広島市は、バリアフリー化されていないJR西広島駅について、
南北自由通路を設け、橋上駅舎を建設する計画を進めています。
1日、中国新聞を通じてその完成イメージと大まかな仕様が明らかになりました。
大きく設けた窓から自然光を取り込む構造で木材もふんだんに使用される自由通路になるようです。
西広島駅界隈では、JRだけでなく、
広電西広島駅一帯の民間による再開発構想も進んでおり、昨年3月に閉館した「ひろでん会館」の解体も進みます。
今回はその様子も合わせてご紹介します。
【中国新聞】:JR西広島駅の自由通路に太陽光
報じられた自由通路及び駅施設のポイントをまとめました。
- 自由通路は延長約110m、幅8m
- 大きく設ける窓から太陽光を取り込むデザイン
- 天井や壁の一部に木材を多様し、木漏れ日のように太陽光が差し込むイメージ
- 自由通路の東側がJRの橋上駅舎で、西側にもJRによる店舗が出店
- 外観は地名「己斐」の由来となった黒い鯉の言い伝えをもとに、黒に近い灰色を基調に
- 改札内にエレベーター2基、エスカレーター4基
- 改札外にエレベーター2基、エスカレーター4基(南北に同じ数ずつ)
- 今月(2019年2月)から順次北口と南口の駅舎を仮移転し工事を始める
- 2021年春に暫定開業、2022年度末に全面開業
- 南口広場の機能を再配置、路面電車との乗り換えを考慮した通路も設置
- 総事業費59億円
- 橋上化工事のほか、延伸させるアストラムラインの駅舎を南口広場に設けるほか、北口の土地区画整理事業も進める
西広島駅は数年前から調査や設計の予算が盛り込まれてきましたが、
いよいよ本格的に動き出すところまできました。
デザインが公表されるとやはり機運は盛り上がりますね。
黒・灰色を基調としたのは新鮮ですが、構造自体は岩国や廿日市など既視感のあるものになっています。
自由通路の上屋は東西で高さを変えてハイサイドで自然光が入るような手法は広島駅自由通路ともよく似ています。
ただ、線路上空の自由通路に面した改札外の店舗が設けられるのは、周辺の駅では広島を除き、ここだけ。珍しいです。
西広島は乗車客数では広島市内でトップ10に入る駅です。(9,232人、平成29年度広島市統計)
敷地や構造に特に制約がなければ駅ナカ開発を進めていく方針にしたのでしょうか。
もう一つ驚いたのは、改札内・ホーム上にもエスカレーターが設けられることです。
ホーム上のエスカレーターは、こちらも広島市内では広島駅を除きここだけでしょう。
南口駅前広場方面にも自由通路が延長して通路が設けられるような構造ですが、途中で階段で1階に降ろされるように書かれています。
将来的には、駅前の「ひろでん会館」を中心とする再開発地区までペデストリアンデッキで結んであげるのが望ましいと思います。
(図面はあくまで自由通路整備に係るものなので、デッキは別途予算を組んで整備されるものと思われます。)
その南口広場には、記事の最後の方に「延伸されるアストラムラインの駅舎を設ける」と書かれています。
アストラムの駅舎って南側に造るのか…。これまで、区画整理した北側に造るものとばかり思っていました。
広島市としては一応環状線としてアストラムを白神社まで伸ばす構想は維持しているので、
将来的に延伸可能な構造にしておく必要がある・・・・ここまではまあ理解できるのですが、
北口で止めておいてもいいのではないでしょうかね…と思いました。
確かに広電やJRへの乗り換えは南口の方が最短になりますが、
自由通路を整備するわけですし(そのための自由通路)、
JR線を高架で乗り越えるコストをかけてまで行う必要があるのか疑問です。
以上、概要のまとめでした。
ということで、冒頭にも書いたとおり現状どうなっているかを改めて確認するため、西広島駅を訪れました。
現在の跨線橋です。本当に昔ながらのもので、当然エレベーターは設けられておらずバリアフリーには対応していません。
橋上化工事でこの跨線橋は取り壊されることになります。
南北自由通路は現在改札口のある、駅の西寄りに設けられるようです。
ここの上空あたりでしょうか。
そこから東側(2枚目画像奥側)一帯が橋上駅舎となり、改札や駅施設、階段・エスカレーターなどが設けられます。
駅南口から。
イメージ図に近い角度です。
(再掲)
さて、南口駅前広場に面する「ひろでん会館」の状況もご紹介します。
駅前広場から撮影した2枚です。
前回は2018年5月に、解体工事が始まった段階でレポートをご紹介しました。
解体は順調に進んでおり、囲いの高さで分かるようにかなり小さくなってきました。
この街区では、2017年3月に地権者らの再開発準備組合が設立されており、
100m超えのタワーマンションや商業施設を整備する計画が進められております。
詳細はこちらから。
広電西広島駅側から。
解体工事のため、ひろでん会館の下は通り抜けができません。
線路の上空には人工地盤が設けられ、作業のための足場として使用されているようでした。
東側から。
足場でトンネル状になった部分を路面電車が通ります。
「ひろでん会館」の全体です。
JRと広電が同時に行うプロジェクトにより、数年後の西広島はまるで雰囲気が一変しているでしょうね。
JR西広島駅の自由通路整備・橋上化工事は、今月にも駅舎の仮移転を行い工事を始め、
2021年春に暫定開業、2022年度末に全面開業の予定。
再開発組合が行う「ひろでん会館」を含む一帯の再開発は、
2018年度の都市計画決定、2020年度の着工を目指します。
そして、アストラムライン西風新都線は、「平成40年台初頭」(平成40年=2028年)に西広島駅まで延伸開業する計画となっています。