旧広島市民球場跡地を再整備したイベント広場「HIROSHIMA GATEPARK PLAZA(ひろしまゲートパークプラザ)」が、
2023年3月31日に開業しました。
広場整備にあたってはPark-PFI制度と指定管理者制度を活用し、事業者に特定された「NTT都市開発」を代表とする企業グループが公園を整備。今後の公園の管理運営も担います。
計画では緑あふれる広場の中には公園と一体的に利用できる木造の店舗群を整備するほか、
フレキシブルに大小のイベントを開催できるイベント広場を活用し、年間を通じた賑わい創出を目指します。
前回の状況です。
目次
事業概要
【NTT都市開発】:旧広島市民球場跡地イベント広場の商業施設「SHIMINT HIROSHIMA(シミントひろしま) 」出店テナントについて
対象地位置図 | 配置図 |
約4.7haの事業用地に、様々なイベントに活用できる多目的広場「ひろしまゲートパークプラザ」を整備する他、
計8棟、延約4,770平方メートルの店舗群「シミント広島」を設け、年間を通じた憩いと賑わいの空間になることを目指します。
開業のプレスリリースも出ていました。
【NTT都市開発】:広島市中心部の顔となる市民公園「旧広島市民球場跡地整備等事業」が竣工・3/31(金)オープン
賑わいの空間を形成する店舗群『SHIMINT HIROSHIMA』
おりづるタワーからの全景です。
開業して最初の週末、4月1日に訪れました。
この画像だけで2~3,000人くらい写っているでしょうか。
暫定的ではない賑わいがこの場所に戻ってきました。
紙屋町側から。
来場者の最も多くが通ると思われるメインのエントランスです。
オープニングイベントとして、31日~2日の3日間、「HIROSHIMA GATE PARK FESTA」というイベントが行われていました。
ゲートパークプラザ内の商業施設群「SHIMINT HIROSHIMA(シミント広島)」の様子を見ていきましょう。
エントランスの相生通り側です。
メインストリートたる相生通りに面する南側には、便利なコンビニやベーカリー、
そしてカフェにフードホール「SHIMINT KITCHEN」などが立ち並びます。
新年度の訪れとともに暖かい日が続き、このように天気が良い日の雰囲気は最高です。
オープンカフェや至る所に設けられた腰掛けはどこも人で溢れており感慨深くなりました。
相生通りとはあえて施設群で仕切ったことで、喧騒から少し隔絶された”都心のオアシス”を感じられる空間になっていると感じました。
新しい楽しみ方『アーバンアクティビティサイト』
先程のエントランスから北方向に目を向けます。
1丁目1番地となるA棟の2階には、広島初進出となる猫カフェ。
そちらも注目なのですが、北側にはアーバンスポーツが楽しめる専用エリアが設けられました。
常設のスケートボードパークを含む、「アーバンアクティビティサイト」。
アーバンスポーツの世界大会「FISE」が2018年、2019年にわたり行われました。
コロナでここ数年は開催できない状況にありますが、来年以降、会場として使用されることも期待されます。
北側にかけては広場全体の関係者駐車場として使用されていました。
なお、ここに施設群が設けられなかった理由はもう一つあり、
将来広島バスセンターを建て替える際の、仮設バス乗降場として活用されることも想定されたものになっています。
(広島市『中央公園の今後の活用に係る基本方針(令和2年3月) [PDFファイル/16.69MB]』より)
人々の笑顔あふれるイベント広場『HIROSHIMA GATE PARK PLAZA』
中央のイベント広場の状況です。
山本浩二さんがトークイベント中です。
先程書いたように、開業から3日間のオープニングイベントが開催されました。
都心でこれだけの人で賑わう光景は久しぶりに見ました。
イメージ図を見た時は、トークイベントは常設の「大屋根ひろば」で行うのかと思っていましたが、
開場は画像のように仮設で、「大屋根ひろば」はあくまで飲食や休憩する広場として使用するようですね。
「大屋根ひろば」は広場の中でも比較的奥に設けられています。
,
その周辺に集客力が特に高いスターバックスやEggs’n Thingsを配置しています。
人々が自然と奥まで入り、場合によってはテイクアウトして大屋根で楽しむ、という行動も生まれるはずなので、イベントのない平常時でも人の存在が感じられる空間になってくれそうです。
メモリアル かつての球場を思い出させる遺構
広場の南東には、こちらがきっちりと整備されました。
広島市民球場を後世に伝えるホームベースとピッチャープレートの遺構です。
暫定利用だったこれまで、一切設けてくれなかったので、球場閉鎖後ようやくこうした正式なメモリアルプレートができました。
こうしてプレートの後方に立ってみると、こんな町中のすぐ近くでプロ野球のスター選手達がプレーしていたことに驚きます。
南西側、勝鯉の森の向かい側には、
外野スタンドの椅子を再利用したベンチが設けられました。
落ち着いたら座ってみたいです。
平和軸が繋ぐ”動と静”『ピースプロムナード』
広場の西側には、平和公園から一直線に伸びる「平和の軸線」が、歩行者空間「ピースプロムナード」として再整備されました。
路面電車の原爆ドーム前電停は西側(画像左奥)に延伸され、軸線に重なる位置まで横断歩道が移設されました。
ピースプロムナードに立ってみます。
北端は「高見ひろば」として少し高くなっています。
日没後、「高見ひろば」から原爆ドームを振り返った様子。
夜間の状況はまた別途記事にします
これが本当に素晴らしい。
平和の軸線という一本のラインを通じて、
動=市民の賑わい(ひろしまゲートパークプラザ)と
静=祈り(平和記念公園)
が結ばれ、街の一体感が飛躍的に高まりました。
丹下健三氏の構想が令和になりようやく実を結んだように感じます。
プロムナードから北西方向にも園路が伸びていきます。
新たに整備された「こどもひろば」には小規模な遊具などがありますし、
その先には5-Daysこども文化科学館、ファミリープールが立地する、家族連れエリアが形成されました。
また、北に進むとペデストリアンデッキを介してサッカースタジアムにアクセスすることができるようになります。
来年の今頃にはスタジアムも開業していますし、デッキの工事も大詰めとなっていると思われます。
本当に取り急ぎではありますが、無事開業したひろしまゲートパークプラザの状況のレポートでした。
管理するNTT都市開発は、1,000人以上を集客するイベントを90日/年以上開催し、
年間100万人が来場する場所にすることを目標にしています。
プロ野球が開催されていた頃と同等の集客です。
オープニングイベントが開催されていたこの週末は、眼を見張るほどの集客でした。
新しい物好きの県民性ですから、これが毎回ずっと続くのは難しいかもしれませんが、
この空間の使い方を見ると「全く無理な話ではない」と感じています。
Park-PFIという新しい制度を活用したことで、民間を巻き込んだ賑わいづくりと公園としての維持管理ができるようになりました。
跡地活用検討当初の「都市公園法の縛りがある限り、何をやっても難しいだろう」という閉塞感は今はありません。
この点においては、時間をかけて検討していると制度が追いついてきた面もあるので、結果的には良かったと思います。
そして何より、本文の中でも触れましたが、”都心の一体感”がかなり増したように思います。
この一体感がまた失われないよう、民間事業者にはしっかりとここで「商売」をしてもらい、
人々の賑わい・憩いを定着させることが非常に大事になります。
ここに定着した賑わいは、来年開業する北側のサッカースタジアムと隣接広場に繋がります。
広島市の中心市街地を押し広げ、これまでになかった過ごし方を提供してくれる場所になれば、楽しみ方のバリエーションも増え、都市の求心力の向上にも繋がっていくはずです。
広島の都心、特にカミハチ(紙屋町・八丁堀地区)はまだ輝ける。
そんな期待を大きくしてくれた開業の日でした。