、当然ながら熊本駅本体と周辺は大きく地図が変わっています。
熊本駅新幹線口(西口)です。
その名の通り、九州新幹線の高架が面する駅の西側です。
駅のメインは反対側の白川口(西口)でしたが、新幹線開業にあわせ区画整理が行われ、このようなロータリーも整備されました。
7年前に開業したばかりの真新しい駅舎です。
このガラス張りの新幹線駅舎をずっと見たいと思っていました。
ロータリーに沿って、歩道にはこのように上屋が設けられています。
左手にマンションが見えているように、駅周辺は住宅が多く、その中にポツンと新幹線の駅前ロータリーが出現するというような印象でした。
そのため人通りも少ないです。駅前が市街地の中心ではないのがよく分かります。
特徴ある上屋は周辺の住宅地と駅をある程度心理的に分離させる役割も持たせているのかもしれません。
駅舎近くから見上げてみました。
カッコイイ…。絵になりますね。駅舎は建築家の安藤忠雄氏のデザインです。
平面ではなく少し段差をつけてガラスが取り付けられているのは、どことなく「和」の雰囲気を感じます。
さて、表玄関である「白川口」(東口)に移動します。
完全に高架化されたので、この1階の東西自由通路がメインの動線です。
奥が先程いた新幹線口です。
広島駅を始め多くの駅と同じ構図で、改札口に対面した商業施設があります。
「肥後よかモン市場」
【公式】:肥後よかモン市場
熊本みやげはもちろん、レストランやコンビニなど、全59店舗が入居する大きなワンフロアの商業施設です。
駅が高架化され、自由通路を挟み改札口と商業施設が配置される―
2012年に高架化されたJR大分駅と同じことが、この熊本駅でも行われています。
大分駅は「豊後にわさき市場」でした。
ファッション等の専門店をメインにした「アミュプラザ大分」と合わせ、巨大な商業施設「JRおおいたシティ」が誕生しました。
地方での収益確保のモデルとして、熊本でも同じ手法が取り入れられるようです。また後述します。
自由通路から東口に向かいます。
お分かりでしょうか。
地上駅の線路・ホーム跡が確認できます。駅ビルを裏側から見ている構図です。
かつて(今年の3月まで)は、ここに在来線が走っていました。
頭上は高架化された現在の在来線駅舎。
少しアールを描いた鉄骨が外側に取り付けられていますが、これは完成時にお城の「武者返し」をイメージした外壁のデザインになるそうです。こちらも安藤忠雄氏のデザイン。
白川口(東口)に移動します。
途中通る通路。これは在来線改札口だったんでしょうね。この感じは広島駅のリニューアルでもよくありました。
やっと白川口(東口)に出てきて、駅ビルを撮影しました。
くまモンに出会えました。
駅ビルはすでに閉館し解体に向けた準備が始まっています。
大分駅と同じように、地上時代の在来線ホーム跡と旧駅ビル(駅舎)の敷地を使った、新しい駅ビルの建設が予定されています。
【JR九州】:熊本駅ビルの開発概要について
【熊本駅ビル】
地上12階、地下1階
1~7階:商業(シネマコンプレックス含む)
8階:結婚式場
9~12階:ホテル(200室)
延床面積:10万7,000平方メートル
商業店舗面積:3万7,000平方メートル
着手予定:2019年春
開業予定:2021年春
目を見張る規模です。
こうした鹿児島中央や大分に続く博多駅以外での大規模開発です。
上のイメージ図とほぼ同じ角度から撮影したものです。
画像の右後方に、地上駅時代の線路用地も活用して建設されます。
さて、この画像で何より目を引くのは手前の大きな庇ですね。
このしゃもじ型の庇は2011年の九州新幹線開業に合わせ、
将来の駅ビル建設および駅前広場の再整備までの「暫定形」として整備された
駅舎から路面電車ののりばまでつながる上屋です。
【熊本県】:熊本駅白川口(東口)駅前広場 暫定形
あくまで暫定的なもので、7月30日に公開されたばかりのイメージパースを見ると、
駅前広場再整備の完了時には撤去されて新しいものが取り付けられることが分かりました。
【熊本市】:熊本駅白川口(東口)駅前広場整備事業について
熊本駅白川口(東口)駅前広場再整備イメージ(熊本市HPより)
デザインも大きな特徴を持っており、シンボルにもなりうる存在ではありますが、
少し大きすぎて将来の導線計画的に見ると使いにくいのかもしれませんね。
通りを挟んだ東側から。
庇の下に整備された熊本市交通局の路面電車。
乗り入れている車両は、水戸岡鋭治氏がデザインした超低床車両「COCORO」。
乗り場自体は全く雨に濡れる心配はありませんが、繁華街の方に行くために電車を待つ人たちの列が駅ビル近くまで伸びていました。
ちなみに、熊本市電は熊本駅が終点ではなく、この2電停先の「田崎橋」というところまで伸びています。
この区間は2010年4月に改修され、なんと車道の端に軌道が設けられた「サイドリザベーション方式」が採用され開業しました。
サイドリザベーション化された軌道は緑化され、センターポール式の架線に。
事実上車道とは隔絶された専用軌道のようになっており、安定的な運行が可能になっています。
広島がお手本にすべき要素がたくさん詰まっていますね。
最後は熊本駅前(白川口)の風景で。
「ザ・熊本タワー」
熊本駅の目の前で行われた再開発事業「くまもと森都心」で誕生した建物です。
2012年にすべて竣工しました。
再開発の内容としては広島を含め地方ではありがちな、超高層マンション+商業施設という組み合わせ。
「ザ・熊本タワー」は、高さ126.83m、地上36階・地下1階の
熊本市で最も高い建物です。
以上、熊本駅と周辺の街づくりの状況のまとめでした。
次回は高架化が完了した駅コンコースや新幹線ホームの状況を紹介します。
このほか、街の繁華街のど真ん中で進む再開発や震災を乗り越えた熊本城なども見てきたので、
後日レポート予定です。驚きの連続でした。