国土交通省は管理する国道の令和4年度の新規事業化路線を公表し、
広島地区では広島南道路の一部を構成する、「木材港西(仮称)」から山陽自動車道廿日市ICが接続する「地御前JCT(仮称)」までの区間の事業に着手することが明らかにされました。
区間は計画延長約23kmの広島南道路の内、唯一自動車専用部も一般道路部も整備されていないミッシングリンクとなっています。
整備により、現在の終端部である廿日市地区の渋滞緩和や、
それに伴う安全性の向上、広島都市圏臨海部の物流交通の活発化などが期待されています。
新規事業採択時評価を経て今年度事業化
【国土交通省】:令和4年度新規事業採択時評価結果 箇所一覧
- 一般国道2号 広島南道路(木材港西~廿日市) 評価結果
事業名 | 一般国道2号 広島南道路(木材港西~廿日市) |
事業主体 | 国土交通省 中国地方整備局 |
起終点 | 自:広島県廿日市市木材港南 至:広島県廿日市市地御前北一丁目 |
延長 | 約1.5km |
全体事業費 | 約400億円 |
(広島県『広島南道路(木材港西~廿日市)が新規事業化されました』より)
該当区間のGoogleMapの航空写真です。
令和3年度までに、国の新規事業採択時評価が行われていました。
下記の資料には、課題と整備効果とともに、対象区間の縦断図等もまとめられています。
【国土交通省】:一般国道2号 広島南道路(木材港西~廿日市)に係る新規事業採択時評価(PDF)
ミッシングリンク解消による都市機能の底上げに期待
長年の課題だった広島都市圏の道路に、大きな動きが続きます。
東広島・安芸バイパスは2022年度の全線開通まであとわずか、
その先の広島南道路海田西IC~海田大橋間にあたる明神高架橋も事業化、
西広島バイパスの都心部延伸も事業化されています。
高速3号部分をはじめ、これまで長い時間をかけて部分的に整備が進んできた広島南道路ですが、
終端部で廿日市ICと接続する当区間は全くの未着手の状態でした。
この区間が整備されれば、廿日市ICを経て西方面から広島南道路へのアクセスが劇的に改善され、広島都市圏の臨海部の利便性が大きく向上します。
また、現在西広島バイパスに集中している交通が南道路に分散することも考えられ、西広島バイパスの混雑緩和にも期待がかかります。
将来的には、東広島・安芸バイパスと広島南道路が一本につながり、
通過交通を捌くためのネットワークを形成します。
ただし、理想の道路網の実現の道のりは平坦なものではなく…。
パンフレットをご覧いただいてわかるとおり、一口に広島南道路といっても、
全ての区間に自動車専用部と一般道路部が存在し、
整備主体が区間ごとに複雑に分かれています。
【広島国道事務所】:広島南道路パンフレット
自動車専用道路部について、広島市を通過する区間都市高速の一部として開通したため有料になります。
広島市の東部から東広島市方面は現在整備工事が進められている「東広島・安芸バイパス」。
商工センター以西についても計画は存在していますが、ほとんど未着手となっています。
商工センターのメインストリートで広い中央分離帯となっている部分ですね。
この通りは現状でも部分的に交差点が立体化されており、自動車専用とはいかないまでも比較的スムーズな通行は可能となっています。
将来的にここにも自動車専用道路を整備する必要があるかどうかは疑問です。
当然、行政も認識しているため未事業化に留まっていると思われますが。
2車線となっているはつかいち大橋の区間は、現在4車線化工事が行われています。
最低限4車線化は必須です。
宇品出入口以東~仁保ジャンクションの一般道路部など、どうやってつくる目論みなのでしょうかね。
ちなみに、今回事業化された木材港西~廿日市IC間については平成9年に都市計画決定が完了しているとのことで、
廿日市市の都市計画図には都市計画道路として、大まかな路線が描かれています。
用地に関わるものなので、画像掲載は控えておきますが、
廿日市市地図情報システムから見ることができるので、リンクのみ貼っておきます。
【廿日市市】:廿日市市地図情報システム
用地買収や洋上での施工も伴うため、事業化されたとは言え開通までにはまだ時間はかかることが予想されます。
広島都市圏の経済活動の底上げに繋がる事業ですので、今後も注目しておきたいです。