将来的なPASPY廃止が明言 『QRコード決済』に移行後も他社ICは継続利用を検討

21日の中国新聞の記事で、広島電鉄の椋田社長は
広島都市圏で利用できるIC乗車券PASPY(パスピー)を広電としては将来的に廃止し、代わりにスマートフォンを使ったQRコード決済の導入を目指す考えを改めて明らかにしました。

廃止時期については明言されませんでしたが、ICとQRの併用期間を経ての移行となるようです。
全国で使えるIC乗車券の利用や、スマホを持たない人でも印刷したQRコードで利用できる仕組みも検討するとしています。

私個人としては以前も記事にしたように、利便性だけでなく決済スピードの面でもQRへの移行には疑問を持っておりますが、
社長が明言し、ICカードPASPYが広電で廃止されることが確定的になってしまいました。

広島電鉄は5月13日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ見直された、 中期経営計画「広電グループ経営総合3カ年計画2022」を公表しました。 感染対策の基本となる人の移

 

 

【中国新聞】:パスピー廃止、QR決済へ 広電社長が明言、併用期を用意 他IC券の利用も

 広島電鉄(広島市中区)の椋田昌夫社長は20日、廃止を検討しているカード型IC乗車券PASPY(パスピー)について、パスピーに参加する他の事業者との協議の結果にかかわらず、広電としては将来的にやめる考えを示した。代わりに、スマートフォンを使ったQRコード決済の導入を目指す。

(中略)

「7、8年ごとに20億円を超えるコストがかかる」と指摘。(中略)パスピーの廃止は、QRコードとの併用期間を経た後との認識も示した。時期は明らかにしなかった。QRコードを多くの人が利用できる仕組みにするため、他のIC乗車券でも使えるように工夫する。スマホを持たない人でも印刷したQRコードで決済できるよう検討する方針も示した。

(中略)

QRコード導入の目的は「地域公共交通として存続するため」とした。小型バスなど新しい車両にも低コストで導入でき、タクシーなど他の交通機関へ導入しやすい利点があるという。同時にバスの利用を増やすため、路線を再編して均一運賃を導入するなど「分かりやすく乗りやすい仕組み」の実現に向け、他の交通事業者と協議を進める考えも述べた。

(上記中国新聞HPより一部使用)

 

 

ついに社長の口から廃止が明言されました。

  • IC乗車券PASPYは、パスピー協議会に参加する他の事業者との協議を行っているが、その結果にかかわらず、広電としては将来的に廃止する。
  • 代わりに、スマートフォンを使ったQRコード決済の導入を目指す。
  • 7~8年ごとに20億円を超える維持管理費が重荷に。
  • PASPYの廃止前には、QRコードとの併用期間を設ける。
  • 廃止時期、導入時期は未公表。
  • Suicaなど他のIC乗車券でも使えるように工夫を検討。
  • スマホを持たない人でも印刷したQRコードで決済できるよう検討。
  • 同時に、バスの利用を増やすため、路線を再編して均一運賃を導入するなど「分かりやすく乗りやすい仕組み」の実現に向け、他の交通事業者と協議を進める考え。
  • バス路線の再編や新しい運賃体系は「駅ビル開業までに完成形に近いものが見られるように」

 

私個人の考えは、以前の記事でも書いているように、
お客さんの利便性、誰にでも使える点、電車やバスの速達性・定時性に直結する決済するスピードの課題から、
PASPYの廃止には大反対です。

”裏表を気にせず、財布やスマホケースに入れたまま高速に通過できるICカード”に比べ、
”取り出してコード画面を開いて必ずその面をかざさなければならないQRコード”は、大量の人を円滑に流していくには不便です。

 

ですが、社長がインタビューでこのように答えているので、
会社としての方針はすでに決まっているのでしょう。

少し救いだったのは、”他のICカードでも使えるように工夫する”ことが分かった点です。
ただ、これもどのような形で利用が維持されるのかはまだ気になるところですね。
「PASPYは使えないICカードリーダーを残す」のなら問題ないのですが、
「ICカードの残高は使えるけど、事前にこれに登録しておいてね」という話であれば不便きわまりないです。

 

スマホを持たない人向けには”印刷したQRコード”で対応を検討するとのことですが、
PayPayを始めとするQR決済は、不正に他人の残高を利用されないようにするために
QRコードに時間制限が設けられています。通常は5分程度で新しいコードが発行されます。
そのため、PASPYやバスカードのように、単なるコードが印刷されたカードを持ち歩くことはできないはずです。(もちろん社長はご存知だと願いたいものですが…)

となれば、電停で現金か何らかの手段を使ってQRコードが印字された切符を買って運賃を支払う、ということに??

前回も書きましたが、この機会にいっそのこと、
車内での現金精算も廃止して、事前に切符を買う方式にするというのであれば、速達化に繋がる手法はいくつか思い浮かんできます。
QRコードは印字できるので、それこそレシートさえどこかで発行されれば電車・バスに乗れるわけです。

電停だけでなく、横断歩道の近くの電柱や例えば歩道上の時間貸し駐輪場の精算機のような機械で広電の乗車券が買えれば、
完全切符制(現金禁止)でも多少は利便性向上に繋がります。

 

 

前回の記事で皆様からいただいたコメントを読み、確かに公共交通を担う企業として存続していくための手段として、
あらゆる交通手段と連携したMaaS実現への道のりとして、
QRへの移行もデメリットばかりではないことは理解しようとしているつもりです。

 

利用者に大きな変革を促すのであれば、広電自身もこれまでにはなかった大胆なアプローチで、
公共交通としての利便性、速達性の向上に挑戦するタイミングになればなと思います。

 

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