広島市東部地区 JR高架事業維持を再検討

JR山陽本線・呉線の「向洋駅」及び「海田市駅」周辺の約6.3キロを高架にする「広島市東部地区連続立体交差事業」に関し、
主導する広島県が960億円に上る総事業費がネックとなり高架区間を約2kmに短縮する等の縮小案を昨年8月に示しました。
これに対し全区間が平面のままとなる海田町が大きく反発し膠着状態が続いていましたが、
19日に行われた第3回の協議にて広島県は、高架区間の延長は維持したまま構造を簡素化しコストダウンを図った新たな見直し案を公表しました。
海田町はこれに理解を示しています。
年明けにもコンサルタント会社に調査を委託し、JRとも協議しながら実現を目指していくとのことです。
【中国新聞】:JR高架化、縮小案から「転換」
【読売新聞】:海田町 高架再検討案受け入れ
 
【広島県】:広島市東部地区連続立体交差事業
 
 
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当初案
 
 
 
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2013年8月縮小案()
 
 
今回の見直し案では当初案の通り高架区間は維持しますが、大きな変更点としては3階建ての2層高架構造の予定だった海田市駅が2階建ての通常の高架駅になりました。
海田市駅では貨物列車も多く往来する山陽本線と呉線をスムーズに繋ぐため、山陽本線ホームを2階、呉線ホームを3階とすることで線路を平面交差させずに乗り越すことを想定していました。
 
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当初案海田市駅イメージ
 
 
見直し案では一般的な1層の高架駅になりますが、引地踏切付近にある現在の乗り越し施設を活用することなど今後検討していくようです。
 
この他、他の自治体が実施した例を参考にして高架部の橋脚数の削減や平面から高架部に遷移する部分の盛土構造の見直し、本設の高架橋を建設する間の仮線路の計画見直しなどがこれまでに検討されています。
 
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第2回協議資料参照)
 
 
今後は高架橋の高さの抑制やそれに伴う交差道路の盤下げ等、更なるコスト縮減策を検討していくとのことです。
 
 
 
広島県から何とか当初案通りの区間を高架でやっていただける道筋が見えてきました。
海田市駅が2階建てに縮小になりますが、最もコストがかかる箇所であろう2層高架(3階建て)を妥協することで大きく実現に近づくのであれば正解だと思います。
地方都市でこのような2層高架駅はほとんど例が無いですよね。
呉線の乗り越しについても既存の施設を活用できる可能性もあるようですし、上手くまとまることを期待したいです。
 
 
この連続立体交差事業と切っても切れないのが広島市との合併問題です。
前回のコメントでも頂いたように、当初の計画の財源が広島市との合併による国からの「合併特例債」を一部として見込んでいたことは間違いないでしょう。
ところが結局今日まで合併には至っていません。
“合併しないのなら文句を言うな”との広島市民の声も理解できます。
私も双方にとって合併するのが一番良いと思っています。
ところが踏切が原因で遅延することは激減しますし、複々線で特に分断されている感が強い向洋・海田市両駅周辺の大きな発展が見込めます。
“広島市”ではないものの”広島都市圏”であることは間違いなく、決して両町民にしかメリットがないということはありません。
見直しを行ったとしても巨額の費用はかかりますが、私は今後何十年、何百年を見据えてそれに見合う効果は得られるものだと思っています。
 
海田町については、高架の建設予定地にある町役場の移転問題が依然として進んでいません。
従来通りの高架での建設を強く主張する海田町が、です。
合併しないという民意があるのであれば、それが高架事業に与える影響を冷静に見つめ
海田町として何が出来るのかを考えなければなりません。
 
来年は用地買収が進んでいる現地の様子を見に行こうと思います。
 
【海田町】:役場移転について
【Wikipedia】:町役場移転問題


 

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