JR西日本は、さらなる鉄道輸送の安定性向上を目指すため、
5月20日から広島地区で新しい保安システムの使用を開始する事を明らかにしました。
「D-TAS(データベースを用いた列車管理システム)」と名付けられた新システムは、
線路上に設置された地上子を主体とするこれまでの「ATS」とは異なり、
車両に搭載したデータベースに、あらかじめ信号機の位置や曲線・分岐器などの位置と制限速度の情報を登録し、
車輪の回転数から自社の位置を把握し制限速度を越えた場合などに自動ブレーキをかける仕組みです。
対象は、2015年から導入された新型車両227系「レッドウィング」のみ、
まずは西広島~岩国間で使用を開始します。
【JR西日本】:山陽線 西広島~岩国駅間で新保安システム(D-TAS)を使用開始します
227系に搭載された注目の新機能のひとつ。
「新保安システム」がついに開放されますね。
当初、「ATS-DW」という名称が用いられていましたが、
正式名称は「D-TAS(Database oriented Train Administration System)」と改められたようです。
新保安システムは、旧型の国鉄車両には搭載されないため、シティネットワークエリアを走る車両がほぼ227系に統一されてからの運用開始かと予想していましたが、
全て揃うのを待たず、来月20日からの開始となります。
地上子ベースではなく車両側に様々な情報を登録しておけるため、
間違えて停車駅を通過するようなことの防止や、徐行区間の確実な減速など、運転支援の向上による安全性が向上します。
JR西日本の技術開発のページには、これらのほか踏切の遮断時間制御にも新システムが役立つことが解説されています。
【JR西日本 / 技術開発の取り組み】:新保安システム(D-TAS)での踏切定時間制御の基礎検討(PDF形式890キロバイト)
踏切データを車上システムに登録することで、停車列車と通過列車それぞれに応じた踏切の制御ができるようになるそうです。
これにより、「開かずの踏切」の緩和を図る事ができるとのこと。
結構メリットがあるようですね。
現状は新型車両の227系であっても、ダイヤや踏切の設定を維持するために、旧型の115系と同等の加減速性能で運行を行っています。
4月から227系の追加配備も再開しているようですし、システムの高度化によりそろそろ(今年秋~来年春?)本来性能を出せるようになることも期待したいです。
新型保安システム「D-TAS」は2018年5月20日から岩国~西広島間で運用開始、
2019年春から西広島~白市間で運用開始となります。