広島駅南口広場の整備費が倍増に 大屋根の整備やデッキの拡張決まる

広島市は昨年から工事に着手している広島駅南口広場の再整備事業について、
駅ビルの建て替えを除く整備費用を当初の155億円からおよそ2.3倍となる360億円となることが明らかにされました。
新駅ビルと周辺の再開発ビルを繋ぐペデストリアンデッキやデッキと地上を繋ぐエスカレーターの設置費用、広場を覆う大屋根の整備が計画に盛り込まれたことが要因です。
4日の市議会特別委員会で明らかにしました。

こちらに関する具体的な内容と私の考え、
そしてこの事実とともにこれまで未公表だった新しいイメージ画像も公開されたので、併せてご紹介したいと思います。

広島駅南口の工事の状況はこちらから。

新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う広島県の方針を踏まえ、 取材のみの外出は行わず、他の必要な外出(通勤、買い物等)と組み合わせ 一度の外出で訪れる施設を最低限にする方針をとっ
新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う広島県の方針を踏まえ、 取材のみの外出は行わず、他の必要な外出(通勤、買い物等)と組み合わせ 一度の外出で訪れる施設を最低限にする方針をとっ

 

360億円に倍増された整備費の内訳は・・・

【中国新聞】:広島駅前再整備費2.3倍の360億円に 広島市、歩行橋拡幅やエスカレーター新設で

 広島市は4日、JR広島駅南口広場(南区)の再整備にかかる総事業費が、当初の155億円の2・3倍となる360億円に膨らむと明らかにした。新駅ビルと周辺施設をつなぐ歩行者専用橋や大屋根の整備などの事業費205億円を上乗せしたため。この日、市議会都市活性化対策特別委員会で説明し、市議からは「見立てが甘い」「当初計画との差が大きすぎる」などと批判の声が上がった。

(中略)

 当初の総事業費は、2014年9月の基本方針で示した。市によると、周辺の商業ビルと結ぶペデストリアンデッキ(歩行者専用橋)の幅を4メートルから7メートルに拡幅。2棟と結ぶ計画を4棟に増やすよう変更した。また、専用橋にエスカレーター10基を新設。バス乗降場につなぐ地下通路などもつくり、計113億円の事業費を見込んだ。

(中略)

 市都市交通部は「基本設計を終えていない段階の大まかな試算だった」と説明。計画見直しにより、市の負担は61億円から170億円、国の負担は80億円から172億円、広島電鉄の負担は14億円から18億円に増えるという。

 新駅ビルは25年春の開業を予定。駅前広場の完成時期については、ビル完成後の「できるだけ早い時期」を見直し、26年度末になると見込んだ。(新山創)

(上記中国新聞HPより一部使用)

【若林新三 WEBSITE】:広島駅南口広場の再整備に360億円

 

当初に公表されていた額が155億円でしたから、倍以上となる360億円にまで増大するのは驚きですね。
なかなか聞いたことがない規模です。

ただ、色々な情報源を読んでまとめてみると、増額される要因は以下になります。

  • ペデストリアンデッキ
    • 大屋根の整備
    • 接続させるビルを2棟から4棟に増やす
    • 幅員を4mから7mに拡幅
    • デッキから地上へのエスカレーター10基を新設
    • バス乗降場と地下を結ぶ通路の整備
  • 路面電車「駅前大橋線」
    • 橋脚の強度増強
    • 新路線との接続部の改良

この通り、特に真新しい内容ではなく、いずれもここ数年間、広島駅南口の整備計画が進む中で、より具体的になってきた内容です。
積算を忘れていたとか、そのような根本的なミスではないことが分かります。

新たに判明した総額360億円の内訳は、
国の補助金が172億円、
広島市の負担が170億円、
広島電鉄の負担は18億円
となっています。

※これにJR西日本が新しい駅ビルを約600億円かけて整備するので、広島駅南口の開発はおよそ1,000億円規模となりますね。

 

155億円という整備費が公表されたのは記事にもあるように7年前です。
当時はまだ色々なところと調整中で、予算として載せられなかったものが、
確実に整備できるまでに煮詰まってきたと捉えることもできますよね。

例えばペデストリアンデッキの整備については、当時は周辺ビル2棟としか接続しない計画だったとのことです。(JPビルとCブロックでしょうか?)
その後、2016年10月に「広島駅周辺地区の歩行者ネットワーク計画」の基本方針(案)がまとめられ、
南口においては駅ビルからA,B,Cブロックと建設中のJPビルそれぞれ、計4棟に接続する方針が示されました。

広島駅北口ペデストリアンデッキ 二葉の里へ延伸検討へ

 

駅ビル中央の路面電車のりばとデッキ一帯を覆う大屋根についても、
当初からイメージ図には描かれていたものの、「おりづる」や日本建築独特の「反り」を表現したこだわった意匠になることがこれまでの資料から読み取れ、整備費の詰めが行われていたものと想像します。

設計段階からだと10年単位の巨大プロジェクトなので、
着手時に完璧な費用計画を作るほうが難しいです。

 

とはいうものの、税金を使って整備する事業である以上、決められた予算で事業を行うのが原則であり、
それができないことが分かったのであれば市民に対する説明は必要です。
というか、「これ(155億円)では収まらない」ということ、
もしくは「〇〇と〇〇の整備費用である」ということを、当初から明確にしておくべきでした。
これが続くと市政への不信感につながってしまいます。

なお、整備費について上でも紹介した市議会議員の若林氏のサイトによると、
” 既存の地下広場のリニューアルも実施することにしていますが、関係者との調整が残っているため今回の事業費に含まれていません。”
とあるので、最終的にはもう少し増額される可能性がありますね。

半世紀に一度の大改造です。
必要なものは必要性をしっかりと示して、世界に誇れる駅前を期待したいです。

 

 

新しいイメージ画像が公開!

おそらく委員会の説明資料に添付されたものと思いますが、
これまでには見られなかったイメージ画像が公開されました。

(若林氏WEBSITEより)

 

HOME広島ホームテレビ】:なぜ?広島駅南口広場 205億円大幅増額に

(上記ニュース映像より)

 

【テレビ新広島】:JR広島駅南口広場 再整備の総事業費が想定の2倍以上に

(上記ニュース映像より)

 

今回増額の要因となった南口を覆う大屋根や、4mから7mに幅員が見直されるペデストリアンデッキの様子がよく分かります。

これ凄いですね。全く今とは違う別の街になります。
歩行者動線は利用目的によって1階と2階に分散し、人々が滞留する憩いの空間が少ないことを懸念していましたので、
大屋根の整備、デッキの拡幅は歓迎です。

高架の軌道系交通と並行して歩行者デッキが設けられる構造はやはり小倉駅を彷彿とさせますね。

 

広島駅南口の再整備は、JRの新駅ビルと駅前大橋線が2025年春の開業予定、
ペデストリアンデッキを含む駅前広場の整備は2026年度末完了予定です。

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