広島市は、広島城に隣接した旧観光バス駐車場一帯を活用した「三の丸エリア」の整備計画を進めています。
Park-PFI制度を活用し、飲食・物販や観光案内を行う施設、展示収蔵機能を持つ施設「広島城三の丸歴史館」、多目的広場などを2024年度から2026年度にかけて段階的に整備する計画です。
このうち、5店舗の飲食・物販施設や駐車場からなる第1期エリアは2025年3月31日にオープンしました。
第2期エリアの核となる「広島城三の丸歴史館」は2026年中に開業する予定で、
2025年度後半に閉館する広島城天守閣の代替展示機能も担います。
国道54号を挟む西側では、”エディオンピースウイング広島”を核とする「広島スタジアムパーク」が開業しました。
南側の旧広島市民球場跡地に開業した「ゲートパーク広島」といずれもPark-PFIを活用した賑わい広場となっており、
それぞれのエリアの連携が紙屋町・八丁堀地区の求心力向上の鍵となることが期待されています。
前回の状況です。
事業の概要
【広島市】:Park-PFIを活用した三の丸にぎわい施設の整備の進捗状況
実施設計概要(上記広島市HPより)
三の丸第1期商業施設が、3月31日にオープンしました!
【公式】:広島城三の丸
【NTT都市開発】:広島城三の丸整備等事業 第一期エリア 竣工
▼第1期エリア店舗概要
A | 炭火焼 鰻のうな輝 広島店 |
---|---|
B | 三の丸 八昌 |
C | SOKO CAFÉ |
D | ひろしま IPPIN |
E | 広島城 射楽 |
(NTT都市開発『広島城三の丸 第1期商業施設オープン⽇が3⽉29⽇(⼟)に決定!』(https://www.nttud.co.jp/news/detail/id/n26842.html)より)
広島城入口の目の前を整備した施設
東側、広島城への入口となる表御門。
広島城を後にして御門橋を渡った左手に店舗群が位置しています。
手前には上田宗箇流監修の「SOKO CAFÉ」。メインの入口は反対側ですが、サブエントランスから中に入ることができます。
「おりづるタワー」がプロデュースするみやげ物店。
こちらもサブエントランスから中に入る事ができます。
表御門の目の前、城南通りとの導線上の見える場所に室外機等が置かれているようです。
ここは主動線と位置づけていないのか…
城南通りに面する南側。
タクシー等が入る事のできる車寄せになっています。
飲食店・カフェ・土産物店がオープン
では店舗群がコの字型で迎えている東側へ周ってみましょう。
配置はこの様になっています。
エディオンピースウイング広島(広島スタジアムパーク)方面からの人の流れを受け止めるようにコの字型に店舗が並びます。
スロープより南側が今回オープンしたエリアで、北側は2期エリアとして広島城の展示収蔵機能を担う歴史館などが現在建設中です。
オープンした5つの店舗群。
店舗に囲まれたコンパクトな空間です。
落ち着いて食事や買い物ができるとも言えますが、なんとなく閉鎖的な雰囲気にも…。
来城者を迎え入れるのに、表御門や北側のお掘りではなく西側の駐車場やトイレを向いていることに違和感を感じます。
「本物」の表御門を尊重しあえて現代の店舗とは一体的にしない、といった意図もありますかね…?
南東側から。
24時間利用可能な公共トイレとシーティングエリアです。
居心地は良さそうです。
1期エリア西側は平面駐車場(コインパーキング)となっています。
このあたりはアストラムラインのトンネルや共同溝が地下を通っており、それらへの影響を避けるため大きな建築物が建てられませんでした。
そうは言っても都心にこれだけの平面駐車場が「新設」されるのは少し複雑ですね。
自家用車で広島城に来る観光客は少ないでしょうから、
割り切ってここはカミハチの”フリンジ駐車場”として機能し賑わいに寄与すればいいかなと。
『三の丸歴史館』など建設進む2期エリア
スタジアムパークへのペデストリアンデッキのスロープより北側は、2期エリア。
三の丸歴史館や、ステージ、カフェの新築工事が進められています。
鉄筋コンクリート造2階建ての歴史館は、仮囲いが設けられ重機が入り基礎工事が始まりました。
歴史館は、老朽化のため2026年3月22日に閉館を予定する広島城天守閣の展示・収蔵機能を代替する目的で整備されます。
広島城の復元については有識者会議で議論されており、今年2月に小天守を含め一帯を木造で復元する方針が示されました。
最終的に決定されてもその建て替え工事には数十年かかる見込みであることから、
その期間の展示機能を担う歴史館の役割は大きいです。
歴史館建設予定地の西側。
天守が見通せるこの場所にはカフェやイベント用のステージが設けられる予定です。
小規模の基礎のようなものが確認できますね。
今回は以上です。
広島城は耐震性能の不足・老朽化により、2026年3月に閉館することが決定されました。
気候の良いこの季節、広島城には多くの観光客の姿がありましたが、
平和公園周辺と同様に欧州・欧米からのインバウンドの姿がよく目立ち、
日本人と同じくらいの割合がいたようにも感じました。
年間40万人以上が訪れる観光史跡、広島城。
復元の道筋をできるだけ早く示したいですね。有識者会議では木造による復元の方向性が示されました。
実現には131億円の事業費(2021年時点の試算)と着手から20年程度の時間が必要になることが報告されています。
【RCC】:広島城“天守群”を木造復元へ 有識者の検討会議で方針 いまの天守は復権60年以上経過で 広島
【朝日新聞】:「天守閣を木造復元」 広島市長が表明
事業期間が長いので、単年あたりのコストは意外と抑えられる可能性もありますが、建設費はさらに高騰していると思われます。
木造新築という価値を与えることで入館料の値上げは可能でしょうが、それが入城者数にどの程度影響を与えるか未知数です。
ただ、鉄筋コンクリート造の寿命は永遠ではなく、せいぜい50年程度でありその際にまた議論になります。
木造の場合は取り替えながら必要箇所を修繕しながら半永久的に遺すことが可能です。
何より、復元するに足る資料が残っている今のうちに復元し、私達の次の世代、その次の世代で日本を代表するお城となることを目指すのが良いのではないかと、私は思います。
広島城三の丸エリアの一連の施設の完成時期は下記の通りです。
名称 | 整備者 | 開業予定 |
広島城三の丸第1期エリア (飲食・物販等) |
広島城 アソシエイツ |
2025年3月29日 |
広島城三の丸第2期エリア (カフェ・多目的ステージ等) |
広島城 アソシエイツ |
2026年9月 |
広島城三の丸歴史館(収蔵展示) | 広島市 | 2026年10月 |