7月に九州は熊本県熊本市を訪れました。
かねてより気になっていた熊本駅のリニューアルと市街地中心部で行われている大規模な再開発プロジェクトをご紹介しました。
他都市探訪<熊本編 2018>の最後を締めくくる今回は、
これも”見ておくべき”と思っていた「熊本城」です。
2016年4月、震度7を2度記録した「熊本地震」が発生し、熊本城も石垣や天守が損傷するなど大きな被害を受けました。
熊本市は被災後早くから、重要文化財建造物も多い熊本城を復興方針を立て、
天守閣は2021年春、石垣を含めた全体の修復は2037年度と、実に20年がかりで復旧に挑む事になりました。
繁華街を東西に貫く電車通り「通町筋」の、百貨店「鶴屋」前から望む熊本城。
よく広報やパンフレットに掲載される構図です!観光客の立場でこういう写真が撮れると嬉しいものですよね。
南側から観光案内などがある「桜の馬場 城彩苑」を目指し進みます。
熊本城南端の「馬具櫓」です。
地震により石垣が崩れ、表面のごく僅かな薄い石垣だけで櫓を支えているのが分かります。早速目に入ってきた生々しい光景に言葉を失いました。
「桜の馬場 城彩苑」を通り過ぎ、駐車場からアプローチした「元太鼓櫓」。
倒壊した姿が非常に痛々しいです。
驚いたことに、この櫓が倒壊したのは2018年6月とのこと。地震により石垣に変形・傾きが生じていた状態に大雨が降り倒壊に至ったそうです。
天守閣北西側の「戌亥櫓」。
こちらも石垣が崩れており、角に残った1本の足のみで櫓を支えている奇跡的な状態です。
このあたりからようやく天守閣の全容が見えてきました。
北側に位置する、加藤清正公ゆかりの「加藤神社」から眺める全景です。
これは凄い…。
壊れた石垣の修復と、木造天守の復旧のため、人工地盤の上に天守が浮いたような状態になっています。
本来石垣があるはずの部分は鉄筋コンクリートの杭が露出していますね。
こうまでしなければならないほど深刻なダメージを与えた地震の脅威を思い知らされると同時に、”なんとしても復旧させるんだ”という強い意思を感じます。
天守閣の外観が元の姿に戻るのは2019年秋、
エレベーターを新設するなどして内部が再び一般公開されるのは2021年春の予定。
敷地内のすべての石垣や建物の修復が終わるのは、2037年度と熊本市は計画しています。
発災から実に20年以上をかける復旧工事です。
修復費用も莫大な額に上ることが予想されますが、ここは時間をかけてでも修復してほしいです。
修復のための寄付金として、「復興城主」という制度もあるようです。
【熊本城公式ホームページ】:復興城主
カープの経営難を救った「樽募金」ではないですが、
こうして熊本市民、それだけでなく全国の方々が寄付し支えたことそのものが、将来この城が存在する価値につながっていくことと思います。
最後は最初の「通町筋」に戻って。
路面電車が通り、百貨店が立地する中心部は広島の相生通りを彷彿とさせます。
見た目も十分都会ですね。
地元資本の百貨店「鶴屋」。
画像奥には「鶴屋東館」という立派な別棟も建っています。
完全に上屋で覆われた歩道にはバス停が並んでおり、実質的なバスターミナルの役割も担います。
ちなみにここから熊本駅へはバスを利用しました。
熊本城の再建と、大規模な開発が進むターミナル(熊本駅・桜町)。
節目のタイミングで、ぜひまた訪れたいと思いました。