祝開業!移設された広電宮島口駅 2022.07(Vol.21)<夜間ライトアップ編>

広島電鉄が進めていた広電宮島口の移設工事が完了し、2022年7月2日の午後から供用を開始しました。
宮島口地区一帯ではより快適でバリアフリーな港を実現するため、
2013年から「厳島港宮島口地区港湾整備事業」として地区の再整備を行ってきました。

2020年2月、新たにみやげ物販売や飲食を提供する新旅客ターミナル「etto(エット)」がオープン。
その後は、従来みやげ物販売を担っていた商業施設「もみじ本陣」(広電宮島ガーデン運営)の跡地を活用して、新しい駅舎を整備していました。
駅舎の移転により市道の踏切を解消し、宮島街道に渋滞が波及するのを防ぐ狙いがあります。

開業日当日の7月2日、日が沈んだ時間帯に現地を訪れてみました。

 

前回の状況です。

世界遺産の島「宮島」の玄関口となる対岸の宮島口地区では、広島県・廿日市市・広島電鉄が共同で「厳島港宮島口地区港湾整備事業」を進めています。 港湾を新たに埋め立て、2020年2月に

 

 

計画の概要

【広島県】:厳島港宮島口地区港湾整備事業について


(上記資料より)

広島電鉄は5月14日、2020年3月期の決算を発表しました。 合わせて、本年から3年間の新たな中期経営計画及び広島電鉄サービス向上計画の更新版も公表され、 移設が計画されている

 

 

温かみのある照明が溢れる駅舎外観

駅前ロータリーより、駅舎の外観からご紹介していきます。

 

新フェリーターミナルの目の前まで伸びる頭端式ホーム。
切妻の屋根はフェリーターミナルと統一感を持たせています。
2枚目の正面から切り取った外観は、シンメトリーで温かみのある照明がこぼれ、非常に美しいです。

 

角度を変えても美しいです。

 

これだけの大きな屋根を、鉄骨のアーチが軽やかに支えている外観は非常に独特です。

 

正面の全く新しい駅名サイン。

発車案内には2面のLCDモニターが採用されました。
2枚で1組となり、のりばと発車時刻を伝えています。

 

 

大空間に乗り入れるトラムたち

いよいよ、駅舎の中に入ってみましょう。

 

 

 

 

 

”4面4線”の広い空間を大屋根が囲み、電球色の温かみのある照明に車両が照らされております。これは凄い!
車両たち(特に床の高いグリーンラインシリーズ)を見て、広電の駅だったと思い出す感覚です。
長い連接車両がホーム上屋の無い頭端式のホームにズラリと乗り入れ、しかも改札レスな光景は、さながらヨーロッパのようです。紛れもなくこれは「トラム」ですね。

 

”4面4線”と書いたとおり、両端の線路のさらに外側にも降車専用ホームが設けられています。

フェリーターミナル「etto」に面した南側は、
今後の駅前広場の整備により、東端部方向に歩くことなく直接ターミナルの方に歩いて出場できるようになります。

 

 

鉄骨アーチが軽やかに支える大屋根

鉄骨のアーチが支える大屋根も注目ポイント。これだけの面積でありながら、6本のアーチ計12箇所のみで、メインの荷重を支えます。

 

 

 

ダウンライトだけでなく、アーチの内部にも間接照明が仕込まれている非常に細やかなつくりです。
これが軽やかさをさらに演出しているのかもしれません。

 

 

黒を貴重とした新しいコンセプトのサインシステム

発車標、駅名標等のサイン類は、これまでのイメージを一新し、黒を貴重としたものになりました。

 

 

 

これ、非常に良いですよね。
宮島といえば大鳥居の鮮やかな朱色を連想しますが、そこに至るまでの案内は極力主張しない色にすることで、メインを引き立たせることができます。
かつてのフェリーターミナルは色々と煩すぎました…。

 

駅名標。

先程ヨーロッパ風と表現しましたが、屋根の土台は型枠に木目を残したコンクリートとなっており、
黒い駅名標とマッチして、シックな和も感じさせます。

 

 

その他設備など

ホーム上の背もたれ。

小さなカウンターも設けられており、テイクアウトしたものなどを置くことができます。

 

車止め。

ピカピカです。広電のロゴが入っています。

 

出発した電車が走っていく阿品方面。

夜間はこの通り眩しいほどの照明に照らされていました。

 

併設された駅事務室。

定期券販売などを行います。奥は乗務員の詰所になっています。

 

最後に、役目を終えた旧広電宮島口駅。

時間も時間だったので、真っ暗でとてもひっそりとしていました。
程なくして線路設備は撤去され解体されるでしょう。
跡地は道路拡幅に一部使用されると思われますが、全体の具体的な計画は公表されていません。

お疲れ様でした。

 

以上、日没後のライトアップされた駅の様子を、簡単にザザッとまとめてみました。
宮島観光の際には玄関となる結節点に、よくこのような美しい駅舎を作っていただきました。

広電のターミナル駅は、広電西広島駅、横川駅、広島港(宇品)と多くが大屋根で覆われた構造です。
ここに広電宮島口駅も加わりました。
結節点補助事業を含むとはいえ、地方私鉄がこれだけの設備を整えていることは凄いのかなと。
2025年春の開業を目指して建設中の広島駅も例に漏れず、
ビル4フロア分の巨大な吹き抜けの中に広電の駅舎が設けられます。(しかも2階に)
サインシステムのコンセプトは新しい広島駅にも採用されるかもしれませんね。

 

少し心配なのは綺麗すぎることですね。
開業したばかりということで路面などは当然綺麗で良いのですが、一般的な駅に見られるようなゴミ箱やドア位置の案内などが現時点では設けられていません。
(元々宮島線では全駅ゴミ箱はなかったはずですが。)

苦労が多そうですが、可能な限り美しく保っていただき、使う我々もポイ捨てなどしないモラルが求められますね。(当たり前ですが)

駅舎自体は完成しましたが、駅前ロータリーや宮島街道への市道の整備はこれから。
今後の整備も注目していきたいです。

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