先日このブログで、JR山陽本線の高架化を行う広島市東部地区連続立体交差事業を取り上げました。
この事業により、山陽本線と呉線が分岐する海田市駅は2階に山陽本線、3階に呉線が入る鉄道2層の高架駅となる予定です。
鉄道が2層に重なる高架駅は全国にいくつか存在しています。
東京都大田区の京急蒲田駅はその一つで、「京急蒲田駅総合改善事業」として2012年に全ての高架化が完了しました。
2022年4月に東京に行った際、以前から見たかったこの駅に立ち寄ってみました。
JR海田市駅の姿を想像しながら、取りまとめてみたのでご紹介します。
京急蒲田駅の概要
【東京都建設局】:京浜急行電鉄本線及び同空港線(京急蒲田駅付近)
連続立体交差事業
(上記サイト『事業パンフレット』より)
京急本線から羽田空港に向かう空港線が分岐するため
一方、広島の「広島市東部地区連続立体交差事業」における、JR海田市駅の高架駅の断面イメージはこちら。
【広島市公式ホームページ】:鉄道と道路の立体交差化の推進…JR山陽本線・呉線(広島市東部地区連続立体交差事業)
(広島市『パネル展示資料(15MB)(PDF文書)』より ※旧案時点の説明パネル。「当初計画」の断面イメージとして紹介されているが、現「見直し修正案」と構造は同じ。)
まるで要塞!歩行者・自動車・列車が立体交差する駅舎
今回は飛行機での移動だったので、羽田空港から京急線に乗って、途中の京急本線との合流駅でもある京急蒲田駅に降り立ちました。
早速、駅舎の外観です。
ようやく見ることができました。
電車がありえない高さを走行している非日常感…。
2層の鉄道高架橋が駅の途中から分岐し、羽田空港方面に線路が伸びていきます。
現在立っている場所は、地上駅時代の線路だった部分ですね。
特に駅前広場が整備されることもなく、残置として残っています。
将来的な活用計画はあるのでしょうか。
上の画像で見えていたペデストリアンデッキ。そのまま駅舎の2階に繋がり自由通路を経て、反対の西口に行くことができます。
西口の状況。
ご覧の通り高架駅でありながら自由通路は2階レベルにあり、そこからペデストリアンデッキが延びている大規模な構造となっています。実質4階建てですね。
西口は大きな通りがなく、路地を挟んで住宅などが隣接します。
4階建ての駅舎は、これこそ要塞ですね。
2層構造ののりば
改札に入り、京急ののりばへ向かいます。まずは2層高架の上の階です。
非常に広い幅のホームは横浜方面側で切り欠き状になっており、ここにも電車を止めることができます。
2層構造でタテにも、縦列でヨコにも広い駅舎です。
羽田空港方面の分岐。
羽田空港方面はこのような順番で列車が出ています。
意外にも階が固定されていないんですね。
階の違うホームへの案内はフルカラーLEDを用いて視覚的にも分かりやすく表示されています。
広島で高架化される海田市駅の場合、山陽線は2階ホーム、呉線は3階ホームといったように方面ではなく路線で階が分けられるようなので、
広島駅方面へ向かう場合は、このような違う階への案内が必要となってくるかと思います。
それにしても、路線の分岐駅で横浜方面、品川方面にも多数の列車が発着しながら、
オフピークの12時台でこれだけの列車をさばけることにおどろきです。
2層高架の恩恵もあるのでしょう。
2階ホームへ降りてみましょう。
エスカレーターを降りてまたホームが出現するのは不思議な感覚です。
以上、京急蒲田駅に降り立った感想でした。
京浜間の大動脈の輸送を担いながら、国内外の航空客を都心に導く巨大な結節点である京急蒲田駅。
限られた土地の中で、それらを円滑に安全に捌くための東京都の力技には感服です。
ここまで書いておきながらではありますが、広島県内には福山駅というすでに鉄道2層高架が実現されている駅があるんですよね。
こちらは在来線と新幹線が2層になっているので、ホーム上から直接乗り換えることはできませんが、改めて思えばこちらも大胆な構造をしていますね。