広島市が計画している平和大橋の歩道橋新設事業について、2018年度の完成を目指し今年秋にも着工することが分かりました。
平和大橋は1952年に完成した幅15mの橋で、幅員の狭い車道と歩道が課題になっていました。
この事業は歩道橋を新設することによって既存の歩道を廃止し完全な4車線分の幅員を確保するものです。
当初14年度の完成を目指し国際デザインコンペをも実施しましたが、これによって橋東詰の交差点が廃止されることに地元住民が反発し計画が遅れていました。
【中国新聞】:平和大橋歩道橋 秋に着工
(2014年5月14日付 中国新聞朝刊紙面より)
(画像出典:平和大橋歩道橋デザイン選考結果報告書より(PDF 約565KB))
着工と完成時期は決まったものの、
結局平和大橋東詰交差点は存続、
4300万円を投じた国際コンペで採用されたデザイン案は破棄、
歩道橋は平和大橋と密着する形で片側の欄干はイサム・ノグチ氏の欄干を生かす
このような決着となりました。
果たしてこれで本当に良かったのでしょうか。
平和大橋東詰交差点から目と鼻の先にはNHK前交差点があります。
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選考結果の報告書を見ても広島市は元々この交差点を廃止する予定だったことが分かります。
廃止して歩道橋や緑地と一体化させた方が平和公園とを行き来する歩行者にとって非常に豊かな空間になりますし、
信号が二つくっついたようなチグハグなポイントも解消できていました。
元安川にそって南北に移動する車にとっては交差点が廃止されても信号の数は変わらず、それほど不便を強いるようなことにはならないはずです。
市が折れてしまったことで、チグハグで窮屈な空間がこれからも続くことになってしまいました。
個人的にこれは非常に落胆しています。。
これで大金をかけて実施した国際コンペでの採用案も使われないことになったので、なおさら残念です。
この国際コンペを実施した時の要項では歩道橋は平和大橋本体からは十数メートル南北に離して、
イサム・ノグチ氏がデザインした平和大橋の欄干を尊重することが考えられていました。
ところが現在の計画では歩道橋の片側の欄干を平和大橋本体の欄干と兼用させて、密着(ほぼ一体化だと思います)させて建設されるようです。
今の橋のデザインからは大きく変わってしまいますよね。
もちろん当事者(イサム・ノグチ日本財団)が良ければそれでいいと思いますが、何もかも当初とは変わってしまいました。
市はなんとか実現には漕ぎ着けることができましたが、その過程は大失敗だと思います。
特にこの平和大通りは将来的に広電の路面電車の敷設が望まれている区間でもあり、具体的にどのような構造になるのかなど気になるところです。