2021年の年末に、九州は熊本・長崎に行ってきました。
新幹線開業を2022年秋に控え、駅本体と周辺の大型開発をご紹介しましたが、
今回は長崎駅からほど近く、長崎港に面する土地を埋め立て2017年に竣工し2018年1月から運用が開始された、新しい長崎県庁舎のご紹介です。
海辺のオープンスペースや合わせて整備した防災緑地と調和するよう、
低層かつ共用エリアを広く取り市民に開かれた構造となっています。
大きな吹き抜けやその中を結ぶ回廊にも注目して見ていただきたいです。
長崎新県庁舎の概要
【長崎県】:新県庁舎の設計
(上記長崎県資料『実施設計(概要)(行政・議会・駐車場棟)1頁-4頁[PDFファイル/7MB]』より)
【長崎県庁】
高さ | 39.96m(最高高さ) |
構造 | 鉄筋コンクリート造 免震構造 |
階数 | 地上8階 |
敷地面積 | 16,041.71平方メートル |
延床面積 | 51,138.26平方メートル |
着工 | 2015年 |
竣工 | 2017年 |
事業主 | 長崎県 |
設計・監理 | 日建設計、松林建築設計事務所、池田設計、アトリエ・プランニング |
施工 | 鹿島建設 |
事業費 | 約423億円 |
豊かな緑地と海辺が隣接する新庁舎
長崎駅を背後に、北側から見る長崎県庁舎です。
手前の5階建ての部分が議会棟、奥で横長になっている8階建ての部分が行政棟になります。
県庁舎から、防災緑地と駐車場棟を挟んだ東側に、長崎県警察の警察棟が合わせて整備されました。
駐車場棟の海側は防災緑地となっています。
ここを低層地帯とすることで、新幹線も乗り入れる新しい長崎駅高架駅舎から、長崎湾の眺望を確保しているとのことです。
県庁舎の2階部分はテラスになっています。
素晴らしいロケーションです。
圧巻の吹き抜けロビーと館内通路
お待たせしました。
長崎県庁は、閉庁日でも一部エリアは中に入る事ができます。
さらに驚くべきはこの内部です。お邪魔してみました。
車寄せの部分から独特な雰囲気があります。
ランダムの大きさにカットされた木材の天井材が綺麗です。
完全に天井裏を塞ぐものではない簡易的なものなのですが、これを設置する方が手間になるのではないかと感じるほどのこだわりです(笑)
エントランスホールに入りました。
圧倒的な巨大空間の中に、各層が複雑なデッキで繋がります。
実は仕事の関係で一度訪れたことがあったのですが、何度見てもマジでこれは凄いです…
この複雑さ。
全てのフロアがそれぞれ形が違っているのではないでしょうか。美術館と言われても不思議ではないですね。
1階の広いロビーではイベントも開催可能である他、
県の観光名所や産業を紹介するコーナーなどが開放されており、
私のように観光で長崎を訪れても満足できる施設になっています。
さらに、各階にフリーのデスクが設けられており、
平日は打ち合わせにも利用できますし、今回訪れたような休日には学生が勉強する姿も見られました。
屋上も広場として開放されています。
長崎湾が一望できます。
屋外は強風で非常に寒かったですが、屋内の休憩スペースも完備されています。
以上、2017年竣工の長崎県新庁舎のご紹介でした。
この複雑な構造にして総事業費は423億円となかなかの高額な部類になると思われます。
しかしながら、年末も差し迫った取材日(12/30)ですら開放されており、実際に県民に利用されているのですから感心しました。
広い空間はそれだけで賑わい振興、災害時など様々な場面に活用できるので、今後ますます求められる機能です。
長崎は2022年秋には新幹線が開業するとともに駅の開発も進み、人の流れが大きく変わることが予想されます。
県庁が一つのハブとして機能し、各地の観光地に波及していくある意味道の駅のような場所になればいいですね。
長崎駅と県庁は国道の旭大橋が間を横切っており、回遊性を確保するのも課題かもしれません。