広島電鉄が昨年秋ごろから進めてきた、路面電車「広電本社前」電停の大幅リニューアル工事が、2018年3月27日に完了しました。
リニューアルにより、電停の長さを従来に比べ約2倍となる54mに延ばし、電車が2編成同時に停車できるようになります。
また終端駅以外ではこれまでに例のない3mの電停幅を確保し、広電の電停としては初めて待合室も設けられました。
将来的には路線バスも乗り入れ、同じ電停で発着・乗り換えできる仕組みも検討される先駆的な電停です。
前回の状況です。
ついに完成し、全ての設備の供用が開始されました。
週末を利用して、昼と夜の両方写真に収めてきました!
まずは<昼編>。供用開始した電停の明るい時間帯の様子をご紹介します。
マダムジョイ前から。
反対に渡り南西側から、都心方面を
54mという長さは、紙屋町西や東とほとんど同じではありますが、やはり上屋の高さがあることと、
2車線になったことで、自動車のドライバーからすれば圧迫感は多少感じるかもしれません。
横断歩道を渡りいよいよ電停(のりば)へ。
スロープ部分の安全策の足元に、行き先が貼り付けられています。
これも他の電停では見られなかったやり方ですね。
のりばから見る、電停全体です。
広島電鉄路面電車で始めて導入された、液晶モニター(LCD)の発車案内装置です!
従来のLED式より大画面になりましたが、表示する情報量は据え置かれているので文字が大きく非常に見やすいです。
路面電車とは思えないですね。
電停の奥にはこれまで設置されていたLED式案内装置(小型タイプ)がそのまま設置されています。
装置を取り付けるための梁の長さが違うのがお分かりいただけますでしょうか。
手前の方が短く、やはりこちらに同じ大型LCDを設置することは考慮されていないようです。
ちなみに発車案内のLCDは、待合室にも設置されていて驚きました。
待合室の様子は、<夜編>で詳しくご紹介します。
改めて完成した電停を。
前回の記事でご紹介している通り、電停の広さは十分です。電車が入ってきた時の安心感が全く違います。
大型の上屋で車道からも完全に隔離されており、自動車の騒音や排気ガスも感じにくく、待合空間としてはとても快適になりました。
ただ、電車が止まるのは電停の前方の先端です。宇品方面はよいのですが、紙屋町方面では知らずに入口付近で待っていた人が電車の入線と同時に慌てて前方に移動する光景がありました。
待合室や案内装置をつけるのも、合わせてもう少し奥(電停前方)でもよかったのではと少し感じました。
自由度の高いLCD案内装置を備えているのですから、電車停止位置の案内ができるようになればいいですね。
電停前方の先端に停車する電車。
今年のカープラッピング仕様の5100型「グリーンムーバーマックス」です。
最後に、この広電本社前電停リニューアル工事の記事に関しては、毎回皆様から必要性について疑問を感じられているコメントを多数いただいております。
簡単にこの電停リニューアルの経緯と私の考えについてまとめてみます。
車線数を減らすことへの抵抗について。
元々この広電が通る県道243号広島港線は、中心部と広島港を結ぶメイン道路でした。
しかし、2000年に宇品橋が整備・開通したことで経路転換が進み、一時期に比べ交通量は減少しています。
2車線になったことで渋滞が起きている話も聞きません。
裏を返せば相生通りなど交通量の多い箇所での実現は極めて難しく、広電本社前の場所だからできたと言えます。
そんなに利用者が居ないのに本社前だからと無駄に豪華にしている、というご意見について。
確かに現状では7号線を除いて乗り換え電停でも無く利用者も多い方ではないでしょう。
しかし、真価を発揮するのは将来の路線バス乗り入れと結節点化された時かと思います。
広島市の「公共交通網形成計画」に基づき、都心部を走行するバス路線の集約を進めています。
5月から運行する都心循環バス「エキまちループ」を皮切りに、いよいよ本格的な路線刷新が始まろうとしています。
ここまで大掛かりなリニューアルを進める背景には、市が進める交通政策とも方向が一致しているためと考えます。