広島市は、築40年が経過し施設の老朽化対策が課題となっている広島市中央図書館の再整備を進めています。
同図書館に併設していた映像文化ライブラリーとともに広島駅南口のエールエールA館に移転する計画です。
2026年度の開館を目指します。
※当初、「こども図書館」も移転すると記載しておりましたが、誤りでしたため訂正しました。
確認不足があり、大変申し訳ありません。
2022年9月に広島市が撤回し、移転しないことが決まっています。
移転する新たな中央図書館の概要
【広島市】:中央図書館等の再整備
エールエールA館の8階から10階までの3フロアが移転先です。
中央図書館のほか、併設する映像文化ライブラリーも移転します。
フロア | 概要 |
10階 | 【図書と映像のエリア】 一般書等の閲覧・貸出、上映ホール、障害者サービス、カフェスペースなど |
9階 | 【「ひろしを知る」エリア】 郷土資料館のサテライト機能、広島資料室、参考閲覧室、ビジネス支援など |
8階 | 【子どもと青少年のエリア】 児童書閲覧、ヤングアダルトコーナー、自習室、グループ学習室、事務所など |
※各フロアに加え、地下2階、7階に閉架書庫を整備
▼10階 図書と映像のエリア
▼9階 「広島を知る」エリア
▼8階 こどもと青少年のエリア
(いずれも広島市『中央図書館等再整備に係る実施設計について』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimacitylibrary/394210.html)より)
【中央図書館の「建築コンセプト」】
- ”めぐり”歩くことをイメージさせる”広島らしい”「ミチ」(回遊動線)を館内にめぐらせることで、来館者はその変化に富んだ魅力的な「ミチ」に誘われつつ、館内を散策する。
- 「ミチ」沿いには「読書」と「憩い」と「学び」の空間が「連続する」あるいは「混ざりあう」形で配置され、利用者が「ミチ」をめぐる中で、「本や人と出会う」「新たな広島を知る」体験ができる。
(広島市『中央図書館等再整備に係る実施設計について』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimacitylibrary/394210.html)より)
外壁を窓ガラスに変える工事が始まる
先日撮影したエールエールA館の外観です。
(2024年11月撮影)
南面に足場が構築され始めました。
8~10階を図書館に改修するにあたり、館内から市内を眺望できるよう
外壁をPCカーテンウォールからガラスカーテンウォールに変更する工事が開始されたようです。
イメージパースにもあるように南面は全面ガラス張りの展望閲覧スペースに生まれ変わる予定です。
(広島市『中央図書館等再整備に係る実施設計について』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimacitylibrary/394210.html)より)
猿猴川を目の前に広島市都心方面の景色を眺めながら読書や勉強ができそうです。
移転に関しての所感
移転に関しては構想段階から、
「市の三セク施設への移転」に関する指摘や、書物を保管する上での設備への指摘、商業施設への入居という環境の変化など、反対意見が少なからずありました。
いずれも重要な視点であることは間違いないです。
一方、来春開業する新しい広島駅ビル「minamoa(ミナモア)」による競争の激化も見込まれ、エールエールA館がこれまで通りの商業施設という形態で維持し続ける道のりもかなり険しいことも実情かと思います。
第三セクター含む市関連施設(資源)の有効活用という面において、一定の合理性はある選択と考えます。
書庫の設備については、現在地で建て替えを行う場合でも満たす必要があるものであり、専門家の意見を踏まえて設計・計画されていると信じるしかないです。
完成・供用後も、議会や市民がチェックし、不足があれば市が責任を持って適切に対応する必要がありますね。
現中央図書館の、豊かな緑に囲まれて静かに過ごせる環境は、確かに優れていたと思います。
商業施設(しかも駅前の大型ビル)に図書館が入居することに対する抵抗は私もあります。
上記の資料を見ると、吹き抜け部分はガラスで区切られるようですし、上下のフロアと音や雰囲気はある程度遮断され、快適に図書館が使える環境が確保されることを期待したいです。
現在のエールエールA館。
館内は改修の最中です。
6階はRCC文化センターが運営する貸し会議室、ジュンク堂書店に、
7階はクリニックを中心としたフロアになりました。
8~10階は完全に閉鎖され、外から状況をうかがい知ることができません。
クリニックフロアに改修された7階。